キャリアアップコラム vol.92
「瞬発力」で深まるやりとり

面接という限られた時間の中でお互いの理解をグッと深めるにはどうすると良いのでしょうか?最近、企業の面接担当者とお話をするなかで「話が深まっていかず、人となりがよくわからなかった」「別にこれといった問題は無いのですが、敢えて次に進める魅力は感じませんでした」というフィードバックを受けることが度々あります。実際の面接でどのようなことが起こっているのでしょうか。具体的なケースでお話させて頂きます。

パターンA
面接官:「現在の弊社のビジネスの状況はこのようになっています。何かご質問はありますか?」
候補者:「いえ、大丈夫です。(なるほど、やはり想像していたとおりだ。マネジメント面が肝になりそうだがこれまでの経験を活かせば貢献出来そうだ。)」
面接官:「(・・・どこまでわかってもらえただろうか??)。そうですか。では次の質問にいかせて頂きますね。Aさんはマネジメント面でどのようなことに気を付けられてきましたか?」
候補者:「(そうそう、そこが重要なんだよ。)そうですね、・・・な点を主に気を付けてきました。」
面接官:「そうですか。わかりました」

パターンB
面接官:「現在の弊社のビジネスの状況はこのようになっています。何かご質問はありますか?」
候補者:「はい、ビジネスの状況に関しては事前に資料を拝見したり、エージェントからの情報を元に想像していたところとかなり近いイメージでした。直近の経験を活かして最初の組織作りのフェーズから貢献できそうです。メンバーの性格をしっかり押さえた上でのマネジメントが重要になってきそうな印象をもったのですが、現状メンバーの方々はどのような方々でしょうか?差し支えなければ専門性なども可能な範囲で知ることが出来ればと思います。」
面接官:「(お、深いところに切り込んできたな。事前に良く調べてきてくれているようだし、話が早そうだ。)そうですね、現状のメンバーは・・・なタイプが多く、専門性については・・・な状況です。このようなメンバーですが、Bさんのマネジメントスタイルと照らすといかがですか?上手くやって頂けそうですか?」
候補者:「はい、・・・な点を特に意識してきましたので、そういったタイプの方々は上手く巻き込んでいけると思います。」
面接官:「そうですか。ではウチのメンバーをお任せしてしまっても大丈夫そうですね(笑)。ただ、マネジメントもそうなのですが、今は課題が別にもあってですね。実は・・・」

これは、ある面接でのやりとりの模様です。いかがでしょうか?パターンBのほうが、話が深まり両者の距離が近づいていっている様子がわかって頂けると思います。
両パターンの候補者は特にスキルや経験に違いはありません。事前調査についてもおそらく同等程度していらっしゃると思います。ここまでが一緒であるにも関わらず、面接の距離感が異なってくる、そのポイントはどこにあるのか。

それは「頭に浮かんだイメージを瞬間的に言葉にして発する力=瞬発力」の高さにあります。
この両パターンとも、面接の中で面接官から自社のビジネスに関する情報提供があり、それが事前の想定イメージに対してズレがほぼ無いことが分かった。その瞬間、心の中で、「やはり思ったとおり」と考えるに留めるか、事前に考えていたことと一致した旨を言葉に出し、かつ「そうであるならば、更にこういう点が気になる」と一段掘下げた質問をするか。この瞬間的な対応、コミュニケーションの中の「瞬発力」がお互いの距離を近づけ、理解を更に深めることに繋がっていくのです。

皆さんもご経験があるかもしれませんが、一度相手との距離が近づけば、少々聞きにくいことも比較的聞きやすくなります。そしてこういったやりとりを繰り返すことで、更にお互いの距離が近づき、併せて理解も深まっていきます。
面接の中で「理解が深まること」がどういうことを意味するかは言わずもがなですね。

(2012年10月15日)

今回の教訓&アドバイス

感じたことをその場に相応しい言葉で“即”表現出来るよう普段から特訓する

面接では「受け」のみではなく、瞬発力を発揮して感じたことをしっかり伝える

ただけでは伝わらない。伝わらなければお互いの理解が深まらない

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