キャリアアップコラム vol.189
家族の反対を押し切ってでも転職するべきか?

何故今、この会社に転職するのか?が見えないと決められない

我々のもとにご相談にいらっしゃる方々にはご家庭を持つ方も多く、最終的な意思決定の際にご家族の反対に遭い、悩まれるケースもあります。今回は実際にあった過去の2つのケースをもとに、考えてみたいと思います。

Dさんは大手企業に20数年勤める技術職の40代後半男性で、何か良い話があればという気持ちで転職サイトに登録。日系グローバル成長企業でオファーが出ましたが、ご家族の反対に遭い、回答期限を延長しても決断できずご辞退となりました。一部上場企業で年収も大幅アップ、代表の方にも魅力を感じていたにも関わらず…です。奥様やご両親にしてみれば、名の知れた大手企業で問題なく定年までいられるのに、何故聞いたことも無い会社にこのタイミングで移るのか?更に勤務地が遠方となるため単身赴任となるが、受験生の子供を奥様だけでケアするのは負担が大きいと不安に思われるのもごく自然なことです。では、Dさんは家族を説得できなかったからオファーを辞退したのでしょうか。実はそうではなく、最終的には奥様もDさんがしたいようにすればいいと言ってくださったものの、Dさんは現職の可能性を捨てて新しい環境に身を投じる、という決断がどうしてもできなかったのです。オファー辞退後もDさんから悔やむような言葉があり、とても残念に思いました。

家族の強い反対を受けて初めて見えてきた、キャリアチェンジへの強い想い

さて、もう1つ別のケースを見てみましょう。Eさんは上場企業でコーポレート系職種の要職に就いている40代後半の男性で、以前のような「攻め」ではなくルーティンとなった仕事がつまらなく、もう一度チャレンジしたい意欲をお持ちでした。その後エンタメ系ベンチャーでオファーを獲得されたのですが、奥様とお子さんの強い反対を受けて非常に悩むことになります。Eさんにお電話すると、未整備の環境を自らの手でつくりあげていくことや、代表の方々の魅力に惹かれているものの、会社の将来性という点では何の保障も無く、自分のやりがいだけを求めてこのような環境に飛び込むことはエゴなのか?と悶々とした状態でした。私は、まず二段階に分けて考えましょうとお伝えしました。そもそもEさんご自身は様々なリスクを承知の上でもこの環境に飛び込みたいのか?もしNOならやめた方が良い。しかし、YESなのであれば、あとはどうご家族に受け入れてもらうかどうか。恐らく当面の間ご家族の不安は拭えないと思われるが、Eさんが本気でチャレンジしたいならその覚悟を分かってもらう努力が必要ですよね、と。Eさんは私との電話を通じて、やっぱり自分はここに行きたいのだという強い気持ちに気づいたそうです。最終的にはご家族の理解も得て転職を決定され、今は新しい環境でバリバリ活躍しています。転職したことに後悔は無い、というEさんの言葉がとても嬉しく心に残っています。

まずご自身の正直な気持ちと向き合い、後悔の無い決断を!

こうして2つのケースを見てくると、本質は家族の反対有無にあるのではなく、ご自身がどうしたいかという原点に立ち返ることが重要であると言えます。いざ転職を決断するという段階で、ご家族の反対に遭うことは非常につらく苦しいものです。しかし、それでもやはり挑戦したいのかどうか、自分の心の声と真剣に向き合う機会でもあります。ぜひご自身のキャリアを真剣に考え、向き合った上で後悔の無い決断をしていただきたいと願っています。最後に、私が10数年前に出会って感銘を受けた内館牧子さんの本、「夢を叶える夢を見た」をご紹介します。プロボクサーや会社員など夢を叶えたいと「飛んだ(=転職した)人」、「飛ばなかった(=現職に留まった)人」の事例がノンフィクションで描かれています。ご興味のある方はぜひご一読ください。
 
(2017年11月20日)

今回の教訓&アドバイス

家族の反対有無以前に、まず自身がどうしたいかどうかが重要

本気でチャレンジしたい場合は、家族を説得する努力を

転職するにしてもしないにしても、後悔のない決断を!

このコラムを書いたコンサルタント
コンサルタント
神田 昭子
日系大手グローバルメーカー、ベンチャーの経営幹部、事業会社のIT系ポジション(セールス、データサイエンティスト、企画職等)を主に担当しております。
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