キャリアアップコラム vol.135
エネルギーの源泉

面接合否の境界線にエネルギーや熱意が置かれることが見受けられます。「スキルはもう一歩といったところでしたが、エネルギーが高くキャッチアップ可能と判断しました」「経験は良いのですが、熱意が伝わってきませんでした」、「なんといってもあのエネルギーの高さは弊社の改革をお任せすべき方としてとてもしっくりきます」。面接で言われるエネルギーや熱意とは一体なんなのでしょうか?わかるようで意外にわかりにくい非常に抽象的なものです。今回は、面接の中での具体的な場面を題材にご説明させて頂きたいと思います。

質問ケース 「今回はどういった理由で転職をお考えですか?」

転職理由の確認という極めてオーソドックスな質問です。色々な回答が想定されますが、例えば、転職は「自己の成長のため」と考えるAさん、Bさんがいたとします。

Aさん「会社の上層部がゴタゴタしており組織の成長が鈍化しています。このままここに残っても自分自身成長感が得られないと感じており、会社を出ることを決めました」
このままでは成長が得られないという内容を会社の状況を理由として答えています。この回答からは次のように話題が展開していくと想像されます。
「経営陣があまり良くない状態なのですね。具体的にはどのような状況なのですか?」そしてここからは、意図せず会社の批判ともとれてしまう内容を回答してしまうようなシチュエーションになり、全体的に歯切れの悪いコミュニケーションになってしまいそうです。

では次のような回答をした場合はどうでしょうか?

Bさん「より一層の成長を求め、今回は転職することを決断しました」
とにかく成長が得たい、という極めてシンプルな回答です。おそらく次のように話題は展開していくと思われます。
「なるほど。ではBさんの考える成長とは具体的にどういった状態になることを指していますか?」
ここからは、自分のなりたい姿、どうしてそうなりたいか、もっと言うと「○○のような成長を求めている自分にとって御社がその場に最適と考えている」など渇望する成長への思いに加え、志望理由に繋がるような話題までもが滑らかに展開される。このような話題になれば自然と目が輝き、表情も明るく、身振り手振りまでも出るアクティブなコミュニケーションになるでしょう。

Aさん、Bさん、面接通じて受けるエネルギーの高さという意味ではいかがでしょう?

エネルギーとは内から湧き出る渇望感と情熱

まず上記例でお伝えしたかったのは、こういう質問にはこういう回答をしましょう、という回答指南では決してありません。

私は面接におけるエネルギーとは内から湧き出る渇望感と情熱が引き起こすものだと考えています。そして、これを呼び起こすのに最も重要なのは、まず自分自身のビジョン、価値観や強みをしっかりと棚卸しすること。そして面接は自分の描くビジョン実現に向けた大事な、大事な一歩目だという意識を持つこと、です。転職、とりわけ面接の場には色々な想いがめぐります。現職への不満、期待感、緊張感、自信喪失感、・・・。おそらくAさんは、現職への不満のパワーが自分のビジョン実現への想いに勝っていたのだと思います。一方Bさんは、ビジョン実現への渇望感と情熱がその他の感情に勝っていたのでしょう。そのような気持ちの状態が上記のような展開を引き起こし、結果としてBさんは声や表情も含めエネルギーの高い場を産み出すことが出来たのだろうと考えられます。

面接におけるエネルギーの高さとは単なる声の大きさではなく、内から湧き出るものでなければなりません。ビジョン実現に向けた渇望感と情熱を伴うコミュニケーションがなされれば、必ずエネルギーの高さが相手に伝わります。そして合否の境界線に自分があるとき、このエネルギーの高さが必ずや決め手になってきます。

(2013年6月5日)

今回の教訓&アドバイス

新人でもベテランでも面接の合否にエネルギーは大きく影響する

エネルギーを高めるために大切なのは価値観とビジョンと強みの棚卸

面接はビジョン実現に向けた大事な一歩目と考える

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