幸福学の研究によると、20代後半は最も辛い時期
日頃20代のハイクラスの候補者様にお会いして感じるのは、似た業界の近しい職種の方であっても、「将来が非常に楽しみだ」と感じる方と「もったいないな」と感じる方に分かれることです。
20代の候補者様で大きな差が現れることは少ないですが、30代半ば頃になると明確に差が出ます。この「差」はなぜ生まれるのでしょうか?
その答えにつながる研究結果があります。幸福学研究者である慶應義塾大学の前野隆司教授とパーソル総合研究所は、「はたらく人の幸福」に関する興味深い共同研究結果を2020年に公開しています(※)。
研究結果によれば、20代半ばから後半が最も辛い(幸せ度が低く、不幸せ度が高い)時期です。さらに、職位や年収が上がるにつれ幸せ実感は高まり、不幸せ実感が低下する傾向も示されています。
もちろん、すべての人に当てはまるわけではありませんが、統計的には20代の辛い時期を乗り越えてキャリアアップした方が、幸せを感じる可能性が高いというデータが示されているのです。
(※)出典:慶應義塾大学前野研究室とパーソル総合研究所、「はたらく人の幸福学プロジェクト」の成果を発表
こうした結果を踏まえると、冒頭で申し上げた「差」とは、仕事を通じて幸せを感じているかどうかだと思うのです。
30代に備えて、20代は全力で働き「経験残高」を貯める
20代の過ごし方を考える上で、30代になったときの働き方をイメージしておくことが重要です。なぜなら、30代は子育てをしながら働く方が多く、スキルや体力があるものの仕事だけに時間を使えない時期がどうしても訪れるからです。
日本は晩婚化が進んでおり、2021年の初婚平均年齢は男性で30.4歳、女性で28.6歳。東京都では男女ともに1歳ずつプラスの数字となっています(※)。
(※)出典:厚生労働省:人口動態統計年報
多くの方が20代を独身で過ごしていて、都心で働くハイクラスの方ほどこの傾向が強いです。私がお会いするハイクラスの20代の方の多くは未婚です。
そして、30歳前後で転職される方の多くが、結婚や出産を機にワークライフバランスを取りたいと相談してこられます。ただし、希望する企業に転職したくても、それまでに経験を積んでいなければ転職活動がうまくいかないこともよくあります。
20代のうちに全力で働いておいた方が、30代以降の転職でも活かせる経験・知識やタフさなどの「経験残高」を貯めておけるでしょう。
ありたい姿を外向きに発信することが、チャンスにつながる
全力で働くといっても、やらされ感のある仕事を長く続けることは難しいです。私自身、やらされ感のある仕事は1分でも嫌ですし、 やりたい仕事であれば何時間でも楽しめます。
もし、「やりたいことが分からない」という場合は、まずは自分がどのようにありたいかという「Being」、もしくは興味のある領域を言語化するだけでもいいと思います。
なぜなら、20代は上司や先輩、あるいは異動したい部署のキーマンに自分を知ってもらうことによって、希望に近い仕事にアサインされる確率が大きく高まるからです。
また、社外でのキャリアを検討するためには、信頼できるキャリアコンサルタントと早期から関係を築いておきましょう。すぐに転職しない場合でも、自分の志向に合った求人が出たら情報を提供してくれます。
実際に、優秀な方ほど20代でこうしたアクションを起こしていることが多いです。信頼できる上司やキャリアコンサルタントに自分を印象づけることで、将来的に希望するキャリアを引き寄せる可能性を高められます。
(2023年7月20日)
今回の教訓&アドバイス
幸福学の研究によると、20代後半は最も辛い時期
20代は全力で働き「経験残高」を貯めて、30代に備える
ありたい姿を外向きに発信することで、理想のキャリアを引き寄せる
和田 智行
【 デジタルプロフェッショナル専門チーム 所属 】 プロフィールをみる
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