若年層に浸透するLine。「掲示板」であるという認識を
大阪府寝屋川市の中学一年生の殺人事件では、街中の防犯カメラの映像と共に、Lineでのやりとりが次々とニュース報道に流れています。金銭トラブル等をめぐる週刊誌報道で自民党を離党した無所属の武藤貴也衆院議員も、自身がLineでしたやりとりの表現が問題となっています。
つまりはLineでのやりとりは、捜査上求められれば、もしくは報道機関が動けばすぐに公開されてしまう可能性があるという事です。単なるネット上の掲示板であり、私文書ではないのです。それを前提で、私たちは使わなければなりません。
エグゼクティブも使ってみるべき
セキュリティに関して様々な見解のあるLineですが、私自身も家族等親しい人とのやりとりでは利用しています。これだけ普及しているのですから、自らも使う事で、その手軽さを実感すべきでしょう。ただし、プライベートユースに限るべきです。取引先とのやりとりに使うべきものではないように感じます。あくまでも手軽な「おもちゃ」なのです。エグゼクティブであれば、そのリスクを知り、TPOをわきまえる必要があります。
内定者交流をLineですべきではない
一部の人事は、内定者とのやりとりをLineでしています。メールでは、届いたか読んだか不確実。グループ機能で、内定者同士のコミュケーションもはかれる。Eメールアドレスと違って、メーラーへのログインもなく、携帯画面ですぐに確認ができ、見逃さない。内定辞退があってもプロックが容易。などなど、様々な利点があると聞きます。
しかし、それら利点があっても、私は人事がLineを使うのはどうかと思うのです。内定の時から、Lineスタンプで「OK」をしたり、つぶやき的な短文コミュニケーションをしていいのでしょうか。そんな事で内定者とつながったような気になるのは、なにか違う。社会人としてしっくりこないのです。やはりLineは手軽で便利なおもちゃではないかと。内定した瞬間から、従業員と人事とのやりとり。礼儀や節度が必要な場ではないかと思うのです。
せめてFacebookではどうか
そう考えると、Facebookで内定者とやりとりしたり、内定者グループを作ったりするという事は考えられます。Facebookは、比較的パブリックな場であるとも感じるからです。ただし、学生時代の友達とつながっているようなケースは、別途グループを作るべきかもしれません。学生時代のノリと、ビジネスパーソンとしてのこれからの自分は、やはりちょっと違うのです。不特定多数のお客様や取引先も今後つながる場所かもしれません。そうしたSNSマネジメントをしていく前提であれば、機能性は高いとも思います。
身内と気軽に使うLine
もちろん、ビジネスでLineを使うなとは申しません。例えば、工事現場の親方が部下に「今日は雨だから作業中止」と送る時に、Lineが使われていると聞きます。このケース、親方と部下は「身内」です。スピーディに情報伝達をするのに有効でしょう。また、営業キャンペーンなどで、「A君が新規受注をしました」「B君が12件目の飛び込みです」等と実況中継のように活用して行くのにも有効です。この場合は、取りまとめている庶務や事務スタッフと、現場の営業マンは「身内」です。家族とのやりとりの延長として、ゲーム感覚で使うのもよいでしょう。
しかし、取引先、お客様、交流した人脈と考えると、Lineではないのでしよう。Facebookでもよいですが、依頼や相談であれば、長文になるので、Eメールが適切かと。あるいは手紙。あるいは電話。あるいは対面。ビジネスでのコミュニケーションはハブリックなものになるのです。そこは「身内」ではないのです。進化するITメディアの使い方を適切に考え、対応して行く事が必要です。
丸山貴宏
大手就職情報会社の人事採用担当を約7年経験後、クライス&カンパニーを設立。前職からの候補者面談者数は10,000名を超え、その経験と実績に基づいたカウンセリングは業界でも注目されている。単に企業情報の提供に留まらず、「候補者の根っこのエネルギーを発掘する作業が我々の使命」がモットー。 1963年生まれ。
- 著書
- 「そのひと言で 面接官に嫌われます」 / 青春出版社 2014年5月9日発売
「キャリアコンサルティング」 / 翔泳社 - 共著
- 「転職後、最初の1年にやるべきこと」 / 電子書籍(Kindle版)
- 連載コラム
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