先日お手伝いをさせていただいた採用ケースでは、候補者、企業ともに決断の決め手となったのが「仕事を楽しんでいる」という点でした。双方ともに、他にも競合する企業・候補者がいらっしゃいましたが、この点が大きなポイントになり相思相愛でご縁がまとまりました。
候補者にとっても、企業にとっても、この点をジャッジポイントとして重視するケースが最近特に増えていると感じます。
AさんはB社へのご入社を決断されましたが、他にも4社から内定を頂いていました。その中にはB社よりも給与や規模、知名度が高い企業もありました。
「もちろん条件や待遇、会社の成長性は大事です。ただ、それと同じように働き方や価値観がフィットしているかどうかが重要だと思っています。」と、Aさん。
B社との面接では、社員の方々が仕事を心から楽しんでおり、そのベースにある価値観に大きく共感できたそうです。
「業務や社員についてご説明いただいたときの楽しそうな表情や雰囲気が何よりも印象的で、そこから社員の方の考え方や価値観が伝わってきて具体的なイメージをもって理解することができました。自分も楽しく仕事をすることが想像できて、一番ワクワクしたのがB社だったので、迷わす入社を決めました。」
B社も同様に、最終選考まで進んでいた方が数名いらっしゃり、スキル面や実績ではAさんに劣らない方たちだったそうですが、 「一番楽しそうに仕事の話をしていたのがBさんだったんです。こちらまでエネルギーやパワーが伝わってきて、何よりも話にリアリティと説得力がありました。スキルや実績だけでなく働き方や考え方などもよくわかり、信頼感を持てました。一緒に働きたいかどうか、という視点でAさんに決めました。」
楽しく仕事をするためのベースに、「成果を出している」ということが大前提にあります。成果を出すことができなければ、心の底から仕事を楽しむことはできませんし、話をしていてもすぐにわかってしまいます。成果を出すためには、言われたことをやるだけではなく、どうしたら上手くいくのか、自分自身でとことん考え抜くには、強い責任感と当事者意識が必要です。また、やると決めたことをやり抜くためには覚悟も必要です。これらを持っていれば、主体的に仕事に取り組み、困難な局面にあっても逃げずに向き合い、成果を出すためのPDCAをまわしていくことができます。仕事を楽しんでいる方々は、この繰り返しにより成果を出し、目標に向かって考え、実行し続けています。
このように、業務内容や実績など目に見える部分だけでなく、どのようなスタンスや考え方、価値観で仕事をするのか、といった目に見えない部分を候補者、企業ともに重視するようになってきています。企業は「どんな実績を残したか」だけではなく「どうやって実績を残したか」を、また、候補者は「どんな仕事をするのか」だけではなく「どうやって仕事をするのか」をポイントにしています。
面接でもこの点を知るために実績や具体的な事例を聞きながら確認していきますが、言葉で説明するよりもインパクトがあるのは、そのときの態度や表情から滲み出てくるエネルギーやオーラです。このオーラがもっとも説得力を持つのかもしれません。
皆さん、仕事を楽しんでますか? 転職をお考えの方の中には、仕事を楽しめていない方もいらっしゃるのではないかと思います。現職で頑張るためにはもちろんですが、特に転職をお考えの方は転職を成功させるために、このタイミングで改めて仕事を楽しむために、仕事に向き合ってみてはいかがでしょうか。
(2013年2月25日)
今回の教訓&アドバイス
楽しいが一番(?)。言葉以外のエネルギーやオーラが説得力を強める。
仕事を楽しくするのは自分。自分から仕事に向き合うことが重要。
転職を考えたら、あえて今の仕事に向き合ってみる。
半藤 剛
【 デジタルプロフェッショナル専門チーム 所属 】 プロフィールをみる
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