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ITコンサルやSE(システムエンジニア)が事業会社へ転職したら年収はどうなる?

ITコンサルやSE(システムエンジニア)の方が事業会社への転職時に必ずと言っていいほど気にされるのが年収に関する情報です。もちろんその方の現年収とご経験によって事情は異なるものの、年収に関する一定の傾向はありますので、今回は実際の転職時のデータを元に紹介していきます。

事業会社へ転職した場合の年収は4割がダウン

2023年10月~2024年9月の1年間で、弊社経由で事業会社に転職をされた方のデータを元に集計しました。
※年収の増減値によって以下の3通りに分類しています。

アップ:年収が50万円以上上がった方
ダウン:年収が50万円以上下がった方
ステイ:年収の増減値が50万円未満の方

下図の通り、コンサルティングファームやSIerから事業会社へ転職した方(コンサルto事業会社)の24%が年収アップ、43%が年収ダウン、33%がステイという結果になりました。全体的には年収が減少するケースが最も多いですが、横ばいや増加するケースも少なくありません。
事業会社へ転職される方が転職理由としてよく挙げられるのが

「当事者として何を作るかを考えるところから一気通貫で関わりたい」
「リリースして終わりではなく、サービスやシステムを継続的に育てたい」
「WLB(ワークライフバランス)を改善したい」

といったものであることから、転職活動開始時点で年収については多少のダウンも許容できる姿勢の方が比較的多いように感じられます。複数の企業から内定が出た場合も、やりたいことができるのか、働く環境が希望に合っているのかで意思決定される傾向にあります。

【 コンサルto事業会社転職の年収 】

また、コンサルティングファームやSIerからコンサルティングファームへ転職した方(コンサルtoコンサル)の大半である88%が年収アップしていました。
このような方の転職理由は

「より成長したい」
「年収を上げたい」
「上流工程に携わりたい」
「コンサルの仕事は好きで続けたいが、現職は働き方がハード過ぎるので改善したい」

というものが多く、年収は下げない前提で転職活動される方が多いようです。

【 コンサルtoコンサル転職の年収 】

管理職採用が増加する35歳を境に年収の変動幅に変化が生じる

事業会社への転職ではコンサルティングファームやSIerでは得られないものが得られるとは言え、なるべく年収ダウンは抑えたいもの。特に子育て中の方が多い30代・40代の方からは家族からの同意を得るためにも年収は下げたくないという要望をいただくことも多いです。
年代層別に年収の増減を分類すると次のグラフのようになります。

【 コンサルtoコンサル転職の年収(年代別) 】

20代〜30代前半は年収の変動幅が比較的小さく、ステイが多い傾向にあります。一方で
30代後半〜40代は年収の変動が大きく、±200万円以上の増減が生じている方が6割近くいらっしゃいます。

これは転職が年収に与える影響が個人によって大きく異なることを示しており、年齢や現在の年収だけでなく、個々の状況や転職先の条件によって結果が大きく変わることを示唆しています。特に30代後半以降では、転職によって大きな年収の変動(増加・減少両方)が起こる可能性が高いことが分かります。

こういった現象が起こるのには2つの側面があると考えられます。

1つは、40代で年収アップの方の多くが管理職としてのオファーを受けているということです。特に近年はPEファンドによる大手企業の買収・非上場化が特に目立っています。このような場合、40代・50代のCIO・CDO人材を高待遇で迎え入れ、投資先のDXを推進するというケースもあります。このような場合は数千万円でオファーが出ることも珍しくありません。
逆に年齢が上がるにつれて即戦力性が重視されるため、転職先とこれまで経験してきた業界や職種の親和性が強く求められるようになります。例えば、業界は未経験であるものの、PM力や技術力は評価される、という場合には現年収よりもダウンでオファーされることもあります。

そしてもう1つは、20代の方が事業会社を受けた場合、事業会社側からスキル・経験は不足しているもののポテンシャルは感じるので採用したいと判断されることが多いからです。事業会社の多くはIT人材を自社で多数抱えて育成するほどの体力は無く、30代・40代で自走できる方を求める傾向が高いです。ですので、20代の方に対するジャッジは厳しく、そもそも内定が出ないケースも多く、出たとしてもポテンシャル採用の場合は現職よりもダウンになる場合があるのです。
もちろん20代の方のニーズが強い企業も多くありますが、そういった個々の企業の採用ニーズを把握しないまま受けてしまうと、たとえ優秀な方であっても、何十社も応募する羽目になってしまうこともあるため注意が必要です。

事業会社への転職で年収UPの鍵は「専門性と英語力」

では事業会社への転職において年収アップに成功している方にはどのような特徴があるのでしょうか?
それはズバリ専門性英語力です。
もちろんシステム開発におけるステークホルダーを巻き込むリーダーシップ、協調性などは前提として、加えて特徴的と呼べるのはこの2点になります。

経営や業務部門と膝詰めでビジネス要件を定義するビジネスアナリスト、数十億~百億以上の大規模で複雑なシステム開発をやりきる大規模PM、ビジネスを理解してデータを活用し新たな価値を創出するデータサイエンティスト、高い技術力と実装力を持ったテックリード、自社のビジネスリスクとシステムリスクをマネジメントするセキュリティ担当、そして経営視点で自社のITとIT組織をマネジメントするCIOなど、いずれの立場・レイヤーにおいても自分がどのような専門性を活かして転職先の企業に貢献できるのかを言語化する必要があります。この専門性の高さ・幅の広さが転職時の大きな評価ポイントになります。

また、総合商社、外資系企業、日系グローバル企業など、コンサルティングファームに比肩する高年収企業の多くでは、英語力を必須要件としている企業も珍しくありません。英語ができるかどうかで受けられる企業も絞られてしまいます。IT人材の方で英語が苦手な方もいらっしゃるとは思いますが、そういった企業を目指すのであれば必要なスキルと考え地道に勉強を続けることをお薦めします。

将来的に事業会社への転職を検討されている方は、専門性と英語力を意識しながら自己研鑽に励んだり、アサイン希望を出すと将来可能性を拡げて転職活動ができるようになるでしょう。
キャリア戦略をどのように考えるかは客観的な意見も必要だと思いますので、是非信頼できるキャリアコンサルタントとじっくり相談してください。

今回は年収をテーマに取り上げましたが、その他にも事業会社を志す際に意識して欲しいことはこちらにまとめていますので、是非ご一読ください。
ITコンサルやSEが事業会社への転職で気をつけるべきこと

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(担当コンサルタント:和田智行

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