丸山貴宏のよくわかるキャリアの話 vol.07
コンピューターに取って代わられないために。
仕事のスタンスを変え、存在価値をあげていく時代。

大半の仕事は、コンピューターにとって代わられる?

英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授と研究員との共著『雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか』の中で、700もの職種すべてについて、コンピューターに取って代わられる確率を仔細に試算しています。今後10~20年程度で、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化されるとして話題を呼んでいます。

また、その職種と奪われる確率に、その仕事の就業人数をかけあわせたランキングが週刊ダイヤモンドで発表されました。小売店販売員・会計士・一般事務員・セールスマン、一般秘書、と順位は続きます。

自動改札が導入されて、切符を切る人はいらなくなった

確かに、私達の周りではこうした変化は急激に起こっています。自動改札が導入され、切符を切る人がいらなくなったのは記憶に新しいところです。様々なものがネットで買えるようになり、店や販売員も減っています。たばこ屋のおばちゃんもいなくなりました。ガソリンスタンドもセルフの時代となり、最近はレジもセルフが出てきました。これらも科学技術の進歩でしょう。

ドライバーは絶滅するのか

シリコンバレーではすでに、自動運転のクルマが走っています。人間の運転技術をしのぐところに至れば、事故は減るのかもしれません。たとえば、昔のタクシーの運転手は「どんな目的地もどんな道でも知っている」という事がベテランの強みでした。しかし、それはカーナビというIT技術にとって代わられます。渋滞まで検知し、迂回路まで提案する技術によって、少なくとも「どんな目的地もどんな道でも知っている」人は、その存在価値を失ってしまったのかもしれません。

では、タクシードライバーは絶滅するのでしょうか? そんな事はないでしょう。見知らぬ土地を案内してほしい人。気さくに話し相手をしながら過ごしたい人。そんなニーズに応えるもてなしを希望する人も少なからず存在し続けるのですから。

全てが自動販売機では買えない

日常的で、必然性の高いもの、たとえば日常雑貨などは、ネットショップや自動販売でよいのかもしれません。しかし、必然性が低いものはどうでしょう。そんなに購入切迫感がない嗜好品などです。

先日、百貨店をブラリとしていて、ついつい「水滴の付かないグラス」を買ってしまいました。店員さんから商品のこだわりやうんちくを聞いているうちに欲しくなってしまい、結構な価格だったのですが購入してしまいました。その時の店員さんとの会話がなければ購入しなかったと思います。つまりは、販売という仕事であったとしても、そこに人間の介在価値があればあるほど、その仕事が残るのではないでしょうか。そんな価値ある人材が、IT化も味方にしてデータ分析などを活用し出すと、鬼に金棒かもしれません。

言われた事を、ただ、こなすだけの仕事はなくなる

小売店販売員は減ってもカリスマ販売員が際立ち、一般会計士はITシステムに変わっても節税のプロの会計士が人気になり、毎月決まった決済をするだけの営業マンはネット発注に代わっても、新商品提案や大型提案をする営業マンがセールススキルをより磨き、一般秘書業務がIT化されればされるほど、社長の労をねぎらい取引先への配慮をフォローするスーパー秘書が登場してくるのではないでしょうか?

私のしている人材斡旋と言う仕事も同様です。人口知能では到底マッチングできないようなコーディネイト力がなければ、当然、機械にとって代わられます。企業と人材の想いを傾聴し、デジタルな組み合わせでは不可能な出会いを創造出来る力が求められていますし、それが私達の存在意義なのです。

人間でなければ出来ない部分を、より極めて行く。それこそが生き残る道なのです。

コンサルタント
丸山貴宏

大手就職情報会社の人事採用担当を約7年経験後、クライス&カンパニーを設立。前職からの候補者面談者数は10,000名を超え、その経験と実績に基づいたカウンセリングは業界でも注目されている。単に企業情報の提供に留まらず、「候補者の根っこのエネルギーを発掘する作業が我々の使命」がモットー。 1963年生まれ。

著書
「そのひと言で 面接官に嫌われます」 / 青春出版社 2014年5月9日発売
「キャリアコンサルティング」 / 翔泳社
共著
「転職後、最初の1年にやるべきこと」 / 電子書籍(Kindle版)
連載コラム
ダイヤモンドON LINE「転職で幸せになる人、不幸になる人」
ダイヤモンドON LINE「35歳からの転職力養成講座」
@IT「ヘッドハンター丸山のいつか、あなたに逢いにいく」
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