先日、3年前に当社にエントリーされていた候補者の方(ここではAさん)から突然連絡がありました。今後のキャリアのことで色々悩んでいるので相談にのってほしいとのことでした。 丁度スケジュールに空きがあったので、早速翌日の夜にお会いしました。Aさんは35歳、大学経済学部を卒業後、外資系のソフトウエア会社に就職、一貫してカスタマーサポートを担当されてきた方です。現在の職位はマネージャー。客観的に見れば安定したポジションと収入を得られている転職の必要のない方です。
「実はCPAの資格を取るために会社をやめようと思うんですが・・・・。」
開口一番、Aさんは神妙な表情で話し出しました。何やら資本系列が変わったことにより会社の風土が一変して、前のように刺激的な仕事ができなくなってきたことに加えて、昔の仲間がどんどん退職しているようでした。
「なぜCPAの資格なんですか?」
「Aさんは会計のキャリアもお持ちでしたっけ?」といった私の質問に対してAさんは、
「いや、経験はないんですが、これからは資格の時代だと思いますし、CPAはこれ から需要が高いと聞いたので・・・。」
確かにそのとおりで、CPA資格は外資系企業の増加とグローバル企業(大企業)の国際会計基準導入で需要が高いのです。しかし・・・・
「でも、求人の中心は外資と日本の大企業ですよ。総じて資格よりも経験を重視しますし、日本の会計知識も要求されます。そして何より英語力が求められますが、Aさんは英会話はおできになりましたっけ?」
Aさん、少し沈黙して、
「いえ、英会話の勉強はしているのですが・・・・・。」
「加えて年齢を考えれば(Aさん35歳)勉強の為にたとえ半年、1年でもキャリアに空白が空くことのほうが、転職市場でのリスクは高いですよ。それよりも仕事をしながら勉強したり、今までのキャリアを生かしてマーケティングやカスタマーサポート系の仕事を探したほうが、スムーズではないでしょうか」
という私のアドバイスになにやらふっきれたようで、Aさんは約1時間の面談の最後には、マーケティング系職種で英語環境で仕事をする場面の多い外資系企業を転職先として探すこととなりました。また、早速英会話の勉強に力を入れて1年以内にTOEIC800点を目指すという具体的な目標設定までされて、元気にお帰りになりました。
資格を取れば一気にキャリアチェンジができる。結構抱きがちな妄想(言いすぎ?)ですが、現実はそんなに甘くはありません。外資、日本企業を問わず、資格の前に経験を重視します。確かにないよりあったほうが良いのですが、全てでないことは事実です。従って退職してまで、資格取得の勉強をするのはあまりにもリスクが高すぎるといわざるを得ません。でも、どうしてもという場合は別ですが・・・・・。
男女問わず、30を過ぎると色々キャリアの先行きに不安を感じるもの。資格が一つの拠り所になるのは十分理解できるのですが、それのみが目的になるのは結構危険です。
働きながら資格取得の勉強をする。大変ですが、これが一番。
(2011年10月5日)
今回の教訓&アドバイス
資格は人生を変えるほどの武器にはならない
キャリアの空白が一番怖い
求人内容、背景をしっかり把握する。思い込まない
自分の強みを生かして転職する(自分の強みを理解する)
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等のご希望がございましたら、お気軽にご相談ください。
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