Aさんは26歳、大学卒業後、運輸会社に人事として就職。採用、人事給与などを経験され、はじめての転職です。最初、当社の「人事のためのキャリア相談会」にお越しになりました。Aさんは経験3年ちょっとにしてはかなり責任ある立場で仕事をしていらっしゃって、充実したキャリアを積んでいらっしゃるという印象は受けましたが、そんなに記憶に残るような感じではありませんでした。相談会の後、3ヶ月ほどして連絡がありました。
「Aです。また相談に乗って頂きたいのですが。」
「どうされました?」と私。
すると、前回の相談会の後、やはり転職しようと思って何社か受けたものの、書類選考は通過しても面接でことごとく落ちているとのこと。自信を喪失してどうしていいかわからないので教えてほしいとのことでした。早速次の日にお会いしました。
詳しくお聞きすると、既に4社の面接に落ちていらっしゃること。最初は和やかに進むのに最後は重苦しい雰囲気で面接が終わってしまうとのことでした。そして、理由は全て当社の社風に合わないのではないかということだそうです。お話しているAさんは、表情も暗く、目線も下を向きがちで完全に自信喪失といった印象でした。
「Aさん、それは大変でしたね。」といって私はやさしく微笑んでみました。
Aさんは、ちらっとこちらをご覧になり、また目線を落とされました。
「Aさん、ミラーリングって知ってますか?」
「???、ミラーリングですか。」
「ミラーリングとは、私が微笑んだらAさんも微笑み返すという表情のコミュニケーション技術なんですよ。」
そして、言葉だけではなく表情がコミュニケーションにはとても大切であること。相手の表情に合わせてこちらも表情を作ることで気持ちのコミュニケーションが促進されること、またこちらからやさしい表情を相手に向けると、自然と相手の表情もほぐれて場が和やかになる効果があることなどを説明しました。
「私が緊張してずーっと真剣で堅い顔をしていたのがいけなかったんですね」。 「そうですよ。面接だからといって過剰に真剣、まじめな表情になる必要はないんですよ。逆に面接官が堅い顔をしていてもAさんが和やかな表情をされていれば自然と面接官の表情もほぐれていくものですよ。」 その後、Aさんは当社の「面接コミュニケーションセミナー」の予約をされ、お帰りになりました。
1ヶ月後、Aさんから電話が来ました。 「おかげさまで、2社から内定を頂きました。もう1社も今週最終です!」 相手の目を見て、ミラーリングを心がけて自分の表情を作ることで、見違えるほど面接の雰囲気が変わったそうです。そしてなにより自分が発する言葉も以前に比べて前向きになったそうです。Aさんは、最終的に通信サービス会社の人事企画&採用担当として好条件で転職されました。そして、会社でも自分から明るい表情で働きかける「ミラーリング」効果で一気に社内に溶け込み、周囲からも高い評価を受けていらっしゃいます。
(2012年3月15日)
今回の教訓&アドバイス
コミュニケーションは表情8割、会話2割。(1割以下という説も。。)
相手の表情に合わせるミラーリングは相手の気持ちを受けとめているサイン。
自分から微笑みかければ、ミラーリングで相手も必ず表情が和らぐ。
目線は絶対落とさない。
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