「歴史から現代の生き方を学ぶ」という本をよく見かけます。何百年も昔の人たちのことでも、現代に通じることが多々あることは皆さんお気づきの通りですね。温故知新という言葉もあります。そんなわけで、今回は番外編として歴史上の出来事を少し引用しながら学びたいと思います。
私たちが日常的によく使う「大御所」という言葉。“いよいよ大御所のご登場だ!”という具合に。そもそもこの「大御所」という言葉は「前征夷大将軍」という意味だそうでして、徳川家康から始まりました。まさに歴史上の人物として超大御所級の家康は、信長、秀吉のあと、長生きしたことで戦国の世を終結させ、 260年続く江戸幕府創設に至りました。さて、そんな家康に降りかかった最大のピンチの一つとして次の出来事があります。正室と嫡子(信康)が武田勝頼への寝返りを企てたという疑惑が持ち上がり、家康の強力な軍事同盟者だった織田信長からこの二人の成敗を迫られたのです。結局、断腸の思いで成敗を実行しました。細かい経緯は割愛しますが、戦国史好きの方々にとっては有名な話ですね。自家の未来を託すべく有能な長男を死なせるということを、なぜ家康は実行できたのか。
現代とは時代背景が異なり、人命の相対的な重さも違うため、行動の取り方に相違はあるものの、是非参考にしたい歴史の一場面だと思います。
私はこの話から、相手の疑心暗鬼を払しょくし、信頼関係を維持(回復)するには、相当な覚悟と誠意を込めなければ簡単には通じないということを学びました。プライドもへったくれもないのです。
現在に置き換えてみてみましょう。上司と部下、あるいは同僚同士の間でほんのちょっとした行き違いが発生し、なんとなくそのままにしていたところやがて修復不可能なほどこじれてしまい、それが原因で止む無く転職を、なんてことは実際には相当起きていると容易に想像できます。
さすがに、戦国の世のような命のやり取りには発展しないものの、気持ち的には命がけの覚悟で自分を正しく理解してもらうこともときには必要なんだな、ということをあらためて考えずにはいられません。大事なことは、まずは自分が相手を理解してから理解されるという順番を守ることです。
誤解された側は“運が悪かった“、“周囲が悪い”、“あの人が変だから”、とまったく自分の非を見ようとはしません。実はご自身に原因の一端があるにもかかわらず。
そんなときには、誤解をされてしまうような言動や行動、更には表情をしてはいなかったか、一旦冷静になってわが身を振り返ることを是非してほしいと思います。
いくら頭がよくて企画書づくりやプレゼンが得意でも、あるいは専門的な知識が豊富であっても、妙な誤解を招き、組織の中で浮いてしまっては折角の能力も生かされません。
こんなにもったいない話はないと思います。
優秀そうなのに転職を短期間に繰り返している方で、転職理由が今一つよくわからない方々の共通点としてもこういうことが感じられます。
自分自身の行動や言動を振り返ってみて、“あれはまずかったかも“と気がついたことがあれば勇気をもって行動を変えることから始めてみてはいかがでしょうか?
最初は照れくさかったり違和感があったとしても、後悔することはないはずです。
(2012年7月25日)
今回の教訓&アドバイス
社内でのちょっとした行き違いは、放っておくと人生を変えることにも。
謙虚に自分自身の行動を振り返り、勇気を持って自分を変えることの大切さ。
まずは自分が相手を理解してから理解される。
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