キャリアアップコラム vol.68
あてにされる人

面談でお会いした方にご経歴を伺うと、比較的多くの方がこれまでの経験を羅列してお話しされます。時系列的にどのタイミングで、どのような経験をされ、結果どうなったのかが把握出来るため、どんな仕事人生を送ってこられたのかはよく理解出来ます。しかしながら、「こちらが知りたいと思っていること」という観点からしますと、満足度はあまり高くありません。

つまり、その人自身が理解出来たかというと、答えはNOになり、「経験は理解出来たけど、実際どんな人なんだろう?仕事ぶりが知りたいな」という状態からその後のやりとりが始まっていきます。コミュニケーションのスタートとしては少し物足りない感じですね。

ちなみに、これはレジュメに関しても同様です。どのようなプロジェクトにどれだけの期間属し、どのようなフェーズを担当して、どのような技術を習得したという事実が列挙されているレジュメを拝見することがありますが(特にエンジニアやバックオフィス系の方に多い印象です。)、こちらもやはりその方自身がぐっと響いてこない、なんというか血の通っていない印象を覚えます。

このような方には、「ご経歴の説明はわかりやすくて良いのですが、同時にお人柄が伝わってくると更に良いですね」と、正直に感想をお伝えするようにしています。「どうすればよいでしょうか?」と当然ながらご質問を頂きますが、その際にはまず2点イメージしてみて頂くようにお伝えします。

一つ目は「Aさんは仕事上どんな点で、周囲から“あて”にされていますか?」ということ、二つ目は「Aさんの仕事自慢って何ですか?」ということです。

この質問をすると面白いもので、今まで経歴の説明といえば、何を何年、何を何回、いくらの受注を何回といった内容を話されていた方が、「ここぞというクロージングでは数名いるマネージャーを差し置いて部下から必ず同行の依頼がきますね」、とか「新技術のセミナーなどがあれば、大体自分が部門代表で受講して、社内で敷衍する立場ですね」、とか「新人育成には独自の拘りがあってですね・・」、「プログラム上のバグは自分のところで絶対に潰しています」、「会議にいるだけで盛り上がると言われますね」、「朝礼の司会といえば私ですね」などなど、とても色々なエピソードが出てきます。

しかもとても楽しそうな表情で、です。あとは私から、「その内容を今の表情で、経歴の紹介のときに少しお話ししては(レジュメに盛り込んでみたら)どうですか?」とお伝えします。特にテクニックめいたものは何もありません。これだけでその方の人柄がとても滲み出た内容になります。

貴方の隣の席に座っている同僚や、同じプロジェクトに属している他メンバーと例え業務内容や環境などは同じであったとしても、その方と貴方とでは必ず何かが異なっています。自分はこんな点で周囲からあてにされている、あてにされる人でいたい!と強く思えるものがきっとあるはずです。それを伝えてみて下さい。きっと貴方自身がより一層伝わるはずです。

逆に、あてに出来ることがパッと思いつかない方は、是非このタイミングで自分自身の“あてに出来る箇所”にスポットライトを 照らしてあげてみてはいかがでしょうか?

(2012年7月20日)

今回の教訓&アドバイス

経験の羅列では、本当の貴方自身は伝わりません

自慢話から自分自身が見えてきます。敢えて図に乗って振り返ってみましょう

自分自身の“あてに出来る箇所”に常にスポットライトを照らしてあげましょう

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