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「こんなはずじゃなかったのに…」 
IT・DX人材が失敗しがちな転職の仕方 

ITコンサルタント・DXコンサルタントを筆頭に、IT・DX人材の採用市場は益々活況です。転職サイトに登録すると、数えきれない・対応できない数のスカウトが届きます。また、社員への報奨金を出してリファラル採用を強化する企業も多く、自社サイトから応募して入社が決まったらお祝い金を支給する企業も増えてきました。年収もアップしており、条件面を中心に転職に対するハードルが下がっており、流動化が進んでいます。
魅力的と感じるようなオファーが増え、より身近となっている中、転職サイトやリファラル採用で転職したら「こんなはずじゃなかったのに…」「話が違うよ…」といった理由で再度転職を考えることとなった方が増えているように感じます。特に、初めての転職でこのような状況になってしまった方が多いように思います。

今回は、一例としてよくあるケースを参考に、転職を成功させるための留意点をお伝えします。

ITコンサルタント→ITコンサルタント スライド転職だから問題ないと思っていたけど…

大手コンサルティングファームで活躍されている方がネクストキャリアとしてブティック系ファームを選択されることが増えてきているのを、以前にコラムでお伝えしたことがあります。
https://www.kandc.com/digital/note/030/

ブティックファームを選ぶ理由の一つとして「上が詰まってなく、正当な評価で早く昇進できる」がありますが、Aさんもそうでした。新卒で入社した大手総合系ファームで活躍されていましたが、上が詰まっていてなかなかプロモーションができずに悶々としていました。そんな中、転職サイト上で成長中のブティックファームから声がかかり、ポジション・年収ともにアップして転職しました。
業務内容もこれまでやってきたことがそのまま活かせるものだったので自信もあり、すぐに立ち上がれる・活躍できると思っていました。

しかし、思わぬ事態が… パワハラ上司に当たってしまいました。メンバーに対する怒声・罵声も頻繁で、発言の内容もどうかと感じることが日常的。思いやりのない理詰めが多く、マネジメントの考え方が全く合いません。周りを見ると似たようなチームが他にもあり、入社後早々、カルチャーが合わないと感じるようになりました。クライアントに対してはしっかりと責任を果たしたいと頑張っていますが、このまま長く働くことはとても考えられないと、プロジェクトの切れ目で転職を考えることとなってしまいました。

初めての転職ということもあって、どのように転職活動を進めたら良いのかといった知識があまりない中、やることが同じでポジション・年収が上がるならと半ば軽い気持ちで決めてしまったことを後悔していました。
ブティックファームに転職したことが間違いではありません。決断するための情報収集が不十分だったのが失敗の要因です。内定後に上司やメンバーの方々との面談をセットすることにより、面接とは違ったスタンス・雰囲気で業務や組織の実態・現状を確認・理解することができたはずです。

意気揚々と転職したのに、予想外の状況に出鼻をくじかれてすっかり意気消沈したAさんのお話を伺い、もっと早くにお会いしていれば社風・カルチャーなど見えにくい面も含め、最初の時点でどのような会社がフィットしているかをふまえたご紹介が出来たのにな…と思いました。

リファラル転職だから安心だと思ったけど…

上述しましたように、リファラル採用を強化している企業も多くなりました。元上司や元同僚、知人・友人から声がかかり、社員紹介で転職する方も増えてきました。特に、コンサルティング業界・IT業界は多いように感じます。

それまでは転職をそこまで考えてなかったけど、「今度新しい事業・サービスを立ち上げるんだけど」「今やっている事業を強化するから」など誘いを受けたことをきっかけに転職を考えるようになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
Bさんも現職に大きな不満はなく、転職は考えていませんでした。ある日、元上司から「新しく部門を立ち上げているんだけど一緒にやってくれないか?」と声を掛けられ、新しいチャレンジも面白そうだと転職を決断しました。
退職の意思を伝えたところ慰留が思いのほか強く、プロジェクトの状況や引継ぎなどあり、転職を決めてから入社するまで4ヶ月ほどかかってしまいました。

入社してみると、思ったよりもプロジェクトがなく、多くのメンバーが提案を行っています。部門の立ち上がりに想定よりも時間がかかっていました。
苦戦が続いていると、会社の方針として部門そのものをクローズすることが決定。誘ってくれた上司も退職・転職することに。Bさんは、他の部門に異動することとなりました。
前提の話がなくなり、状況がまるっきり変わってしまい、社内での異動と言ってもこれでは転職するのと同じということで、短期ではありますが転職も検討することになりました。

