退職交渉を終え、現職への引継ぎの目途がたった方に、「入社前にどんな準備をしておくべきですか?」と質問されることがあります。
入社前の準備は、他の方が何をしているかを知る機会が少ないですよね。そこで、私がお話を聞いたCXO人材の方々がされていた入社までの準備について紹介します。
入社後の100日計画を立てていたCXO人材の方々
大手メーカーのCIOに就任されたAさんは、「入社後の100日間計画」という計画書をつくり、入社後はそれに沿って行動をしました。前職企業で経営者から「仕事の成功を決めるのは準備である」という考えを叩き込まれていたからです。
さらに、入社2ヵ月前の時点で転職先であるIT部門の予算計画を確認し、入社前に閲覧可能な資料には目を通し、入社後すぐにチームになじめる状態をつくっていました。
また、別企業の人事役員になったBさんは「転職先の人事を変えるチェンジメーカーとして何をすべきか」を考え、入社後の100日プランを策定し、実行しました。
Aさん・Bさんの共通点は、入社前に入社後の準備、計画を立てていたこと。職種の異なるお二人が、同様の準備をされていたことに驚きました。
企業文化や企業風土を理解するための質問
先ほど紹介したBさんが、100日プランのひとつとして実行したのがインタビューです。Bさんは、優秀なOB・OGヘのインタビューを行った後、経営陣や幹部社員、一般社員へインタビューしました。インタビュー内容は次のようなものです。
・キャリア |
Bさんはインタビュー内容から企業の課題を洗い出し、課題を構造化して考え、本質的な課題の推察、課題解決に向けての仮説設定を行いました。
Bさんは人事改革をミッションとしていたため、他の方がBさんと同様のヒアリングをする必要はないかもしれません。しかし、会社に関わってきた様々な方々とコミュニケーションをとり、共通項目を質問していくアプローチは、転職先の企業文化や風土の理解促進につながるでしょう。
転職先の入社直後は、新しい職場の方々とのランチや1on1のミーティング、研修時などコミュニケーションをとる機会があると思います。インタビューとまではいかなくとも、Bさんのインタビュー項目のうち気になった内容を質問してみるのはどうでしょうか。
転職時はUnlearnの心構えをもって、柔軟に新たな知識・スキルを取り込む
「転職先に入社する際は、Unlearn(アンラーン)が大切だ」とある経営者の方が話していました。Unlearnとは、これまでの知識やスキルのうち有効でなくなったものを捨て、代わりに新しい知識・スキルを取り込むことです。
転職はいわば異国に移住するようなもの。会社というコミュニティにいれば、知らず知らずのうちに組織ならではの文化やルールに染まっていることもあるでしょう。無意識にしている行動や習慣が、その会社ならではのものなのか、今の環境でなくても通用するのかを見直すことも必要です。
また、キャリアが長くなればなるほど、経験や知識が増え、過去の成功体験や前例にとらわれてしまいがちです。その点、Unlearnの心構えがあれば、自分を見つめ直す機会をもてるでしょう。
(2023年1月20日)
今回の教訓&アドバイス
CXO人材は入社後100日の計画を立てていた
企業文化や風土を理解する姿勢が重要
Unlearnの心構えをもつ
佐野 慶樹
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