新年度が始まる4月や5月から、育休を終えて仕事に復帰する方も多いのではないでしょうか?キャリアの転機は転職だけではありません。今回は特に「育休復帰後のキャリア構築」について、大切なポイントを3つお伝えします。
復職前の自分と比較しない
法改正により2022年4月以降、企業側が男性労働者に対して育休取得の意思を確認することが義務化されました。今後さらに男女問わず育児休暇の取得が進むと想定されます。そうした中、職場復帰後に仕事と子育てとの両立に悩む方は少なくありません。ある人材サービス会社の調査によると、復職後に「仕事と子育ての両立の困難から退職を考えたことがある」人は回答者の6 割超だったそうです。
私自身も育休を経験していて、復帰後に退職を考えたことは一度や二度ではありません。特に、「一刻も早くキャリアの空白を埋めなければ」という焦りが日に日に大きくなります。休む前は当たり前にできていたことが、復帰後は予期せぬ事態や予測不能なハプニングなどに見舞われ、1日1日を終えていくのに必死です。
真面目な方であればあるほど、「家事は完璧にすべき」、「子供は親が育てるべき」、「仕事は最後まで自分でやるべき」という自身の「べき」ハードルが上がってしまいます。だからこそ、育休復職後はとにかく焦らないことです。育休復帰後の心構え1つ目は、「復職前の自分と比較しない」覚悟を持つことです。
転職の検討は半年後から
復職後、働き方に限界を感じてご相談に来られる方もいます。しっかりお話を聞いた上で、特殊な事情や状況でない限り、私は「まず半年は現職で試行錯誤する」ことをお勧めしています。これが育休復帰後の心構え2つ目です。
以前お会いしたAさんは、復帰直前になって融通が利かない会社のルールに組織で働く限界を感じたとのこと。ただ、Aさんのお話をじっくり聞いてみると、仕事と子育ての両立のイメージができておらず、得体の知れない不安で少し焦っているご様子でした。ご本人にはその旨を率直にお伝えし、最終的にAさんはまずは現職で3か月やってみることに。復帰前は融通が利かないと不安に思っていたものの、いざ働いてみると周囲の仲間のサポートが手厚く、慣れた今の環境でもう少し頑張ってみますと連絡をうけました。
結果、Aさんは今も現職で活躍されています。そんなAさんには、復帰したからこそ見えたこともあったようです。時間に制限があるため選択と集中を重ねた結果、「何となく無駄な時間」に気づいたのです。定例ミーティングは1時間から30分に短縮し、お互いの相談事項を事前に確認した上で当日議論するようになり、業務効率のみならず、会議での白熱度も上がったそうです。また、ご自身の経験を活かし、会社に対してフレックス制度の導入も提案されました。
信頼できるエージェントを見つける
とはいえ、状況によっては産休を経て復帰せずに転職する方もいます。Cさんはフルフレックスやリモートワークが可能な会社に転職しました。家庭の事情で、今の会社ではどうしても育児と仕事の両立が難しかったからです。先日転職先が決まったCさんから「クライスさんに相談したことで、マーケット情報を効率的に収集でき、限られた時間で書類作成や面接対策も実施できました。思考の整理もしてもらえたので、相談して本当に良かったです」という嬉しいメッセージをいただきました。
今やネットには情報が溢れ返っていますが、実際に制度が運用されているかどうか、働く仲間の多様性の実態といった組織内部の生々しい話の収集には限界があります。だからこそ、育休復帰後の心構え3つ目としては、信頼できるエージェントと繋がり、二人三脚で転職活動を進めていくことをお勧めします。
(2023年5月22日)
今回の教訓&アドバイス
育休復帰後は、育休前の自分と比較しない
転職の検討は、育休から復帰して半年後から
信頼できるエージェントを見つける
吉田 綾
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