キャリア相談でお会いする方々は、「今すぐには転職を考えていないが漠然とした将来の不安を解消しておきたい」、「数年後に備え何をしておくべきかアドバイスが欲しい」といった中長期的な方や、転職することはすでに決めている、さらには転職先のイメージも明確にある方など本当に様々ですが、今回はその中でも「転職(退職)することは決めている」といった方々にフォーカスをあててみたいと思います。
転職によって得たいもの
最近面談で「今回の転職のテーマは何ですか?」とお聞きするようにしています。「えっ?」と不思議な表情をされる方も少なくありませんが(笑)、質問の意図を理解していただき、その場で考えながらもその思いや考えを語って下さいます。しかしながら、「退職する」という決意の強さに比べて「転職のテーマ(転職によって得たいもの/何のために転職するのか)」は、どこか抽象的、かつ曖昧な方が実は多いです。しかもこの状態のまま転職活動を始めてしまうことに、「ちょっとあぶないな、」と個人的には思ってしまいます。もちろん個人の自由ですが、プロのキャリアコンサルタントとしては、ここでほんの少しだけでも立ち止まり「今回の転職のテーマ」をしっかりと考え、イメージを明確にしてから動くことをお勧めします。間違いなくそのプロセスを踏んだ方がより良い転職活動が出来るからです。
心の声を聴く
ではなぜこの「転職のテーマ」についてじっくりと考えるプロセスが大事なのかというと、ここには「転職」という概念だけに縛られたものではなく、人生において大切にしているものが沢山詰まっているからです。それが働くこと、ひいては生きることのエネルギーの源泉となっていたりします。転職のテーマが定まっていない方には、「転職によって何を手に入れたいのか?」「何のために転職するのか?」について掘り下げていき、心の声にも耳を傾けお伺いするようにしています。
すると、幼少期から現在に至るまでの人生において最も大事にしてきたことや深い感動を覚えたこと、大きな衝撃・影響を受けたこと、これまでの経験の中で心が躍りワクワクしたことなど、それぞれの価値観を形成してきたストーリーが出てきます。みなさんとても熱く語って下さいます。誰かに語ることによって自身の中であらためて整理・気付きがあり、人生を歩んでいく上での「今回の転職のテーマ」がより明確になっていくんですね。
自分らしい人生を歩むために
転職をして職場や環境を変えれば、現状を変えることは出来るでしょうし、より良い仕事が出来る可能性もあるでしょう。しかしながら、転職をするだけ、環境を変えるだけではより充実したキャリアを築き、自分らしい人生を歩むことは難しいかもしれません。繰り返しになりますが、「転職することは決めている」という方は、是非一度じっくりとご自身と向き合って、転職によって何を手に入れたいのか?転職してどのようのキャリアを描くのか?もっと言えば、何のために仕事をするのか?ということを考えてみて下さい。
我々は杓子定規にスキルマッチだけの転職をサポートするのではなく、思い描いたキャリアを築き、自分らしい人生を歩むお手伝いが少しでもできればと思い皆様との面談に臨んでいます。転職のテーマは?と聞かれても「ニュアンスや感覚は自身で掴んでいるものの、この気持ちを今すぐ言語化するのは難しい」といった方もいらっしゃるかと思いますが、とことんお付き合いしますので、是非一緒に形にしていきましょう。そうすればより有意義な転職活動が出来るはずです。※この関りこそが、私がこの仕事を続けている理由・生き甲斐でもあります。
(2019年2月20日)
今回の教訓&アドバイス
退職することを決めたら、今回の転職のテーマを考えてみる。
転職のテーマを抽象的かつ曖昧なままにせず、言語化できるまで考える。
この機会に自身の価値観を形成しているものが何なのかを振り返ってみる。
武田 直人
【 プロダクトマネージャー専門チーム 所属 】 プロフィールをみる
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