面談で最も多い質問の一つが、応募書類の書き方についてです。人事や面接官の仕事をされている方は他人の書類を見る機会がありますが、それ以外の方はあまりそういった機会もなく、自分の書類が他人と比較してどのように見られるのか気になるところだと思います。今回はある方のケースを紹介しながら、最近私が感じる事をお伝えしたいと思います。
Iさんは、外資系戦略コンサルティングファームでマーケティングの仕事をされていて、ある事情で転職活動を始めていらっしゃいました。これまでの経験を即活かせるところで仕事ができればという希望で、同業のコンサルティングファームでマーケティングの求人がないかというご相談でした。
既に応募企業のターゲットは絞られていたので、ご自身でも関心のある企業はHP等でかなり調べていらっしゃいました。マーケティングの仕事柄、コーポレイトサイトを見ればそのサイトの良し悪しについてご自身なりの見解をお持ちのようで、ある会社については、同業の中でもかなり知名度が高いものの、サイトのクオリティが低い為に、企業の営業活動(ブランディング)や採用において多大な損失があるとの事でした。
同社はその当時マーケティングの募集はされていなかったのですが、Iさんは履歴書、職務経歴書の他に、コーポレイトサイトの課題、及びご自身が入社した暁には具体的にどのように改善し、その結果どのような効果が期待できるというカバーレターを作成し、同社に打診しました。その企業の反応は、管理部門のスタッフで人員不足はなかったものの、経営層の中ではコーポレイトサイトに問題意識を感じていたようで、カバーレターの内容に高い関心を持ち、面談に進むことになりました。
面談では、カバーレターの提案内容を中心に質問に答えるという形で話が進み、その提案内容が高く評価され、見事オファーを獲得されました。しかも初代マーケティングマネージャーのポジションをIさんの為に特別に用意して迎え入れる事になりました。
Iさんのケースは非常にレアなケースなので、皆さんに同じようにカバーレターを作成することはお奨めしませんが、このケースから私自身大きな気付きを与えられました。多くの方の書類は、これまでの経験業務を記載して、このようなキャリアですがいかがでしょうか?というどちらかと言えば、受け身なスタンスの書類であることが多いです。一方、Iさんの書類は、「私が入社することでこれだけのメリットを提供することができます!」といった、提案(攻め)のスタンスです。
企業側にメリットを見出してもらうことを期待するのではなく、少なくとも自分自身が考える採用のメリットを理解してもらう工夫をされた方が良いと思います。それを理解してもらった上で結果が悪かったとしても諦めがつきますが、それさえ理解してもらえずにお見送りになるのは非常に勿体ないです。企業がどのような人材を求めているか、今後の事業展開はどのように考えているか等は、我々エージェントから情報提供できることもございますので、その辺りはうまく利用して頂ければと思います。
書類選考とは言わば、候補者の為にまずは1時間程度の時間を作って会いたいと思うかどうかのジャッジです。突然の営業電話でも提案内容に魅力があれば、話を聞いてみようかなと思う事があるかと思います。募集要件とキャリアがマッチしていなくても書類選考が通過する方は、一度会って話を聞いてみたいと思わせる書類である事がほとんどです。
※ちなみにIさんはその当時経験社数は8社でしたが、2年後の今はさらに2社増えています。転職回数が多くてもその懸念を上回る魅力があれば、企業は採用するという事ですね。Iさんには、常に攻めのスタンスで転職を成功されていて、いつも驚かされます(笑)
(2012年11月20日)
入江 祥之
【 CxO専門チーム / ポストコンサルタント専門チーム 所属 】 プロフィールをみる
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