面接以外のコミュニケーションでも、候補者のスキルは伝わる
面接官は面接を通じて様々な角度から候補者を見ています。経験を通じてのスキルはもちろんのこと、コミュニケーション力やリーダーシップなど、職務経歴書では見えない内容を会話のやりとりから感じ取っているのです。決断力もそのひとつです。
年収が下がり、多忙な職場への異業種転職に悩むAさん
Aさんは28歳、経営の意思決定に関わる仕事がしたいと思い、コンサルティング会社への異業種転職を希望して転職活動をスタートしました。ある日、B社から是非お会いしたいとの連絡が。B社はクライアントにかなり入り込み、経営戦略・事業戦略の実行支援まで行うことが強みです。Aさんの志向とも合致しており、このチャンスに気合を入れて面接に臨むことになりました。
順調に選考プロセスをこなし、B社から最終面接の連絡がきました。Aさんもその「朗報」にはもちろん喜んでいましたが、話をしていると少し不安な言葉が…。
「1点気になっているのですが、とてもハードな職場のようですね。家に帰れない日も多々あるようで。現職も忙しいのですが、それ以上かもしれないです。」
コンサルティングという仕事柄、クライアントや納期にあわせたスケジュールになるため、確かにハードな仕事かもしれません。B社も、Aさんが異業種からの転職ということもあり、あえてその点を強調し、十分納得された上で決めていただきたかったようです。
「面接では、なんとお答えしたのですか?」
「一応、大丈夫とは伝えました…。でも年収が下がることを考えると…。」
確かに悩まれるのもよくわかります。あとは希望の仕事をするためのリスクをどれだけのリスクと捉え覚悟ができるかです。最終面接までまだ1週間ありますので、じっくり考えて、どちらにせよ当日までにお気持ちを決めていただくようお願いして電話を切りました。
そして最終面接が終了し、Aさんから連絡がありました。
「面接は無事に終了しました。B社のことや仕事内容はとても興味深いです。給与もハードさも理解はしているんですが…。どうしても、まだ気持ちが固まりません。」
面接ではB社から「本気で、当社でコンサルタントとしてイチからやる気があるのであれば、しっかり育てていくよ」とはっきり言っていただいたようです。しかし、現実的に考えれば考えるほど慎重になってしまい、その場ではあいまいな返答しかできなかったとのことです。
企業から決断力がないと判断されてしまった理由
翌日、B社から連絡がありました。
「Aさんの件ですが、今回は見送らせてください。」理由を確認すると・・・。
「決断力が無いと弊社でやっていくのは難しいですよ。」
面接を通じてポテンシャルは高く評価されていました。磨けば光る人材で、鍛えることによって活躍していただけるイメージも持っていたようです。
「新しい仕事にチャレンジするので不安な点があるのはわかりますが、これまで何度かお会いして、前回の面接からも1週間以上あったのに決断できないのでは、正直、弊社でやっていくのは無理ですね。」
コンサルタントという仕事は、経営者と向き合い、都度腹を括らなくてはならない仕事です。自分のことも決断できないのであれば、ビジネスにおいても難しいと判断されたようです。
同じ日にAさんから連絡があり、改めてB社で本気で取り組みたい旨の連絡がありました。しかしながら、時は既に遅し。B社の決定は覆りませんでした。
今回のケースはあくまでも一例ですが、企業側はさまざまなシーンで決断力や意思決定の仕方を見て、本気度や、ビジネスにおける決断力を量っています。転職活動は決断や意思決定の連続です。都度しっかりと考えをまとめ、しかるべきタイミングで結論を出すことが大切です。あいまいに先送りすると、仕事においても決断できない人と判断されてしまいます。
(2012年5月10日)
今回の教訓&アドバイス
転職活動でも決断は重要。その場に応じた意思決定が必要。
転職活動中の決断力は、ビジネスシーンでの決断力とみなされる可能性大。
タイミングを逃さず、腹を括ることが重要。
半藤 剛
【 デジタルプロフェッショナル専門チーム 所属 】 プロフィールをみる
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