転職活動における「際」の対応・行動を企業は見ている
転職活動を進める中で、いくつかの「際」があります。その中でも大きなもののひとつが「決め際」です。決め際にも色々とありますが、そのなかでも大きなものは入社の意思決定場面です。そして、「辞め際」は現職との退職交渉場面。以前にもこのコラムでお伝えしたことがありましたが、この「際」を企業は重要視しています。
決め際は決断力を見ている
入社承諾は、これからの新しいキャリアを選択する重要な局面です。この段階に来るまで、どのような基準で考え、優先順位をつけて進めてきたか。そして、しっかりと決断ができるかどうか。この重要な意思決定の仕方を、企業はビジネスの場面における決断の仕方と重ねてイメージします。
一例として、Aさんのケースをご紹介します。
複数の企業を進める中で、意中のB社から内定を獲得。他社の選考はまだ残っていましたが、一緒に面接ごとに優先順位を付け、確認したい点を整理してB社とも共有し、オファー面談の場でクリアにすることができたので、その場で入社の意思決定をされました。
B社が喜んだのはもちろん、同様に決断力の高さからAさんへの評価・期待を更に高くされました。その結果、入社後の業務が当初の想定よりも責任のある内容となり、早々にB社の中で存在感を発揮し活躍されています。
辞め際は仕事の進め方を重ねて見ている
これまでの活躍から強い引き止め・慰留をされ、退職に苦労される方も多くいます。ストレスがかかるタフな環境で、誰を味方につけるか、どのように周囲を巻き込み話を進めて退職承認を得るか。この一連を企業はビジネスの場面における調整力や推進力、プロジェクトマネジメント力などと重ねてイメージします。
一例として、Cさんのケースをご紹介します。意中の企業への入社が決まり、退職交渉をスタートするも予想を超える慰留があり退職に苦労されました。入社日まで1ヶ月を切っても退職が決まらない状況を心配して話を伺うと、何度かミーティングをセットするもちゃんと話を聞いてもらえず、新卒で入社して以降お世話になった上司から「これからも一緒にやっていきたい」「会社にとっても、俺にとっても必要な人材だ」と情に訴えられ、嬉しい気持ちや嫌われたくない感情から強く言うことができず、ズルズルと来ていました。
改めて、Cさんが実現したいキャリアプランやそのために今何をすべきか、しなければならないかをクリアにしました。その結果、現職ではなくE社への転職が必要であることを再確認できましたので、改めてこれから何をどのようにすべきかを整理し、退職交渉に臨んでいただきました。私はE社に対して入社日を1ヶ月延長いただけるよう交渉し、無事にご入社いただくことができました。
後でわかったのですが、もう少し延長の相談・依頼をするタイミングが遅かったり、入社日の延長期間が長かったら、E社は内定自体を白紙にすることを考えていたようです。お互いに握ったゴールに向け、一定期間で達成や修正ができないようでは入社後に仕事を任せることが不安であり、熱量やスピード感を含めてウチでは難しいと判断したと思うとのことでした。
今では前職とも良好な関係を維持し、E社で元気にご活躍されているCさんを見ると、あの時にしっかりと対応ができて本当に良かったと思います。
これまでにこのコラムで取り上げてきましたように、転職を成功させるために重要なことは数多くあります。
そもそも、転職の成功とは何か。意中の企業に入社することだけでなく、入社後に活躍して目指すキャリアを実現することです。そのために入社後に頑張ることはもちろんですが、転職活動時の行動も早期の立ち上がりにつながっていることをお伝えさせていただきます。
そして、不測の事態や順調に進まないこともあると思いますので、最適な行動をとれるよう一緒に考えていければと思います。
(2021年5月20日)
今回の教訓&アドバイス
転職活動における「際」の対応・行動を企業は見ている
「際」の対応力=仕事の仕方・スキルと考える企業は多い
転職後の活躍のためにも「際」の対応・行動は重要
半藤 剛
【 デジタルプロフェッショナル専門チーム 所属 】 プロフィールをみる
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