皆さんは興味のある企業とのカジュアル面談や面接で、希望年収をどのように伝えますか?実は、希望年収の伝え方やタイミングによって、企業側の印象や提示年収が大きく変わる可能性があります。
希望年収の考え方と伝え方の実例
転職活動をする際、転職後の年収幅について、おおよそ以下3つのイメージをもつ方が多いでしょう。
・理想的な希望年収 ・柔軟に検討できる年収の幅(会社や事業のフェーズ、志望度、ポジションの経験値、ストックオプションやRSUを加味) ・この年収未満なら転職しない |
希望年収を企業側に伝えるとき、この3つの年収イメージのどれを、いつ伝えるかが非常に重要です。
そして、希望年収を伝えるタイミングは大きく3回あります。
1. カジュアル面談や一次面接 2. 2次面接以降~内定前後 3. オファー面談 |
上記のうち、最後のオファー面談はフィックスしたオファー条件が提示される場であるため、年収などの条件交渉の余地があまりないことが多いです。そのため、「カジュアル面談や一次面接」もしくは「二次面接以降~内定前後」で希望年収を伝えておく必要があります。
それぞれのフェーズで希望年収を伝えた例を交えながら、タイミングに合わせた希望年収の伝え方について説明していきます。
カジュアル面談や一次面接での希望年収の伝え方
カジュアル面談や一次面接においては、候補者の方と企業はまだ「初めまして」の状態であるため、希望年収の伝え方に特に注意が必要です。
先日キャリアのお手伝いをしたAさんの例です。求人票での想定年収が1000~1400万円だった大手企業の部長のポジションのカジュアル面談を受けました。
一次面接に進み、面接の中盤までは評価が高かったのですが、希望年収を聞かれた際に、「現職の今年の予定年収が1600万円なので、1600万円を希望します」とAさんがストレートに答え、一次面接でお見送りとなりました。
その理由は、「初期の段階で、求人票以上の希望年収をきっぱりと言う方は、組織になじめるのか心配になった」というものでした。このように、企業は希望年収の伝え方でも、仕事の進め方やカルチャーフィットをしっかり評価しています。
2次面接以降~内定前後での希望年収の伝え方
2次面接以降~内定前後で希望年収を伝える場合、複雑に絡み合う要素を考慮する必要があります。例えば、候補者側でいえば企業への志望度・経験・スキル・実績・現年収、他社選考状況。企業側でいえば、スキルや経験やカルチャーフィットへの評価、組織メンバーとのバランスなどです。
そこで、新卒で大手損保会社に入社し、セールスの経験を積み、29歳で年収700万円のBさんのケースをお伝えします。BさんはSaaS系メガベンチャーX社のセールスポジションの選考を受けていました。一次面接フェーズでは「希望年収は現在と同じく年収700万円ほどがとてもありがたいのですが、IT業界は未経験なので600万円までは下げられます」と回答。
一次面接は通過し、X社から私たちには、「年収700万円以上はマネージャー候補の扱いになるため、もしBさんにオファーを出す場合は現在の年収より下がることになる」というフィードバックが伝えられました。
Bさんは二次面接でも希望年収について聞かれ、「一次面接でお伝えした通り、未経験の業界なので柔軟に検討します」と回答。企業からは「業界は違っていてもセールスとしての考え方や実績として再現できる可能性があり、謙虚で人柄も良いので、最低希望年収600万円は十分に提示可能な方です」という評価があり、最終面接に進みました。
BさんはX社が第一志望でしたが、このタイミングで他のIT企業から年収680万円のオファーがありました。その事実を私たちにもすぐ連携いただいたため、X社にもその旨を伝達。そして、X社の最終面接では、「他社より低い条件でオファーを出すか」「他社と同等もしくはそれ以上の年収を提示するか」 を検討することになったのです。
最終面接で、Bさんは第一志望である熱意やこれまでの実績を語りました。結果としてポテンシャルも高く評価され、IT業界未経験でありながらマネージャー候補として現在の年収より高い720万円のオファーが出て、入社されました。
Bさんは結果として希望年収を叶えた転職ができました。しかし、一次・二次面接での希望条件の伝え方が違っていたら、私たち紹介会社にクイックに他社状況を共有いただいていなかったら、選考結果や提示年収は違っていた可能性もあります。
このように、希望年収の伝え方やタイミングは、私たち紹介会社と候補者の方がしっかりタッグを組んで選考に臨むことが非常に重要です。
こうした点も含め、私たちクライス&カンパニーはしっかりとサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。
(2022年7月20日)
今回の教訓&アドバイス
希望年収の伝え方で、仕事の進め方やカルチャーフィットを評価されることも
自分の経験やスキルを企業側がどう捉えるか考え、希望年収を伝える
希望年収の伝え方やタイミングは、紹介会社と連携する
中野 広大
経営企画・事業企画・NFTコンサルタント・営業・キャピタリストなどのポジションを担当しています。 プロフィールをみる
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