『自責と他責』。何か問題がおきたとき、私たちは無意識に自分以外の責任にしてしまいがちですね。その方が楽ですので、自然といえば自然なのですが、仕事の世界で強くなってゆくためには大きなマイナスと言えます。例えば、些細な例を挙げると、予定外に残業をする羽目になり、プライベートのアポに遅れることになったとき、“さっき、隣の部署の○○さんが急な相談を持ち込んできたおかげで、こんな時間になってしまった”とか。似たような経験が思い当たる人は多いことでしょう。私も思い当たることがありすぎて自己嫌悪になりそうです・・。人と話をする際に、ちょっと意識して聞いてみてください。他責話がごろごろ転がっていることに気がつくはずです。そこで、今回は『自責と他責』について、一つのケースを例に挙げて考えてみたいと思います。
Aさんと初めてお会いしてから2年半くらい経ちますが、以前は結局転職しなかったものの、今回は本気で転職をしたいとの連絡を受け、再会。
「お久しぶりですね、元気ですか?」
「はい、あまり元気でもないですけど、なんとか・・・」と、なんだか機嫌が悪そうなご様子。
無意識に決まり文句の挨拶をしてしまったことに後悔したものの、気を取り直して面談へ。
とにもかくにもジックリと話をお聞きしたところ、転職したい理由にネガティブな言葉というか、あまりになんでもかんでも周りのせい、という内容に正直驚きました。
「経営陣の意識が低く、自分の提案を受け入れてくれない」
「部下がミスをし、その尻拭いに時間をとられ業績が落ち込んだ」
「周囲に優秀な人がいなくてモチベーションが上がらない」
「会社の方向性が分からない」
他にも沢山ありました。
これらは、すべて他責系の話ですね。
例えば、「経営陣の意識が低く、自分の提案を受け入れてくれない」 →はたして本当にそうなのでしょうか?100%違うとは言い切れませんが、自分の提案が受け入れられなかったのは経営陣の意識が低いからだ、という決めつけではないでしょうか?
経営陣の意識がどうであれ、提案の仕方を工夫することで受け入れてもらう方法があったかもしれません。それができなかったことは、即ち自分の力不足と言いかえることもできるはずです。 それは厳しすぎるんじゃないか?という読者の皆様の声が聞こえてきそうですが。
ちょっと考えてみるとわかりますが、上記のようなことはどこでも起こりうることであり、自分が変わらない限り、延々と同じようなことが繰り返されることになります。
逆境を乗り越え、成功している方々はここで決して他責にせずに、自分自身の問題として、逃げずに取り組んでいるはずです。
これは、周囲への影響という面でも重要な意味があります。
つまり、いつも逃げる人は、周囲からもそういう人と思われていますので、何かあったときに頼りにされません。 重要な仕事、困難な仕事を任されることがなくなり、貴重な成長機会を失うことになります。 逆に、自責感が身に沁みついていて、強いオーナーシップを持って仕事に取り組んでいる方には、いつも重要な仕事や困難な仕事が舞い込んできて、より成長してゆくことになります。
良い環境を求めて転職したいという気持ちはよくわかりますし、私はそういうお手伝いをしたいと思っていますが、他責性の高い方が環境を変えただけで、ハッピーな未来が待っているとはとても思えません。
(2012年9月20日)
今回の教訓&アドバイス
他責は自分自身の成長の邪魔をする
環境を変えても自分の意識と行動が変わらなければ意味がない
他責と自責は周囲に確実に影響を与えている
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