キャリアアップコラム vol.242
転職後に活躍するための、オファー面談の活用法

転職後に活躍する方とそうでない方との差は、実は「企業からのオファーを得た後の動き方」にもあるのではないかと最近感じています。実際に支援させていただいた方の事例を基にお話しします。

オファー面談では、転職で大事にしたいポイントを満たしているか確認する

インターネット企業で事業責任者をされていたAさんは、複数社から内定が出た後、「A社かB社のどちらかに決めたいが、どちらも面白そう」と悩んでいました。

そこで、1社に絞り込むにあたって、Aさんが今回の転職で何を大切にしたいか、壁打ちの面談を実施したのです。

その結果、以下の3つのポイントが重要だという結論に至りました。
・組織が細分化されておらずフラットか(=組織の柔軟性と自由度が高いか)
・経営陣に近いところでミッションを遂行できるか(=意思決定のスピードが早いか)
・優秀な仲間がいるか(=採用の予定はあるが、直近の立上げ要員は不可欠)

「この3点に関するA社とB社の状況をご存知ですか?」とAさんに聞くと、「面接である程度聞いたので、2社とも大体わかっています」とのお答えでした。

さらに、私は質問しました。「では、実際に絵で描くとどうなりますか?」
すると、Aさんは「えっ、絵ですか…?組織体制はこんな感じで…。あれ?でもこの部分はわからないですね…」という回答でした。

実は、こうしたケースは散見されます。

企業側の担当者は、面接の場で「うちの会社はフラットで~」「CXOの〇〇さんと仕事をする機会が多いです」などと話すため、候補者はなんとなく理解した気になります。

しかし、実際の組織図や事業戦略を、企業側が面接の場ですべて説明することは難しいです。

Aさんの場合、体制図や、経営陣との話し合いはどのような会議体か、同僚のバックグラウンドや価値観などを深く理解できていないことがわかりました。

企業からのオファーの段階において、こうした候補者が知りえていない情報を確認し、オファー内容をより深く理解することは非常に重要です。そのため、弊社では企業とのオファー面談という場をアレンジしています。
オファー面談は、企業側にとっても自社への理解を深めてもらい、面接で伝えきれなかったことを伝えて口説くチャンスでもあるのです。

福利厚生や研修について質問する際は、注意が必要

オファー後、いざ転職することに不安になってしまったBさんのケースも紹介します。
Bさんはオファー面談の場で、ご自身の不安払拭のために「福利厚生はどうなっていますか?」、「どんな研修をしてもらえますか?」と、質問しました。

すると、企業から弊社に「Bさんがあまりにも受け身の姿勢で、オファーを出して良かったのか不安になりました」というメッセージをいただきました。

このように、「企業は自分に何をしてくれるのか?」という視点から不安を払拭しようとすると、企業側の心象を損ねるリスクがあります。

福利厚生や研修について知りたい場合は、「入社後、早期に立ち上がりたいので」など、ご自身の想いを添えたうえで、確認いただくことをおすすめします。

前述のAさんですが、オファー面談を経て最終的に自信をもって決断されました。

それから数年後、Aさんにお会いした際、「あの時に『絵を描けますか?』と聞かれてオファー面談でしっかりと理解を深めたことが、入社後に成果を出すためにとても重要でした」とおっしゃっていました。

入社直後、予想していなかった困難に直面したそうですが、「あの時の決断は間違っていない」と思い、逃げずに立ち向かえたそうです。「もしあの時、解像度を上げないまま何となく決断していたら、辞めていたかもしれない」とも。

入社後に活躍されている方々は、転職先を決断する際に、企業やご自身のミッション、働く環境等を深く理解した上で、意思決定している方が多いように感じます。

(2022年5月24日)

今回の教訓&アドバイス

企業とのオファー面談は、転職で重視するポイントを満たしているかを確認する場

「なんとなくわかっている」と「絵で描ける」には大きな差がある

不安を払しょくする質問は、伝え方に注意が必要

このコラムを書いたコンサルタント
コンサルタント
吉田 綾
医薬・人組織系、グローバルニッチトップ企業等。海外勤務経験を生かし、国を跨いだカルチャーフィット、海外で活躍したい方のご支援も得意としています。自身のコーチングのコーチ、コンサルタントとしての経験も強みの一つです。
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