ラグビー日本代表の外国人。違和感より期待感
日本代表の躍進と共に、大和魂で力の限りガッツのあるプレーを繰り広げる外国人選手が話題を呼んでいます。
学生時代から日本で活躍していたという選手も多く、日本語も堪能。時には関西弁まで話します。本国からも代表として呼ばれながらも、日本代表を選び大活躍しています。
チームが高い成果を出す上でも、体格面で世界水準である彼らが存在する事は、とても頼もしいことと言えるでしょう。
その人を必要とするポジションにこそ
こうした国際化は、チームプレイであるラグビーにおいて、フィジカル面でチームを支えてくれる彼らが必要とされるポジションがあるからとも言えます。
すべてのポジションが外国人というわけではないのです。サモア戦でマン・オブ・ザ・マッチとなった五郎丸選手。彼のポジションであるフルバックも含めて、全て外国人となると、ちょっと違和感が強くなってしまったかもしれません。
そういう意味では、横綱が全員がモンゴル出身という大相撲は、もうちょっと日本人に頑張ってほしいと思います。個人格闘技ですから仕方がないのですが、ラグビーはチームプレイ。適材適所での外国人登用を意識しているのです。野球も同様です。
曖昧な目的のまま国際化をしても、うまくいかない
ビジネスにおいても同じように、外国人に求められるポジション・ミッションを明確にすべきです。日本人にはない発想や能力を求める職種があればこそ、欠くべからず必須の人材。適材適所で採用をすべきでしょう。
仮にそうしたポジションを意識せずに、ダイバーシティの名の下に「国籍のバラエティ化」だけを目的にしてしまうと、意志の疎通やコミュニケーションのロスばかりが増えてしまいます。
いくつかの企業で見てきましたが「外国人を増やせば、よい刺激や相乗効果があるのではないか」という程度の考え方では、上手くいかないというケースが多いのです。採用された本人も何を期待されているのかよくわからない。日本人従業員の方も戸惑いばかりで、せっかくの逸材を上手く活用できないということが起こります。
例えば「スクラムとタックルを強化したいので、是非、外国人の君に活躍してほしい」「4番として打点をあげてほしい」といったミッションが明確でないと、チームでの役割分担やポジションがしっくりきません。存在感も出ないでしょう。
日本に来てくれた外国人のキャリアを、彼らの視点で考える。
一方、国内が人口減少であるから、積極的に外国人を採用しているという職種も存在します。しかし、こうした「穴埋め型採用」は、こちらの都合ばかりで、彼らのキャリア意識とマッチしない事があります。
例えば中国人。彼らのほとんどが一人っ子であり、日本企業で学んだことを活かして帰国し、さらにその経験を活かし活躍したいと考えています。自国の成長スピードは速く、本人も強い成長意欲を持っています。人が足りないという日本の事情で単純作業だけを何年もさせている環境に、彼らは失速感を持っています。
まだまだ日本人は、外国人を活用する事に慣れていません。そういう意味でもラグビー日本代表のチームワークや、選手の活かし方を多いに参考にすべきでしよう。
丸山貴宏
大手就職情報会社の人事採用担当を約7年経験後、クライス&カンパニーを設立。前職からの候補者面談者数は10,000名を超え、その経験と実績に基づいたカウンセリングは業界でも注目されている。単に企業情報の提供に留まらず、「候補者の根っこのエネルギーを発掘する作業が我々の使命」がモットー。 1963年生まれ。
- 著書
- 「そのひと言で 面接官に嫌われます」 / 青春出版社 2014年5月9日発売
「キャリアコンサルティング」 / 翔泳社 - 共著
- 「転職後、最初の1年にやるべきこと」 / 電子書籍(Kindle版)
- 連載コラム
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