5月31日、読売巨人軍の8番には吉川大幾という選手がサードで入った。実は彼は、ドラフト2位で入団した中日から戦力外通告された選手だ。まだ22歳の吉川選手は、トライアウトから、巨人に再入団し、この日は4打数2安打1打点と活躍した。
また、阪神から大リーグにチャレンジしていた藤川球児選手が、米大リーグのレンジャーズから自由契約となった。そして、6月1日、阪神ではなく、四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスに入団することを発表した。
ビジネスの社会でも「戦力外通告」は様々なシーンで存在する。リストラや新規事業の撤退、あるいは早期退職制度など。ビジネス社会で戦力外通告を受けた際の、再起について考えてみた。
その球団からすれば「戦力外」。
それはその球団の都合でしかない。
リストラや新規事業の撤退、あるいは早期退職制度の選択や、時には「うちの会社には合わないから辞めてくれ」と言われたとしても、それはその会社の都合である。なにも「自分を押し殺して、企業の指示命令に従う事が全て」ではない。
もちろん、ワガママや周囲に迷惑をかける振る舞いで、懲戒であったとするならば、それは改めるべきであろう。しかし、大半の人はそうした理由ではなく、会社の方針や必要とされるか否かの事情で、戦力外とされたに過ぎない。
「戦力外」ではなく「自由契約」。
自分の戦力に自信を持つ
リストラは、企業側での収益ポートフォリオの中での、組織の再構築に過ぎず、その再構成の人員に選ばれるかどうかは、まさに企業の都合でしかない。むしろ、当人からすれば、そんな社員の雇用に手を付けるまで追い込まれる会社から、自由になった事はチャンスであり、無限の選択権を得たとも言える。
新規事業の撤退
その時の選択は?
戦力外通告ではないが、一生懸命やってきた新規事業が、会社が納得する成果が出ず、撤退が決まった、そんなケースもある。この際も、「自分の力不足が原因だ」と自責の念に駆られる人もいる。すべては自分の責任としてしっかり反省することは必要であり、とても大事なステップだが、いつまでもそこで立ち止まっていたのでは前に進めない。
自ら事業の幕引きをすることはなかなかできないが、敢えて会社が引き際を決めてくれたと考えればそれで良い。ましてや、十分に振り返って反省した後でも、不当な扱いを受けるようであれば、会社を辞めることを考えても良い。
自分を活かせる場所を
さて、大リーガー藤川球児選手が独立リーグを選択した事は、皆さんはどう考えるだろうか? かつてジーコ選手がJリーグに選手として所属したり、ベッカム選手がアメリカでプレーした際に、ピンとこなかった人も多いと思う。
しかし、転職先のブランドよりも、自分が新天地でどう期待されていて、自分が何をしたいかがより大切である。キャリアは、会社の規模や収入で、上や下があるわけではなく、部下の指導や育成、あるいはリーダーとして小さなチームを引っ張る事なども含め、様々な可能性とやりがいを天秤にかける必要がある。
より高いレベルでより高い報酬で活躍する姿ばかりが理想ではない。自分の「活かし方」を考える事は、自分の「生き方」を考える事でもある。スポーツという闘いの場から学ぶべきビジネスの事はたくさんあると感じる。
丸山貴宏
大手就職情報会社の人事採用担当を約7年経験後、クライス&カンパニーを設立。前職からの候補者面談者数は10,000名を超え、その経験と実績に基づいたカウンセリングは業界でも注目されている。単に企業情報の提供に留まらず、「候補者の根っこのエネルギーを発掘する作業が我々の使命」がモットー。 1963年生まれ。
- 著書
- 「そのひと言で 面接官に嫌われます」 / 青春出版社 2014年5月9日発売
「キャリアコンサルティング」 / 翔泳社 - 共著
- 「転職後、最初の1年にやるべきこと」 / 電子書籍(Kindle版)
- 連載コラム
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