キャリアアップコラム vol.4
退職を口にしたら・・・

転職活動をされる方もたくさんいらっしゃいます。また転職を決意していても強い慰留にあって転職を躊躇したり・・・。 今回はそんな迷いの真っ只中にいらっしゃったDさんの例をご紹介いたします。

現在の会社を続けることを迷いながら、Dさんは31歳。大阪の専門学校を卒業され消費財メーカーで宣伝を担当されていた方です。当社のホームページからエントリーされ、ある外資大手食品会社のマーケ&ブランドマネージャー候補として内定されました。内定された時は給与も大幅にアップ、学歴、男女差も関係なしという環境を手にできたことで、すごく喜ばれていました。入社予定日を2週間後に控えたある日・・・。

「Dです。色々考えたのですが、今回転職するのはやめようかと思いまして・・・」

「えっ、どうされたのですか、あんなに喜んでいらっしゃったのに、家庭のご事情かなにかですか?」

結局、電話では難なんで、お会いしましょうということになりました。

お会いして理由を聞いてみると・・・

「いや、じつは退職を伝えたところ、激しい慰留にあいまして、役員まで出てきて大変なんです。」

「それはそうでしょう。優秀な人は辞めるのも苦労されますよ」

「それで給与も大幅アップ、役職もつける、という好条件まで提示されまして・・」

「あ、それでご辞退しようと思われたのですね。Dさんの元々の転職理由は給与でしたもんねぇ。」

「そうなんです。加えて上司がみんな引きとめてくれるもので、なんだか少しうれしくなって」

「なるほど。よくわかります。でもね、Dさん。私の経験では退職慰留をされて転職を止めて、1年以上勤続された方はいませんよ」

「えっ。どういうことですか?」

Dさんは少し顔色を変えられました。

事実、私の経験で慰留された後、1年以内にやっぱり転職する方が今のところ100%なのです。

「上司はいろんな理由があって慰留します。例えば退職者を出すと人事考課でマイナスが付くとか、実際後任が見つかるまでカバーできないとか」

さらに、

「Dさんだけ特別扱いできたのは役員の判断でしょう。もしその役員が退任したら、後任の役員次第で待遇はどうなるかわかりませんよ」

加えて、一度退職を役員レベルにまで伝えたら、いわゆる「裏切り者」の烙印を押されてしまうこと。サラリーマンが「退職を口にする」ということは経営者にとっては「奥さんに離婚を口にされる」のと同じ位重いことであることを伝えました。

「Dさんは今、孤軍奮闘状態ですから転職慰留に応じる方がスムーズに思えるのはよくわかりますけどね。」

するとDさん、

「確かに大変なのと条件が良くなるということだけに反応していたかもしれません。本当の転職理由は給与だけではなかったですからね。」

「もう一度、役員に話して退職の意志を伝えます。」

その後、Dさんはより一層強い慰留を受けられ、内定企業への入社予定日までに退社することはできませんでした。

しかし、我々が内定企業と交渉し、その1ヶ月後、Dさんは無事退社され新しい会社に無事出社されました。

よく離婚は結婚よりエネルギーと時間がかかるといわれます。退職も人によっては入社するよりエネルギーがかかります。それだけのエネルギーをかけてでも転職したい企業に巡り合えるといいですね。

(2011年11月5日)

今回の教訓&アドバイス

迷いは退職を口にする前まで → 口にしたら絶対やめる

相談するなら転職活動前か活動中に

上司の慰留は上司の都合、事情(←ちょっと過激!?)

退職作業は思いっきりエネルギーが必要

このコラムを書いたコンサルタント
コンサルタント
丸山 貴宏
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