最近の転職雑誌やWEBサイトを見ると、キャリアアップの視点から資格や学校関連の情報もたくさん載っているようです。 「キャリアアップコラム」の第1回のテーマも資格でした。多くの方からの反響を頂いたのを覚えています。今回はその第二段です。 ただ、今回紹介するケースは資格ではなく、”未経験→勉強→希望職種に転職”された I さんの例をご紹介したいと思います。「経験必須」の世界に「ちょっと工夫」をすることで見事未経験ながら転身された感動の物語(?)です。
I さんは28歳、語学系専門学校を卒業され一般事務職、秘書として3社経験、当時無職です。昨年の5月頃、私の友人の紹介でお会いしました。
「丸山さん。もう一般事務はイヤなんですが、なにか専門的な仕事で未経験OKの求人ってないですか?」と、I さん
「いや、はっきり言ってないですね。中途採用は基本的には即戦力採用ですから、未経験者を採用することは稀ですよ。」と、私。
また年齢的に28歳となると第二新卒扱いにもならないこと、専門職を目指すのであれば事務職、秘書の経験を生かして人事労務系、会計系の事務系専門職を目指されるのが一番現実的であることをお伝えしました。ところが、I さん。
「いや、事務系の専門職はイヤなんです。IT系の仕事、例えばWEBデザイナーとかディレクターとかがやりたいんです。」
詳しくお聞きすると、パソコンが大変好きなことと、なによりも将来結婚して子供ができても自宅でSOHOとして仕事ができるのがポイントとのことでした。
「事務系の仕事っていくら専門職になっても会社を辞めれば仕事がないですよね。WEBの仕事なら会社を辞めても仕事ができますから。私はそういう仕事がしたいんです。」
と I さんは熱心にお話になりました。
ところが、現実は未経験でWEB系職種で採用してくれる企業などありません。当然、企業の紹介はできませんでした。
2時間ほどあれこれお話をして最後には、まずはWEB系の専門学校に行って基礎技術を身に付けるという結論に至りました。
そこで、私は当社クライアントでWEB系クリエーター向けの書籍を出版している会社の社長に問い合わせて、一番評価の高い学校を紹介してもらい、その情報を I さんにお伝えしてお別れしました。それから約3ヶ月後・・・・。
「I です。ご無沙汰しています。無事学校は卒業したのですが、中々就職が決まらなくて。」
と I さん暗い声。
お聞きすると、学校は出たもののやはり企業は経験を求めていて、未経験なので書類で落ちてしまうとのことでした。そこで私。
「I さんはA学校の生徒ですから、個人のホームページは持ってますよね。その中で、例えば格安で企業のホームページを作成するという広告を作ってそれで1社でも2社でも企業のページを個人として作ってみてはどうですか?ビジネスベースのホームページを作った=経験ありってことになると思うんですが、どうですか?」
と、半分こじつけかなと思いながらも、I さんに提案してみました。
すると I さん。「やってみます!企業で働くだけが経験じゃないですからね。運良くクライアントがみつかればラッキーですよね。」
それからまた3ヶ月後・・・・。
Iさんからメールが来ました。(抜粋)
{ご無沙汰しています。I です。色々お世話になりありがとうございました。実は本日より念願のWEBデザイナーとしてG社に勤務することになりました。あの後、運良くクライアントが見つかりその企業のページを作りました。これが中々評価が高くて、自信にもなりました。就職活動でもそれが決め手になりました。信じられないのですが、今回の活動では4社から内定を頂けました。その中でG社はOracleの勉強をさせて頂けるということで、給料など条件は他社よりよくなかったのですが、決めました。早くSOHOとして独立できるくらいの力をつけれるよう頑張ります。}
「半分こじつけかな」と思ったアドバイスが見事ねらい通り的中したことを喜ぶと同時に、次回の I さんのステップアップのお手伝い(何年後になるのか)を私は心に誓ったのでした。
「経験者に限る」という壁を中々越えられない人達はたくさんいらっしゃいます。もちろん、全て I さんのようにうまくいく訳ではありませんが、ちょっと工夫をしたり、回り道をすることでその壁が越えられることもあるのです。でもその「ちょっと」を思いつくのも、実行するのも「その仕事を絶対やりたい」という熱意とエネルギーがベースになっていることは言うまでもありません。
(2011年12月15日)
今回の教訓&アドバイス
学校を出ただけでは就職は難しい
会社での実務だけが経験ではない
インターネットにはチャンスがいっぱい。フルに活用すべし!
工夫が大切。少しの工夫でチャンスは広がる
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