皆さんは日々の業務に忙殺されてキャリアの方向性を見失い、今後の展望が描けなくなるような場面に直面したことはないでしょうか?今回は、過去に転職活動のサポートをさせて頂いたYさんのケースを題材に、目の前の業務に追われ仕事のペースが掴めなくなったときにキャリアを見つめ直す方法についてお伝えしたいと思います。なお、私の座右の書「7つの習慣」における考え方を一部引用しています。
過去に転職活動のサポートをさせて頂いたYさん(33歳・男性)と、先日1年ぶりにお会いする機会がありました。転職活動中の快活な印象とはうって変わり、とても疲れた印象が強く記憶に残っています。
Y さんは、SEから少数精鋭コンサルティングファームにITコンサルとして転職され、持ち前のエネルギーとロジカルさを発揮し、入社後早い段階から活躍されていました。しかし今回お話しをしてみると、「業務と責任の幅が大きく広がり、上流からIT戦略に拘れるので、楽しいのは楽しいんですがね・・」と、歯切れ悪くお世辞にも心から充実しているようには見えませんでした。
「かなりお疲れのようですね」と詳細に伺ってみると、「実は丁度また転職しようかな、なんて考えたりしています」とのことでした。業務にはこれ以上無いほどに満足している、しかしながら業務以外の諸雑務(電話対応、議事録作成、ミーティングアレンジ、等々)が多すぎ、とにかくなんでも屋的に大忙しで、何をやっているのかわからなくなっており、いっそ大手に転職してコンサル業務に集中したほうがいいのかなと思っていたところだったそうです。
私はこのとき、次のようなアドバイスをさせて頂きました。「あまりの忙しさに少し方向性を見失われていますね。Yさんの長期的ビジョン、なりたい自分を再度見つめ直しては如何ですか?まずは基本的なところですが、仕事の優先順位付けの基準を変えてみませんか?」。
この基準については簡単に以下でご紹介しますが、この2週間後に、Yさんから連絡を頂き「やはりここで頑張ります!そもそも目指す自分への近道は今の環境しかないですしね!」と非常にハリのある声でのお電話でした。
曰く、とにかく緊急性の高い仕事の中で優先順位を付けることが当然となっているうちに、「転職したらいつかやろうと思っていたこと」、「更なるキャリアアップのために継続的に取り組もうとしていた自己啓発」など、すっかり忘れてしまい、とにかく捌くことが主になっていたことに気が付きましたとのことでした。
眼前の業務に忙殺されると、得てしてキャリアの方向性を見失いがちになり安住の地を求めて転職活動・・・、とキャリアアップとは程遠い状況になることがあります。そういうときは仕事の優先順位の基準を見直し、見失いかけていたキャリアの方向性を見つめ直してみては如何でしょうか。
<アドバイス:優先順位付けの判断基準>
「7つの習慣」では、生活(今回は特にビジネス)での出来事は、4つの領域に大別することが出来るとされています。各領域は、「緊急度」と「重要度」を軸としてマトリクス上に表せます。(以下「優先順位のマトリクス」参照)
「優先順位のマトリクス」
第一領域(緊急・重要):
締切のある仕事、クレーム処理、切羽詰った(ように見える)問題
第二領域(緊急でない・重要):
人間関係形成、自己啓発、品質改善
第三領域(緊急・重要でない):
突然の来訪、思いつきの質問対応、無駄な会議、誰も読まない報告書
第四領域(緊急でない・重要でない):
暇つぶし、だらだら電話、待ち時間
(出展:「7つの習慣」 キングベアー出版)
本来的に大切にすべきものを見失わないようにするためには、緊急でないが重要なこと(第二領域)を意図的に優先させるように努力することが大切といえます。忙しいときは得てして第一領域のなかだけで優先順位をつけているものです。
(2012年6月25日)
今回の教訓&アドバイス
仕事の優先順位を決めるのは「緊急性」だけではありません。
「重要」だけど、「緊急」ではないものに意識を向けましょう。
業務に忙殺されているときの、「転職しようかな・・・」は結構危険です。
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