リスクを負う選択か、糧になる選択かを決めるのは自分自身
先日あるスタートアップ企業の経営幹部の方にインタビューする機会がありました。外資コンサルティングファームのプリンシパルと同じく外資コンサルティングファームのマネージャー出身の方で、現在はマザーズに上場している企業の取締役COOと執行役員のお二人になります。
それぞれの方が前職では非常に高い報酬を得られていた中で、一度それを手放してスタートアップへチャレンジをされています。お話を伺う中で、転職時のリスクという点の考え方について、とても参考になりました。
転職するときにどんなことを考えたか?という質問に対して取締役の方がおっしゃっていたことが印象的でした。
それは「自分は何もリスクをとっていないと考えた」というお話でした。
何故ならば、仮にスタートアップに行って全く成果が出ない、あるいは会社が上手くいかなくて倒産してしまうということが起こったとしても、その経験は絶対に糧になるし、3年から5年その経験を積んだ後、コンサルティング会社に戻ったとしたら、同じ5年間コンサルをやっていた人よりも、絶対にクライアントに対しても価値を出せる幅が広がっているだろうと考えたそうです。
一時的な年収やポジションのダウンに捉われず、10年後のキャリアを見据える
今回の話でもう一つポイントがあるとすると、長いスパンでキャリアを見られている点です。
コンサルとしてもう数年やっていくのは全く問題ない状態でしたが、10年、15年先を見据えた時に、何が出来る自分でありたいか?という観点を持ちながら次のチャレンジを考えられて、外に出られる決断をされていました
支援するだけではなく、自分で意思決定をする、決断をする、事業の産みの苦しみを味わうという経験を積んでおくことは必ず自分の長いキャリアの上では、価値ある経験になるという確信があったそうです。
長期的なキャリアの視点で言えば、一時的な年収のダウンやポジションのダウンも、投資期間と捉えられるかどうか?だと思います。
この話を聞いていて、非常に納得感がありました。確かにこのお二人がもう一度コンサルティングファームに戻りたいと思えばいつでも戻れるし、以前よりも評価が上がる可能性も大いにあると感じました。
では今回のケース、プロフェッショナルファーム出身の方だからそのように考えられるのではないか?と感じられるかもしれませんが、私は事業会社の方でも同じことが言えると思います。
要は、今の環境で活躍して成果を出し、周りに必要とされている方であれば、上記の事例は当てはまるのではないかと思います。人材の流動性が高まっていく世の中において、一度所属した企業、組織で再び働くということはこれからもっと増えていきます。
報酬や役職だけではなく、自分自身がやり甲斐を感じられるか?という視点が重要
私もキャリアのご支援をしていて、年収や役職のダウンを全く気にしないで次のキャリアを考えるというのは現実的ではないとも感じます。ご家族がいらっしゃったり、様々な事情で絶対に報酬が下げられないという事情を抱えてらっしゃる方もいるからです。
ただ誰もが出来るわけではない決断をした人にしか、見れない世界はあるとも感じます。これは良い、悪いではなく人生の生き方の話なのですが、キャリアップ=報酬が上がることではないと私は考えています。
何故ならば、その先に経験できることや、その環境がその方にとって、本当に自分がやりたいことなのかどうか?という観点もキャリアにとって非常に大事だと思うからです。
キャリアの考え方に一つの正解はなく、リスクの考え方も様々だと思いますが、転職先で起こりえる事象を冷静にかつ客観的な視点で想像しながら、ご自身が本当に遣り甲斐の持てる仕事をするという観点も忘れずにキャリアについて考えていただきたいと思います。
(2019年7月22日)
今回の教訓&アドバイス
年収や役職が一時的に下がることは決してリスクではない
長期的なスパンでキャリアを考える
本当にやり甲斐の持てる仕事をするという観点を忘れない
工藤 直亮
【 CxO専門チーム 所属 】 プロフィールをみる
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