皆さんも毎年健康診断を受けられていると思います。またスポーツジムなどで定期的に体力・筋力測定をされている方もいらっしゃるでしょう。積極的な方はその診断結果をもとに、ダイエット計画やトレーニングプログラムを策定し行動されていると思います。実際に肉体的変化を遂げる方は、こういった適切な定期診断で現状をきっちり把握し、目標を決め、後は地道に行動し続けることが出来る方です。では、「キャリア」についてはいかがでしょうか?
今回は毎年1月にお会いさせて頂いている方のケースを元にキャリアの客観的定期チェックという視点でお話しさせて頂きます。
過去にご転職のサポートをさせて頂いたAさんとはもう数年来のお付き合いになります。Aさんからは毎年1月になるとアップデートされたレジュメの送付と共にご連絡を頂くのですが、近況報告として、昨年取り組んだプロジェクト、そこで担当した役割と磨いたスキル、マネジメント面で取り組んでいることなどについてのお話があり、加えて昨年1年間取り組んだ業務が、中長期で目指すキャリアの方向性にベクトルが合致していたかどうかなど、今感じていることをお話しされます。
その際、Aさんから期待される私の役割としては、主に以下の点になります。
(1)自分が取り組んだプロジェクトの客観的な難易度:マネジメントボリュームや、取り扱い金額、問題の解決方法などは年齢や立場を考えたときに世間的にどうか?
(2)自己満足ではないか:もっと頑張れたのではと思える点は無いか?自己評価は甘くないか?
(3)現在の市場環境を踏まえて今年1年間の過ごし方:自社で頑張るほうがいいか、転職も視野に入れたほうが良いか?
この視点でのフィードバックです。
さながら、スポーツジムで定期的に体力測定を行い、測定された各種データ(身長、体重、基礎代謝、体脂肪率、筋肉量、筋力、柔軟性、平衡感等)をベースにカウンセリングを行い、目標に合わせたトレーニングメニューをリニューアルする過程に近いですね。
過去には「昨年でやりきった感が出てきましたので、そろそろ転職も考えているのですが・・」とおっしゃっていたこともありました。しかしながら私はその時点での転職市場環境を鑑みると、現職で得られる経験のほうが魅力的であると感じたため、「今は転職ではなくマネジメントスキルに磨きをかけましょう。例えばですがコーチングを学ばれて、マネジメントに取り入れてみてはいかがですか?強く牽引し、指導していくリーダーシップがイメージとして定着しているAさんですから、“聴く”ことに力点をおいてみることでグッと幅が広がりますよ。また、将来的に転職を考えるにあたってもマネジメントスタイルに幅を持たせておくことはメリットがあると思います」とアドバイスさせて頂いたこともありました。
余談ですが、その年Aさんはあるコーチングセミナーに通い続けた結果、これまで実は自分のことを怖がっていた(後から知ったそうです)部下から色々な悩みを相談されるようになり新しく視野が広がったそうです。
おそらく健康診断については毎年恒例の行事として何気なく受診されていると思います。同様に、キャリアについても目指す目標(理想)があり、そこへ到達するためには将来的に転職も視野にいれているという方は、是非定期的に客観的チェックを受けられてはいかがでしょうか。現状を把握しアドバイスを受け、そしてその結果を参考に地道な努力を続ける。この繰り返しが理想の姿への近道となります。
毎年、年末年始に「今年は英語を勉強しよう」、「ビジネス本を毎月3冊読むぞ」、等々いきなり“今年の目標”を掲げる方が多くいらっしゃると思いますが、まずは昨年のレジュメをアップデートし、一度キャリアの棚卸しをされることから初めてみてはいかがでしょうか?
(2012年9月15日)
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