【例1】
Aさんは某ネット系企業グループの幹部として数十名の組織を引っ張ってきた優秀な方です。どこか余裕の佇まいがあり、実績に裏付けられた自信を感じます。しかし必ずしも順風満帆ではなく、もはやこれまでかというような修羅場も経験したそうです。
そんなAさんを推薦したB社は、事業部長クラス経験がある非常に優秀な方が面接でお見送りになったことが一度や二度ではないほど選考が厳しい会社です。そのB社に合計3回足を運び、6名以上の幹部との面接を終えた結果、見事に内定を獲得!
全ての面接を通じて特に懸念点が聞こえてこないという非常に高い評価をいただいたのです。
後日、B社訪問し採用選考のキーマンの一人とお会いした際、Aさんの評価ポイントを聞いてみました。
答えは明瞭に“愛嬌!”と一言。
なるほど、とはすぐに思えず、えっ?それだけですか?と思わず聞いてしまいました。
面接官は、“経歴書に書いてある実績は本物とわかったし、コミュニケーションも非常に良かったです。その上で見るポイントは、入社後に直面する困難を乗り越えるイメージが持てるかどうかです。当社は変化が多いですし、困難も必ずやってくるんです。そのときにいちいち悩んで動きが止まったり、折れてしまって安易に転職を考えるような人だと困るわけです。“
まず自分自身の頭で徹底的に考え、その上で周囲の協力も得られる人かどうかが大事になると面接官は言います。
面接では、厳しい質問を投げかけ、そのときの反応で上記の判断をしていたようです。厳しい質問に対して、一瞬怯むのはいいとしても、そのまま固まってしまったり、逆に攻撃的なトーンで返してくる方もいる中、落ち着いてしばし考えた後で自分の考えを述べ、更に質問を深堀りする。そして笑顔で明るく対応するAさんの姿に、“彼は普段から深く考えるクセが身についているし、身体も張る。そして何よりも明るく愛嬌があり、周囲の協力も得られる”と感じとったそうです。これが感じられないと、たとえ業界経験者で即戦力の方でも内定は出ないケースが多いとのことでした。
後日談として、Aさんは入社間もなく一つの事業の責任者に就きご活躍中とのことです。
【例2】
続いてはCさんのケース。
Cさんは営業リーダーを期待されD社に入社されました。
Cさんにとって初めての転職ということもあり、どう臨んだらいいのか若干の不安があったようですので、私からアドバイスを一つ。
“Cさんが今まで仕事をする上で拘ってきたことはなんですか?”と。
ある程度わかってはいたものの、あえてここでご本人に言ってもらうと、ほぼ期待通りの答え。
“何があっても逃げないでやり抜くということ、結果がどうなろうと全ては自己責任という意識を持っています”。更に、“結局一人では何もできないので、周囲や組織を上手に巻き込むということも重要だと思っています”と。
そのスタンスいいですね!
面接では、その思いをしっかりとベースに据えて臨んでいただければうまくいくと思います。
これだけをアドバイスさせていただきました。
面接結果は見事合格!
面接官が事業部門の役員でしたので、1回の面接で実質的な内定となり、その後ご入社され現在活躍中です。本件の評価ポイントは、Cさんには安心して仕事を任せられるという点です。つまり、安易に人に頼ることはせずに、トコトン自分で考えて実行する一方で、周囲の理解と協力を得る能力も高そうだということが役員の心を動かしたものと思います。
既におわかりかとおもいますが、2つの例の共通点は、困難に直面したときにどうなる人か、という点が重視されているということです。企業経営環境の一層の不確化が如実に反映されているともいえますね。
(2012年12月10日)
今回の教訓&アドバイス
転職後、必ず困難はやってくる
業務スキル・知識がどんなに高くてもそれだけでは成果を出すことは難しい
他人の協力を得たり、人を巻き込むことも重要な能力
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