先日第一志望群の企業からオファーを得たAさん。他社でも選考が進み最終的に複数の選択肢を持たれました。一方、転職活動の見直しを目的に弊社に登録されたBさん。お話を聞くと最終選考でお見送りが続いているとのこと。ともに優秀でありながら内定に至るAさんとお見送りが続くBさんにどのような違いがあるのでしょうか。お二人のご支援を通じて見えてきた「転職活動を成功させる候補者が面接で実践していること」をご紹介します。
最終面談でもっとも重視されるのは、実績の「再現性」
前述のAさんとBさんは業界や職種は違えど、お二人とも現職で高い成果を出されてきました。Aさんは入社後難易度の高い様々な案件で成功を納め、Bさんも現職は創業フェーズのベンチャーにて事業だけでなく、組織づくりも主導されている方でした。ただ、過去に受けた面接でのBさんのコミュニケーションを棚卸してみると、Aさんのコミュニケーションとは大きな違いがありました。
それは、「これまでの成果を教えてください」という質問に対して、「どんな実績を出してきたか」を語るBさんに対して、Aさんは「なぜその成果を出せたのか」を重点的に語っていたという点です。弊社では選考後に面接官から面接フィードバックをいただくよう心がけており(様々な理由からいただけない場合もあります)、数々のフィードバックをいただく中で気づいたのは、採用側は候補者の過去の成果はもちろんのこと、その「再現性」を見極めているということです。特にビジネス環境の変化が著しく、技術革新が益々加速する中で、目の前の候補者が如何なる環境でも実績を出せるかどうかは極めて重要です。親切な面接官なら成果を出せた理由や要因、ご自身ならではの工夫等について丁寧に深堀して聞いてくれるかもしれませんが、特に最終面接は経営者や経営幹部の方が面接官となる場合が多いため、面接時は実績そのものだけでなく、その再現性を意図的に伝えていく方が良いでしょう。
「ストーリー」を伝えることで、印象を残す
先日あるカンファレンスでSaaS事業責任者の方が紹介された「ストーリーで語る」というエピソードが印象的でした。ビジョンにストーリー性を付けて語ったところ、メンバーに全く伝わっていなかったビジョンがメンバー間で語られ、浸透してきたとのこと。実はその講演でも冒頭に2つのビジョンが紹介されており、ビジョンを覚えているか参加者に確認したところ、ストーリー性のないビジョンの方は大半の人の記憶に残っていませんでした。面接も同様に候補者の方が滔滔と語った素晴らしい実績の数々もそれだけでは面接官の記憶に残っていない可能性もあるのです。
再現性を伝えるときは、「目標と現状」、「ギャップと打ち手」、「結果」の3ステップで
今回はよりシンプルかつすぐに活用できるフレームをご紹介します。面接官のコミュニケーションスタイルによって結果とプロセスのどちらから伝えるかは工夫が必要ですが、まずは以下のステップを活用してご自身のキャリアを棚卸して伝えてみてはいかがでしょうか。
・「目標と現状」:仕事上の目標(=ゴール)とそれに対する現在の状況
・「ギャップと打ち手」:目標と現状のギャップ(=不足)とそのギャップを埋める打ち手
・「結果」:ギャップを埋めるための打ち手を打った結果・成果
このフレームはコーチングでも思考を整理する際によく活用される手法であり、面接だけでなく日常の業務でも簡単に使えます。上記の3ステップをもとに改めて過去の経験を棚卸して面接に臨んだBさんからは「今までよりシンプルに伝えられるようになった」、「メンバーともこのステップで営業の振り返りをしている」というご感想をいただきました。もちろん、転職活動でも成果が出始めているご様子です。ご自身の実績とともにその再現性を正しく面接官に理解してもらうためにこのフレームを活用して面接に臨んでみてはいかがでしょうか。
(2020年1月20日)
今回の教訓&アドバイス
面接官が見極めたいのは「成果」だけでなくその「再現性」
「ストーリー」のある話は印象に残る
「目標と現状」、「そのギャップと打ち手」、「実践した結果」の3ステップで伝える
吉田 綾
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