経営層に求められるのは、経営的な判断の場数
弊社では事業責任者の方や事業開発をしている方、コンサルティングファームにいらっしゃる方のキャリア支援をさせていただくことが多いのですが、その中でのご相談事項として下記のようなご相談をいただくことが多いです。
それは「経営者」「経営人材」になりたいのでそれに向けた経験を積んでいける環境を求めたいということです。
経営人材の定義ももちろん様々です。自分で起業をしたい方なのか?大きな規模の経営者になりたい方なのか?によっても積んでいくべき経験は異なってきます。
ただいずれにしても経営が出来る人になりたいという方に共通して必要なことは「打席に立つ場数を踏む」ということです。言い換えると、経営的な判断を迫られることに近い環境でどこまでその実践経験、場合によっては修羅場経験を積んでいるか?ということです。
事業責任者、経営幹部の採用となると、学歴、経歴がどうかではなく、その方がどこまでオーナーシップを持って様々な経験を積んできているか?修羅場となるような経験を数回に渡り、乗り越えてきているか?などをよりシビアに見られることになります。
エリートコースを歩むことではなく、どれだけ打席に立ったかが重要
いわゆるキャリアのベストプラクティスのようなもの、昔であればエリートコースのようなものはもうすっかり虚構になっています。例えば、大きなメーカーなどでは、花形は営業1部で、一丁目一番地の人達が偉くなるといった話がまことしやかに語られていた時代がありました。
しかし現代においてはそんなことは全くありません。その会社の中で出世していくコースと、世の中から必要とされる経験は別であることのほうが多くなってきていると感じます。むしろ配属や異動に関していうと、傍流と言われているところのほうが良いとすら思います。
本流ではない小さな事業であれば、ビジネスはそれなりに苦労を強いられます。これは逆に言えば、成長できる機会がたくさん得られるということでもあります。上記に記載したように、「修羅場」体験が出来るのです。
関連会社、子会社への出向などですと、さらに厳しい状況に身を置くことになります。経営人材の層が薄い可能性もありますから、早めに意思決定の機会を得ることが出来る可能性があります。
だからこそ主流のエリートよりも早く成長出来てしまったりします。今、経営人材に求められているのは、単なる経営スキルや知識ではなく体験学習でしか得られないような経験です。サクセッションプランニングの担当者たちも、実際に打席に立つ経験をした人を経営者後継候補に選んでいく傾向が強いと言われています。
打席に立つチャンスは、転職以外でも得られる
打席に立つことは、決して転職だけが手段ではなく、今いる会社でも機会創出、機会開発が出来るかもしれません。
火中の栗を拾いにいくような修羅場体験は、心情的には避けたいところかもしれませんが、中長期でキャリアを考えると、そういう経験こそが未来につながる価値ある経験となることが多いです。
今が大変過ぎて、逃げたくなるような修羅場にいらっしゃる方は、もしかすると将来の財産となる経験が目の前にある状況かもしれません。修羅場にいると客観的にその体験価値を評価しづらいと思いますので、そんな時はぜひ信頼のおけるキャリアコンサルタントに相談をしてみてください。
場合によっては転職を勧めるのではなく、今の環境でもうひと踏ん張りしたほうが良いですとアドバイスをさせていただくかもしれません。
(2020年3月20日)
今回の教訓&アドバイス
オーナーシップを持ち、修羅場を経験し打席に立つ
能力開発だけではなく、機会開発の努力をする
転職ではなく、現在の仕事で踏ん張ったほうが良いときもある
工藤 直亮
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