キャリアアップコラム vol.30
漠然とした不安

同じ組織の中で走り続けてきて、ふと自分の経歴を振り返ってみると自分の専門性や市場価値に漠然とした不安を感じたことはありませんか?今回はそんな不安から相談にいらっしゃった方のお話です。

Aさんは現在33歳。有名私立大学を卒業後、東証一部上場企業に就職されました。営業を3年ほど経験した後、経営企画部に配属。その後8年程、経営企画に従事されています。

「今の会社や仕事に対して特に不満があるという訳ではないのですが、今の自分が転職市場でどう評価されるのかが知りたいと思いまして。」

新卒で入社されてから今の会社しか知らないため、今までの経験・スキルが客観的にはどのように見られるのかを把握したいとのことでした。

「それではAさんの強みなどポイントを踏まえて、今までのご経験をお話し下さい。」

するとAさん。

「経営企画の仕事をやっていて思ったのですが、自分の強みや専門性が何なのか良くわからないんです。」

「えっ、それは何故ですか?」

「経営層からおりてきた案件をこなしていくのが主で、やりがいはありますが、それは今の会社に限定された経営課題や案件であり、一般的に評価されるものなのかどうか・・・。社内調整や上司のサポート的な業務も多く、これが自分の強みですと自信を持っていいのか、そんなことを考えたら少し不安になってきまして、今日、こうして相談に来ました。」

続けてAさん、

「人事や経理の場合、特定分野のスペシャリストとして専門性をアピールすることができると思うんです。しかし今の仕事はゼネラリストと言えば聞こえは良いですが、正直何でも屋になっているような気もします。」

「確かに人事や経理などは、身に付けてきた専門性がわかりやすいですね。」

「ええ。以前の営業も数字が実績として裏付けになるので、自分のスキルを自信持って言えました。」

「今の仕事は自信の裏付けになる実績としてはわかりにくいということですよね?」

「はい。」

「そうですか。では今までやってきた仕事を、できるだけ具体的にお話頂けますか?本当に自分がしっかりやってきたという仕事を整理してみると、自然と強みや実績が見えてくると思います。」

それからAさんはルーティンな業務からプロジェクトまで、いろいろとお話しされました。中長期経営戦略の立案から運用レベルまでしっかりと事業計画へ落とし込んでいる点、合併・統合プロジェクトや海外事業推進プロジェクトの経験など、一つひとつ整理をしながらの話しはとてもわかりやすく、Aさんの言葉にも力を感じました。この他にも企画力、分析力、社内外の調整能力、業務推進力など強みといえる専門性もお持ちで、経営企画として鍛えられているといった印象を強く持ちました。

「しっかりと仕事をされてきたと思います。もっと自信を持っていいですよ。企業の面接では、具体的に説明できないとスキルが低いと判断されます。自分のスキルや強みを再確認するためにも、定期的にキャリアの棚卸をしてみてはいかがですか?」

不安の中で仕事をしていても精神的に良くありません。精神が健康でないと仕事への熱意も出なくなります。熱意を持って今の仕事に最大限取り組むこと、これがスキルアップにつながるのです。漠然とした不安を感じた時、今までの経歴を振り返ってみてはいかがでしょうか。具体的に説明できるよう、今までのキャリアを整理してみる。「温故知新」ではないですが、自分を知ることによって今後目指すものが見えてくるかもしれませんね。

(2012年3月5日)

今回の教訓&アドバイス

漠然とした不安を感じたらまずはキャリアの棚卸を

具体的に説明できるものが自分のスキル

熱意を持った仕事の取り組みがスキルアップにつながる

このコラムを書いたコンサルタント
コンサルタント
半藤 剛
コンサルティング業界・IT業界の方々のキャリア支援(キャリアアップ・キャリアチェンジ)、およびコンサルティング・IT企業への転職支援、経営幹部(CXO、マネジメントクラス)のキャリア支援に豊富な実績を持つ。
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