キャリアアップコラム vol.169
今の採用市場で「オタク」は強い!?

なぜ“オタク”が注目されているのか?

私はIT・コンサルティング業界の方々の転職を中心に支援させていただいていますが、市場やビジネス環境の変化、トレンドにより、その時々で企業が求める人物像や採用の仕方などに傾向があります。ERPバブルやJ-SOXバブルの時期をはじめ、ソーシャルゲーム全盛期のWEBエンジニア採用などは顕著な例です。
 
現在の転職市場は、これまでになく活況です。
データアナリティクスやAI、UI/UX、Fintech、IoT、ロボット、セキュリティなど、トレンドとなる領域も数多くあります。また、これらの領域だけではなく、IT・コンサルティング業界における企業の採用意欲は依然として強いものがあります。ターゲットを広げるなど積極的に人材を探していますが、一方でスキル面だけでなく人物面を含め、慎重に見極めを行っている企業も少なくありません。そのような中、評価ポイントのひとつとして企業は“オタク”に注目しています。
 
もちろん、以前より高い専門性をお持ちの方は評価されていました。ただ、最近は総合力よりも専門力を評価する声がより多くなってきた感があります。汎用的なスキルをお持ちの方、バランス感覚に長けた方よりも、尖った専門性や強みをお持ちの方を企業は欲しがっています。
 

総合力より専門力

先日、転職をお手伝いさせていただいたエンジニアの方も、もっとも評価されたのはその方の持つ専門性でした。
 
その方は、JavaやC、C++などオブジェクト指向の開発スキルが高い方でした。今まで2次請けのSI企業で開発業務に携わっていましたが、システムを作るだけでなくもっと顧客に最適なシステムは何かを考え、決めるところから携わりたいとコンサルタントへのキャリアシフトを希望。しかしながら、コミュニケーションスキルが今ひとつでした。
 
良い人ではあるものの、客先でガンガン折衝するイメージは正直なところ沸きません。ただ、得意領域の話になると表情や声のトーンが一気に高まり、場の空気を変えるほどのエネルギーを発揮します。この点が、面接でも高く評価されました。
「お世辞にも話が上手いとは言えませんが、あのスキルとエネルギーは顧客やベンダーを納得させ、入り込むことや巻き込むことができます。活躍するイメージも持てます。」
希望通り、コンサルタントとしての一歩をスタートされました。

強い思いがなければ専門性は高まらない

もちろん、技術面だけでなく業務・業界の知識やマネジメントなどのビジネススキルにおいても同様です。コンサルティングファームのパートナーの方々からも、多少偏っていても尖った方を紹介して欲しいといった話を最近よく聞きます。背景として、顧客の知識レベルも上がってきたことがあるようです。付け焼刃の知識だと見透かされることもあり、これまでよりも専門性が要求されるようになってきました。
 
ただ、専門性が高いだけでは、宝の持ち腐れです。宝をどのように使えるかが重要です。効果的に使うためにコミュニケーションスキルや論理的思考力などベースとなるスキルが求められますが、それと同様に、その領域への思いの強さも大事なのだと思います。専門性やスキルの高さとあわせて、その分野に対する強い思いを持っているのが“オタク”の強さだと考えます。強いエネルギーを発揮できるからこそ、強みを活かして周囲を巻き込み、動かすことができるのです。
 
マネジメントポジションでもプレイングマネージャーであることが求められるなど、これまで以上にスペシャリストに対するニーズが高まっています。市場環境の良い今が、専門性を高めるチャンスです。活況な状態がこのまま続くことはありません。市況が悪化した時に、組織に依存するのではなく自らの力で市場に立つためにも、今のうちからどの領域で自分が立つのかを定め、“オタク”を目指すのもキャリアアップのための選択肢のひとつだと思います。
 
(2016年3月20日)

今回の教訓&アドバイス

強みやスキルを活かすのはエネルギー。思いの強さが重要。

専門領域を高めることは、キャリアアップのための選択肢のひとつ。

市場環境の良い今こそ、専門性を高めるチャンス。

このコラムを書いたコンサルタント
コンサルタント
半藤 剛
コンサルティング業界・IT業界の方々のキャリア支援(キャリアアップ・キャリアチェンジ)、およびコンサルティング・IT企業への転職支援、経営幹部(CXO、マネジメントクラス)のキャリア支援に豊富な実績を持つ。
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