Dさんは25歳独身。大学卒業後小さな広告代理店に入社、社会人3年目です。当社のホームページを通してエントリーされて、当社の別のコンサルタント H が担当していました。
9月の中旬、コンサルタント H から相談がありました。
「MTさん(私の事)、Dさんという候補者がいらっしゃるんですが、とても優秀で実績の有る方なんですけど、何社受けても面接で落ちてしまうんです。一度会ってみてもらえませんか?」
実際、5社トライされていずれも書類選考はOK、しかしすべて一次面接で落ちているとのことです。書類を見てみると、なるほど、都内某有名大学を卒業され3年目にしてプロダクトを担当、セールスプロモーションの一通りの経験を積まれた即戦力をイメージできる方でした。
早速、Dさんとアポイントを取ってお会いしました。
お会いしてみると、明るく挨拶され、ハキハキとされていて決して面接受けの悪い方ではありませんでした。むしろ好印象。話は結構心地よいテンポで進み、お決まりの転職理由や希望条件など30分程ヒアリングをしました。しかし、話をしている割には一向にDさんの人となりや志向、希望が見えてこない、しっくりこないストレスを感じていることに気づきました。
そのことをDさんに伝えると、
「あ、やっぱりそうですか。実は面接でもなんかどんどん相手がトーンダウンしていくのがわかるんですよね。盛り上がらないっていうか。ハッキリ言って頂いてありがとうございます。」
「いえいえ。多分それはDさんの考え方とか、相手の質問に対するDさんの本心からくる応えとか、要は何を考えていらっしゃって、なにを求めていらっしゃる人なのかが、会話の中で表現されてないからですよ。」
「いや、でもちゃんと質問には考えて答えているんですけどねぇ。。。熱意がたりないんでしょうか?」
少し二人の間に沈黙の時間があり、
「Dさんって、一体何をやりたい人なんですか?例えば10年後とか20年後にどうなっていたいんですか?」
するとDさん、
「10年後って、そんなこと考えたこともなかったです。10年後ですか・・・・」
「Dさん。大変失礼ながら、お話をしていて面白くないのですが・・・。
今の選択はその先の目標に近づく為のものでなくては意味がないこと、またその先の目標はもっと先の目標に通じるものでなくてはならないことをお話させて頂き、その為には10年という区切りの良い目標設定が大切であることを伝えました。加えてその流れがないと、本当の意味での志望動機にはならないことをお話しました。
「自分は将来こんなことをやりたい。だから今これをこんな環境でやらないといけない。それが御社にはありそうなので。っていうのが一番わかりやすく且つ情熱を持って話せることですよね。」
と私。するとDさん。
「そういう意味では自分が将来どうなりたいのかとか、あまり真剣に考えていませんでした。就職にたいして完全に受身でしたね。だからショーウインドーを覗くような感覚で面接に行っていたような気がします。そんな状態の私に相手が興味を持つはずはないですよね。自分でじっくり、私は何がやりたいのか、どうなりたいのかを自問してみます。」
「今、こんな話をしているDさんには全然退屈しませんし、むしろ親近感を感じますよ。やっぱり自分の価値観を出さないと理解は深まらないんですね。」
その後、Dさんは一旦転職活動を停止されることになりました。今日現在でもまだ再開されていません。案外、自分のやりたいことを考えているうちにそれが今の会社にあるという結論に至られたのかもしれません。
(2011年11月15日)
今回の教訓&アドバイス
今も大切ですが、5年、10年後の目標設定も大切
目標がないのは気持ちがないのと同じ、志望動機に説得力が生まれない
自分の目標と会社の方向性との擦り合わせ、これが面接という場面
見てるだけ~では、相手(会社)は何も感じない
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