転職をしたいと考える人は、誰もが転職先でハッピーになりたいと思っていることでしょう。これは疑う余地もない当たり前のことですが、それでも自らハッピーを遠ざけてしまうような行動をとってしまうケースが実際に起きています。ハッピーになれる人とそうでない人、今回はこの違いについて2つのケースを比べながら考えてみたいと思います。
元々スキルミスマッチだったとか、入社後に会社業績が一気に悪化した等でハッピーになれなかったということはここでは除外して、あくまでもご本人の思考や行動に着目します。
最初から正論をかざして失敗
先ず一つ目のケースです。
何年も前になりますが、インターネット上でユーザーがオリジナル商品を作成できる会社に転職したAさんが相談に来られました。
話していると、言っていることはいつも正しく、真面目なんだなということが伝わってくるお人柄でした。相談内容は、オーナー社長が原因で転職しなければならなくなったこと。まあ、オーナー社長と社員間の様々なギャップは沢山耳にしてきましたので、よくある話なのですが、今回はちょっと珍しいケースです。どういうことかというと、オーナーからある仕事の指示があるも、Aさんとしてはそれはちょっと違うんじゃないかと思い、勝手な行動をとり始めました。社内で仲間を募り、自分が正しいと思うことを進めようとしたところ、声をかけた社員からオーナーにその動きが伝わり、退職せざるを得ない状況になったのです。Aさんの主張は、自分は正しいことをやっていて、オーナーが間違っているの一点張りで、反省の色は一切ありません。
転職早々、張り切っていたことは間違いなさそうですが、正論を盾にした身勝手な行動が仇となったケースだと思います。もしAさんが、一定の時間をかけてオーナーや他の社員との間で信頼関係をしっかり構築して、その上で自分が正しいと思うことを提案していたらまた違った結果になったのではないでしょうか。
まずは期待に応える
そして二つ目のケース。
今度は、大手商社や製造業で子会社社長等を経験されてきたBさん。某商社への転職をお手伝いさせていただき、転職から数か月たった頃に食事に行く機会がありました。
Bさんは、外交的で明るい性格。何をやるのも早いし、本質を突いた志向と行動が染みついている、いわゆるデキる方です。このBさんから転職後の様子をお聞きし、流石だなと思いました。実は、Bさんは入社早々あまり知見のない買収したばかりの子会社のTOPを任されたのです。これは完全に想定外でした。で、どうしたんですか?と聞くと、どうもこうもやるしかないですよ(笑)。と、初めての業界なのでとにかく必死に勉強したり、社員にヒアリングしたり、謙虚な姿勢で相当な努力をしながら奮闘する日々が伺えました。その後、また少し話す機会があったときに様子をお聞きすると、子会社の皆から受け入れられ、組織を掌握することが出来、今までの経験を生かしながらご自身の裁量で経営に取り組んでいらっしゃるご様子でした。
最初のケースと、二つ目のケースは違いが分かりやすいかと思います。
Aさんは、決して悪い人ではなく、真面目でちょっと不器用なのかもしれませんが、少なくとも中長期的な視野が欠けていたと思います。それに対して、Bさんは入社早々想定外の配属にも関わらず、与えられたミッションに謙虚な姿勢で全力で向き合い、上司の期待に応えました。Bさんは恐らく、物事を中長期的な時間軸で捉えていた側面もあったと思います。仕事だから仕方なくという事ではなく、先ずは社内で信頼関係を構築しないと何も始まらない。その信頼関係を構築するには、上司の期待に応えて結果を出すことということを経験的によく理解されていたんだと思います。Bさんが行動で示したように、信頼関係が構築できて初めて自己主張や自己実現のターンがやってくるというこの順番を間違ってはいけないと思います。
(2020年10月20日)
今回の教訓&アドバイス
郷に入れば郷に従え
中長期的な視野で、自己主張よりも信頼関係構築が先
一旦信頼関係が構築できれば裁量が広がる
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