経験、スキルはもとより、企業はますます人材のポテンシャルを重視する傾向になってきました。とはいうものの企業のポテンシャル採用というのは何が本当か時々わからなくなることがあります。落ちる人と受かる人、この差は何でしょうか。それがわかれば話も早いのですが・・・。そこで私なりに考えてみることにしました。
「 思いやりと表情 」
男女問わず、ビジネスマンの「思いやりと表情」のある方の採用率はとても高いです。言い換えると、「相手はどんな気持ちなのかを思いやれる」「反応がいい」「キャラクターがいい」とでも言うのでしょうか、大抵そういう方は、会話の中でも相手の表情をつかみ、反応して、笑ったり、困ったり、ちょっとしたボケ、つっこみ、隙といった素養を持ち合わせています。自然と上手にコミュニケーションが取れるんですね。
例えばある面接の場で採用側の企業の社長が、候補者をリラックスさせるつもりで多少冗談を言いながら面接したときのことです。候補者の方は、社長ということもあって緊張してしまったのでしょう。社長の思いやりを意識できず、苦笑するような場面も全く笑うことができなかったようです。結果は、「固すぎるよ。あれでは伸びるイメージがわかない。こちらが言うことをしっかり吸収して大きく伸びるイメージが欲しいね。」ということで見送りとなってしました。
「 これは訓練により育成できる 」
ある候補者Cさんは、若手の営業職で、キリっとした感じの方ですが、少し固すぎる印象がありました。たとえば転職理由をお伺いすると、「もう、今の職場では違うなと思ったからです。新しい提案活動を行いたいんです。」と、非常にあっさりしていて、こちらも返答に困ってしまいました。不親切な感じすら与えます。
そこで、実際の面接前に、当社のコミュニケーショントレーニングプログラムを受けることをお勧めしました。そうすると、トレーニング前にはあれほどあっさり答えていたことが、同じ質問に対して、
「今の職場では大手のアカウントを1-2社張り付きで見ていくスタイルです。顧客への企画提案活動の数がたくさんあるほうが自分では好きで向いていると思いますし、現在の製品は私でなくても売れると思っています。もっといろいろやってみたい、でも今の職場ではそんなスタイルは無いのです。そのため、新しい場を検討することにしました。」こんなにも変わったのです。このように答えて頂くと、こちらも聞きたくなることがたくさん出てきます。
「そうですか。たくさんの顧客がいるほうが好きなのですね?」とか「自分ならではの企画提案をしたときの気持ちや体験で印象に残ったことを教えてください」など・・・。つまり、1、2分くらい自分の気持ちを入れつつ、答える。それも少し親切にすると、その方自身の魅力がでてきて、人間らしく潤いが感じられます。答えが問題なのではなく、答え方なのです。
それまでは、とにかくぼろがでないよう、きちんと答えることを念頭においていたものを、率直に親切に相手に自分の気持ちをわかってもらうよう1分くらいを目処に話すことを意識しただけで、コミュニケーションが劇的に良くなったのです。
おそらく、新卒のときの企業の面接は「プレゼンテーション」的に行うものというくせがあるのでしょう。でも中途は全く違います。面接は双方のコミュニケーションです。面接官はいずれも年齢が上の人だったり、マネージャー以上のポジションの方です。「この人はいい子だな、可愛げがある=人の話しを聴ける=伸びる余地がある=育ててみよう」そう思ってもらえれば、たとえスキルや経験が少し足りなくても採用につながるのです。結局大切なのは、面接官の質問の中にある気持ちを受けとめ、面接官がほんとうに聞きたいことに一生懸命応えるという伝え方です。そしてそこから滲み出る「人間性」だと思います。
ただ、その基準は企業によりさまざまで、スキル、経験のように募集要項に書かれてはいません。だからこそ、そういった目線で見られていることを意識してみるだけで、変わってくるはずです。「茶目っ気がある」、「キャラクターがいい」「気持ちがいい人」そう言われるような魅力ある人になれるでしょう。そういったことが苦手と思っている、私はこんなキャラクターじゃないと思っている方も意識すると日常も変わります。
(2012年5月25日)
今回の教訓&アドバイス
面接はプレゼンテーションではなく、コミュニケーション。
言い方、話し方、答え方のトレーニングで着実にコミュニケーション上手になる。
相手(面接官)の気持ちを受け取る、思いやってみる。
岡田 麗
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