キャリアアップコラム vol.25
将来の目標

30歳を前にして、この先のキャリアプランをいろいろとお考えの方も多いと思います。今後のキャリアを形成する上でとても大切な時期であることは間違いありません。この時期にしっかりと土台を作り、将来につながるスキル、能力を身に付けるためにも、自分が将来どうなりたいのかという目標を持つことが大切でしょう。

Aさんは29歳独身。新卒時から戦略系のコンサルタントを目指して就職活動をしていましたが、その時は残念ながら縁が無く大手総合商社へ就職。入社後もコンサルタントへの思いは消えず、友人などのアドバイスもありMBA取得を決意。卒業も目前となり、就職活動を本格的にスタートしました。

「実はすでに何社か応募しているのですが、なかなか上手くいきません。インタビューまで進んだ企業もあったのですが、良い結果が出なくて…。」とAさん。続けて

「主だった企業はある程度結果が出てしまいましたので、選択肢を広げなくてはならないと考えています。また、面接でも足りない部分があると思いますので、対策についてもアドバイスが欲しいのですが。」

お会いした感想ですが、まじめで誠実な好印象を受けました。明るくハキハキとしていて、受け答えもロジカルに整理され、決して面接受けの悪い方ではありませんでした。ただ、話をしていても何か内容が薄いというか、物足りなさを感じました。言葉として出てくるコンサルタントへの思いや努力は強いものの、本音の部分が今ひとつ見えてこないという違和感があったのです。

「経営に関するコンサルタントです。」

「それはそれでいろいろなアプローチが考えられますが、具体的にはどんなお考えをお持ちですか?」

「えっ、どんなって言われましても…。」Aさんは少し困惑されていらっしゃいました。

「例えば企業の中・長期的な経営戦略をたてるコンサルタントから、もっとより具体的な業務改善等を通して経営の効率化を図るコンサルタントなど、いくつかあると思うのですが。」

「いや、そこまで具体的には考えていませんでした。B社やC社のような会社のコンサルタントになりたいという思いはありましたが。」

「それでは、話は変わりますが、10年後は40歳を目前にし、一番脂の乗っている時期だと思いますが、その頃こうなっていたいという目標などありますか?」

「ん〜、10年後ですか。漠然と経営に関わっていたいと思いますが、具体的には…。」

「コンサルタントと一言でいっても、実にいろいろな領域のコンサルティングがありますよね。Aさんはどんなコンサルティングをやっていきたいのですか?」と私。

今の選択はその先の目標に近づく為のものでなくては意味がないこと、またその先の目標はもっと先の目標に通じるものでなくてはならないことをお話させて頂き、その為には10年という区切りの良い目標設定が大切であることを伝えました。加えてその流れがないと、本当の意味での志望動機にはならないことをお話しました。

「将来何をやりたいのかという目標を明確にしないと、Aさんにとって良い選択肢を広げることができません。キャリアチェンジならなおさら、何故やりたいのか、何をやっていきたいのかはきちんとアピールできなくてはなりません。コンサルタントといっても、どんなコンサルタントになりたいのか、それが将来にどうつながるのかをもう一度整理して考えた方がいいと思います。面接でもそこがしっかりしていれば、評価も違ってくるはずですよ。」

私の提案に、暫く考えてからAさん。

「そうですね、今までの面接もそこが引っかかっていたのかもしれません。もう一度、しっかり考えてみます。その結果、ひょっとしたらコンサルタントではない選択肢がみつかるかもしれませんね。」

コンサルタントではない選択肢という言葉には驚きましたが、将来の目標のために今何をするべきかを考えるきっかけになったのであれば幸いです。

（2012年2月15日）

今回の教訓&アドバイス