キャリアアップコラム vol.236
コンサル経験者を敬遠する企業の懸念から知る、ベンチャー転職のポイント

コンサル経験者を求めている事業会社は多い

私たちが企業から採用の相談を受ける際、コンサル経験者がターゲットであることは決して少なくありません。

理由としてはいくつかあり、「そもそも地頭が良い」「作業スピードが速く、新しい物事に対してのキャッチアップが速い」「コミュニケーションに長けていて、経営幹部クラスとの折衝経験が豊富にある」
個別の要件はあるにせよ、人気の人材とされている理由はこのあたりでしょうか。

特に我々がオーダーをいただくケースの多い経営幹部、CxO、経営企画、事業企画、社長室などはその傾向が顕著です。現在コンサルティングファームに在籍されている皆様も、この辺りの求人に魅力を感じることが多いのではないでしょうか。そういった意味では、非常にマッチングしやすいと言えます。

コンサル経験者を敬遠する企業が懸念することは?

コンサル経験者は転職市場において非常に人気が高く、ご希望に近い転職を叶えられることも多いです。一方で、実は「コンサル経験者は外してほしい」というオーダーをいただくこともあります。こういったケースはメガベンチャーからスタートアップベンチャーなどに多い傾向です。これはなぜなのでしょうか。

企業に理由を聞くと、大きくふたつのパターンがあります。

1つ目は、過去にコンサル経験者を採用して失敗しているケースです。ここでいう失敗とは、残念ながらご入社後にワークしなかった、という意味です。

素晴らしい経歴をお持ちであるもののうまく役割を果たせず、しかし経営陣の一角や役員クラス待遇で入っているために組織への影響力もある。その結果、組織全体の成長の枷(かせ)になってしまった。そんな苦い経験を持つ経営者の方はコンサルファーム出身者を敬遠されることがあります。

2つ目は、選考でのスタンスが企業の求める人物像に合わなかったケースです。たとえば、年収や待遇面でのこだわりが強く出ていたり、MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)への共感ではなく、事業を評価するような視点で自社を見ていると感じたりするなどです。

こうして社風のアンマッチを懸念してコンサル経験者の採用を見送るケースが続くと、企業側がコンサル経験者に警戒心を強めてしまうことがあります。

このようにコンサル経験者が敬遠される原因は、根っこの部分では同じ。コンサルから事業会社に「降りていく」、自分の経験を活かして「助けてあげよう」など、いわゆる上から目線で企業を見ていることが原因です。

ベンチャーとコンサルファームの価値観の違いを知ることが重要

コンサルファームでの経験は汎用性が高く、非常に評価されるべきものです。一方で、ベンチャー企業は、これまでコンサルタントをしてきた方々が知る価値観や世界とは違うことも意識するべきです。

ベンチャー企業は「世の中の課題を、人生をかけて解決したい」そんな強い想いでスタートしていることが多く、想いに強く共感した「仲間」が集まる組織。コンサルファームにいらした方にとっては、これまであまり触れてこなかった価値観や力学で日々の仕事が動いています。

そんな環境に「未経験者」として入るときに重要なことは、まずMVVや環境をキャッチアップする姿勢を見せること、その中でご自身にできることを探し、真摯に取り組むこと。このようなスタンスで選考や入社後の業務に臨むことが、経験を活かして活躍することにつながることでしょう。

(2021年10月20日)

今回の教訓&アドバイス

ベンチャー企業では、コンサルファーム出身者が敬遠されることも

コンサルファームとベンチャーの見ている世界の違いを意識すべし

上から目線ではなく、志を同じくする仲間としてジョインする気持ちが大切

このコラムを書いたコンサルタント
コンサルタント
松永 拓也
Web・IT系企業を中心にご支援。プロダクトマネージャー、CxO/事業責任者クラスの他、IT系職種(ITコンサル、PM)を得意としております。
プロダクトマネージャー専門チーム デジタルプロフェッショナル専門チーム 所属 】 プロフィールをみる
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