さて、今回は私の知人であるKさんの例を参考にしながら、キャリアに悩んだときにどういう行動をとったらいいのかということについて考えてみたいと思います。実際にはもっと複雑なケースが多々あろうかと思いますが、敢えてわかりやすい例をとりあげてみました。自分の身に置き換えてお考えいただければ幸いです。
先日数年ぶりにKさんと会いました。Kさんとの最初の出会いは仕事関係の集まりです。その後何度か一緒に呑みに行ったりしたこともあったのですが、今回は約2年ぶりの再会となりました。久しぶりなので非常に懐かしく、思い出話などを一通りした後に、ふと、「実はちょっと悩みがありまして・・・」と、打ち明けられました。Kさんはずっと人事関連の仕事をされていたのですが、約1年前に社内異動で営業部門に配属されたとのこと。
「自分は人事経験が長く、これからもずっと人事でキャリアを作っていくつもりだったものの、会社の異動命令に逆らうわけにもいかないですから、とりあえずやってみようと思い、今日に至っているんですが・・」
まあ、ここまで話を聞けば大方悩みの内容には察しがつきます。「で、やっぱりしっくりきていない、ということですか?」
「そうなんです、ずっと悩んでます。営業としての成績は決して悪くはないんですが、楽しいとは思えないですし。」
Kさんは、時間の経過とともに、このまま人事からどんどん離れてしまうことに大きな不安を感じていました。気持ちは良くわかります。話を聞いていて、焦燥感も感じられました。
ここで、Kさんにとっての選択肢が3つ浮かびます。(1)悩むのをやめて、今の仕事にがむしゃらに打ち込む → そこから何か新しい世界や志向が見えてくる。(2)多少時間をかけながら今の会社で人事への復帰を働きかける。(3)思い切って転職する。
(3) が一番すっきりしそうですが、そうはいっても長年勤めた会社を辞めるのは勇気が要ることです。意外に(1)によって解決してしまうこともあります。ただ、なかなか気持ちを切り替えるのは難しいですね。(2)は実現確率は極めて低い上に、本来の仕事に身が入らず支障が出てしまうことも考えられます。どの選択肢にもハードルがありますが、結局Kさんは(3)を選択しました。
実は、その選択を聞いて私はほっとしました。転職を決断するタイミングを間違えると非常にリスクが高くなるからです。例えば、仮にKさんがあと2年後に相談に来て、やはり転職という道を選んだとしたら・・・。人事業務でのブランク3年は、企業によっては全くの対象外となることもあるのです。希望通りに転職ができたでしょうか。
今回のケースで感じたことは、ある日突然誰の身にも起こりえることに対しての心構えとその際のリスクを事前に知っていることの大切さです。リスクを知っているのと知らないのでは、いざというときに差が出ます。
そのためには私たちキャリアコンサルタントに相談するのもひとつですね。必ずしも転職を勧めるわけではなく、その方のその時の状況に対してベストと思えるアドバイスをさせていただきます。皆さんもこの機会に自分の身に置き換えて想像してみてください。どういう選択をしますか?
(2012年6月5日)
今回の教訓&アドバイス
相談はなるべく早めに。1年前に相談していればよかった、と後悔しないように。
備えあれば憂いなし、です。
一人で悩まないこと。様々な悪影響が必ず出ます。
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