リファラル採用で気を付けなければならないのが、情報が偏ってしまう可能性があることです。リファラル採用ですので面接は実施しますが、各面接で積極的に情報を確認するというより、紹介者からの情報のみで理解しがちです。Bさんも、元上司からしか事業・業務について話を聞いていませんでした。会社として部門の立ち上げに関してどのような考え方をしているのか、会社としてどのようなキャリアパスがあるのか、などの確認が浅かったようです。

今回のケース以外にも、リファラルで転職したけど「誘ってくれた方が辞めてしまった」「聞いていた話と違ってしまった」といった話を聞くことが少なくありません。紹介者の思いや利害などが大きく反映してしまうこともありますので、客観的な視点での内容も含めて情報を集め、会社・事業について検討することが大事です。

条件交渉を頑張って年収アップを勝ち取ったと思ったら…

転職にあたって、条件面はもちろん重要なポイントのひとつです。こちらも上述しましたように、ITコンサルタントやデジタル人材の採用ニーズは高く、年収も高まっています。複数企業の選考を進めていると、他社のオファー内容をふまえて自社のオファーを検討したいという企業も多く、まさに年収合戦のようになることもあります。Cさんも転職サイトからスカウトがあった複数の企業から内定をもらいましたが、各社に他社のオファー内容を伝え、ご自身で交渉されたようです。自分を一番高く買ってくれる企業に転職すると決め、各社のオファー内容をふまえて引き上げ、最終的に一番高い年収を提示した企業へ入社することに決めました。

入社後、プロジェクトにアサインされると、面接で聞いていたよりもロールや責任範囲が幅広く、セールス面などこれまでに経験していないこともやることになりました。面接で聞いていた話と違うためユニット長に確認・相談すると、交渉の結果として年収が当初より引きあがったため、面接時に話をしていた内容よりも上のレベル感でのアウトプットを求められることになってしまいました。新しい環境・やり方に慣れるだけでなく、要求されるボリュームの多さ、クオリティの高さに戸惑い、立ち上がりにかなり時間がかかってしまうことに。それでも早々にパフォーマンスを発揮することを求められ、心身ともにハードな状況となりました。
何とか頑張ったものの、期待通りの成果は出せなかったという評価となり、次年度は年収・ランクともにダウンすることになってしまいました。居心地の悪さもあってモチベーションも下がってしまい、早期ですが再度転職を検討することとなりました。

「年収=評価」と考えている方が多いと思います。もちろん、間違いではありません。高く評価してくれる組織・環境でやっていきたいというお考えもごもっともです。一方で、「年収=期待値」という側面もあることを忘れてはいけません。これだけの年収を支払うのだから、それだけの活躍はしてもらわないと困る、といった考えも企業側にはあります。

Cさんの問題点は「年収=評価」といった考え方だけで行動し、決断してしまったことです。各社のオファー内容(年収)は確認しましたが、「なぜそのオファー内容なのか」といった理由・背景、企業の考え方まで細かく確認していませんでした。
ご入社いただく方の立ち上がりや、長く働きご活躍いただくことを考えると、立ち上がり段階では無理せず、まずは環境に慣れていただきながら成果を出し、周囲の信頼を勝ち取ってから上のロールにチャレンジいただく=年収を上げていただくのが良いという考えのもと、面接で評価した想定ランクのレンジを超えたオファーはあえて出さない、という企業もあります。
一方で、Cさんが入社した企業のように、採用するためにオファー時の年収は出すが、それだけのパフォーマンスを求め、期待を下回れば年収・ポジションを見直す(落とす)という企業もあります。

オファー金額だけで判断するのではなく、「なぜそのオファー内容なのか」「面接を通してどのように評価したか」「どのような期待をしているか」などを確認し、自分の認識とギャップが無いかをすり合わせたうえで、どのような環境が自分に合っているかを検討することが重要です。

一例として3つのエピソードをお伝えしましたが、他にも転職してみたら「こんなはずじゃなかったのに…」といったケースはまだまだあります。
また、どのような転職の仕方をしてもリスクはあり、入社後に「思っていたのと違った」ということはあると思います。それを受け入れ乗り越えるために、色々な角度から情報を集めて検討し、しっかりと決断することが重要です。
決断するということは、覚悟を決めるということです。覚悟が決まれば、想定外のことが起きた際にも乗り越えるだけのパワー・エネルギーが出てきます。

しっかりと決断するために、あなたにとって何が必要なのか。
私たちデジタルプロフェッショナルチームは、皆さんが覚悟を決めてエネルギー高く次のキャリアに向かっていけるようご支援していきたいと思っています。
ぜひお気軽にご相談ください!
https://www.kandc.com/digital/entry/

(担当コンサルタント:半藤 剛

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