キャリアアップコラム vol.116
退職交渉にのぞむ心構え。想定の10倍は慰留されると考えておく

内定獲得の後に待っているのは、退職交渉

意中の企業とのご縁があり、内定獲得。候補者の皆さんはもちろん、ご縁があった企業の方々やお手伝いしてきた私達にとっても非常に嬉しい瞬間です。しかしながらここでご転職活動が終わるわけではありません。新たな環境での第一歩踏み出す為には、現職を退職するための退職交渉という大事な局面が控えています。

これまでお世話になった方々に退職の意向を伝える。これはなかなか言い出しにくく、憂鬱なものに感じるかもしれません。ご転職が初めての方、現職にて活躍され会社から大きな期待を寄せられている方であれば、なおさらですね。

だからといって、さらなる可能性が広がる新たなキャリアパス、ようやく出会えたやりたい仕事、それぞれの思いが詰まった新たな環境とのせっかくのご縁を無にしてしまうのは本末転倒です。

しっかりした手順、そして堅い決意と誠意を持って交渉に臨めば必ずや円満退職への道は開けてくるはずです。そこで今回は、円満退職に向けてのはじめの一歩として、どのような手順、心構え・覚悟を持って退職交渉に臨むべきかを中心に、ポイントを踏まえてご紹介していきます。

退職交渉は「相談」ではなく「報告」

まず退職交渉を始める前に、社内の決裁事項・承認プロセスを参考にシミュレーションを立て、「誰に」退職の意向を伝えるべきかを決めます(直属の上司になるかと思います)。

誰に伝えるかが決まったら、いよいよ退職交渉開始です。

ここで一番気を付けなければならないのは、退職について「相談」するのではなく、退職を決意した旨を「報告」することです。今までお世話になった上司を気遣い、つい核心を伝えずに柔らかく遠回しに「相談」モードで話を切り出してしまうと、概して「悩み相談」となってしまいます。

結果として、上司に退職の決意の程が伝わらず、「まだ慰留できる」といった期待を持たせてしまい、ずるずると退職交渉が長引く。こうなってくると持久戦に及ぶことも多々あり、精神的にも疲れてきてしまい、さらにはご自身の覚悟も揺らいでしまうことがあります。

伝えにくいことではありますが、相手に期待を持たせないように曖昧な表現を避け、誠意ある態度で退職を決意した旨を報告することが肝要です。

最大の目的は円満退職ですので、強引な手法を用いての交渉はご法度ですが、意志の固さ・覚悟の表れとして「退職願」を準備しておくことをお勧めします。

慰留をあらかじめ想定しておくと交渉しやすい

固い決意を持って退職の意向をお伝えできたとしても、ここで退職交渉は終わりません。ほぼ100%の確率で慰留されます。ここでポイントになるのが、上司・会社からの慰留をどこまで想定しているか、ということです。

私は退職交渉を控えている候補者の皆さんに、円満退職の秘訣の一つとして「ご自身が思っている、その10倍の強さで慰留されると思っておいて下さい」とアドバイスしています。

そのアドバイスを真摯に受け止めて頂いた方々から、「想定以上に慰留されましたが、こちらも相当な覚悟を持って臨んだので決意の固さを理解してくれました」という報告を頂くこともあれば、「拍子抜けするぐらいすんなり交渉を終えることができました。武田さん、心配し過ぎでしたね」という報告を頂くこともあります(笑)。

一方で、「みんな普通に辞めていますし、大丈夫です」と高を括って退職交渉に臨んでしまうと、ご自身の想定を超えた激しい慰留に辟易してしまい、決意がブレて現職に留まるという方も少なくないようです。

現職に留まることを否定するつもりは全くございませんが、ご自身の覚悟を持って決意したことではなく周りから慰留されて選んだ道となる為、一旦は現職に戻るものの比較的早い段階でご転職活動を再開するケースは非常に多いようです。

「取り越し苦労」であったとしても、円満退職をするには、高を括らずにご自身が思っている以上に強く慰留されることを想定し、その慰留を上回るだけの確固たる決意にて退職交渉に臨むことが重要ですね。

退職交渉そのものは、言うなれば孤軍奮闘です。が、一人にはさせません!我々がしっかり応援していますので、いつでもご相談下さい。

(2013年2月20日)

今回の教訓&アドバイス

まずは退職の意向を誰に伝えるべきかシミュレートする。

曖昧な態度で相談するのではなく、堅い決意を持って報告する。

自身が想定する以上に慰留されることを覚悟しておく。

このコラムを書いたコンサルタント
コンサルタント
武田 直人
CXOをはじめ、経営幹部から事業責任者、そしてPdMなど、企業の「要」となるポジションへの転職支援が強み。注目のスタートアップから大手企業まで、Web・インターネットサービス業界が最も得意とする領域。
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