転職したからといって、変化対応力が身につくとは限らない
VUCAという言葉が様々な場面で語られる今日ですが、まさに昨年から続くコロナ禍がその象徴の一つだと思います。人生100年時代、労働寿命が延びた時に起こることは、一言で言うと、「変化が必ずやってくる」ということです。
リーマンショックがあった2008年にも「これは100年に一度の不況だ」と言われていましたがおそらく今後は10年くらいの単位で経済活動に大きなインパクトを及ぼす何かが起こってくるのではないかと思います。
それがいつどんな形でやってくるかはまったく分かりません。キャリア構築において言えることは、変化対応力をしっかりと培っておくということだと思います。
私は転職という場面で、様々な方のキャリアに関わっていますが、転職をすれば、この変化対応力が身につくかというと一概にそうではないと考えています。
もちろん環境を変えて、周りの仲間を変えても同じように成果、実績を出せたというのは一つの自信になることがあると思いますし、それが自分の力があることの証明にはなると思います。
一方、これまでやってきたことと基本的には同じ要素の仕事しかやってきていないのであれば、その仕事が世の中から価値を認められなくなった時が大変です。
転職市場で求められる希少性が高い能力・経験は、変わり続ける
転職市場(労働市場)は、需要と供給のメカニズムが働きますので、希少性が高い能力、経験が評価されます。そしてそれは常に変化をし続けてきており、これからもそれは変わらないと思います。
マネジメントをしていたら良い、この会社にいたら安泰ということはもうない時代です。コロナの状況の中で、事業や経営が苦しくなっている業態があると言われます。旅行業や飲食業などはよく言われる業態ですね。
でも、旅行業や飲食業のなかでも、この中で大きな業績ダウンをせずに、着実に変化に対応して、新しいサービス開発やノウハウ開発をしている企業があります。
よく「コロナのこの状況下で、転職マーケットはどうですか?」とお問い合わせいただくことがありますが
積極的に採用活動をされている企業が弊社のお客様でも沢山あります。
つまり、個人も企業も変化に対応していく力があるかどうかが、より強く求められる時代であるということが言えます。
自ら打席に立ち、変化をつくりだそう
では個人が変化対応力、適応力を鍛えるためにどうすれば良いのか?ですが、一つの答えは自らの「機会開発」に積極的になるということです。
スキルアップや知識習得の「能力開発」ではありません。「機会開発」です。
研修を受けたり、勉強をしたり、資格を取ったり(例えば海外の有名大学MBA等)は分かりやすいし
実は取り組みやすい努力の方法です。それ自体は否定するものではありませんが、やはり自ら変化を創り出す「打席」に立つ動きができるかがポイントになります。
能動的に取りに行くものもあると思いますし、自分が想定していない形でアサインされた仕事というケースもあるかもしれません。(実はおいしくなさそうに見える仕事ほど、結果的にはおいしいということはよくあります)
機会と環境が、価値ある経験を作り出してくれるものだと思いますし、それが結果的に、変化対応力と適応力を鍛えてくれる一番の近道だと感じます。
キャリアを社内、社外で考えていく時に、
・今後どんなチャレンジをするのか?
・どんな機会・変化を自ら取りに行くのか?
という視点をぜひ意識してみていただければと思います。
(2021年8月20日)
今回の教訓&アドバイス
時代と共に必要とされる職種やスキルは変化していく
企業・個人共に普遍的に求められるのは変化対応力
変化対応力を鍛えるには、能動的な機会開発が必要
工藤 直亮
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