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本気DX/残念DXの見極め方

私は、デジプロ(=デジタルプロフェッショナル)のチームに所属しつつ、領域の近いプロダクトマネージャーのチームでも色々と発信しています。

今回は、普段我々がキャリア面談の現場で求職者の皆さんが悩まれている問題を取り上げてみたいと思います。

本気でやっているDXと名前だけのDX、見分けにくい問題

2020年あたりからにわかに世を、転職市場を騒がせ始めたこのDXという言葉。範囲が広すぎてよくわからない。求人票を見てもイマイチピンとこない。そんなご経験、ありませんか?

「既存事業が落ち目の中、うちの会社は新たなビジネス創出が鍵になっている。その中心になるのがDXだ」
「情報システム部門でシステムのお守りをするのとは違うことを伝えたい」
「社長がDXをやれって言ってるからDXの求人票作って採用しなきゃ」
などなど、企業側も様々な温度感や思惑で求人票を作ります。

でも、せっかくならしっかり人や部門に投資をして、DXで未来を描くことを本気で考えている会社でやりたいという気持ち、皆様の中にあるのではないでしょうか。

そこで、DX人材が欲しい!という企業に向き合い、その詳細をヒアリングし続けてきた我々がぼんやりとながら掴んだ「DXの本気度の見極め方」、今日はその一部を皆さんにお伝えしたいと思います。
タイトルにあるように、「本気DX」「残念DX」と銘打ってお届けします。

キーワードは「経営陣の本気度」「制度」「内製化/手の内化」です。

【見分けるポイント1】経営陣の本気度

これからの経営の重要ファクターが、システムやデジタル関連にあることを理解されており、現状に健全な危機感をお持ちの方かどうか、そのためのアクションを取られている方かどうか。これはチェックポイントになります。

〇本気DXの場合
「新しいビジネスモデルを作るためにも、デジタルの知見が豊富なリーダーが社内に必要だ。思い切って年収を出して業界のリーダークラスのデジプロ、Aさんにご入社いただき、権限も委譲していこう!」

▲残念DXの場合
「DXって最近よく聞くけど、投資対効果が見えないし、うちはITの会社じゃないし。失敗しそうだから今の長く付き合っているベンダーさんに任せておけばいいでしょう。」

これまでできていなかったこと、大きな変革を生み出そうとすることがDXなのですから、経営陣による本気度や覚悟が問われています。色々な社内の力学もあることはよく理解できますが、今までできていなかった意思決定を思い切ってしているか、という観点で企業選びをしてみることをお勧めします。

あとはファンドが入っている会社ですと、これまでの経営陣が注力すべきだが注力できていなかった成長のカギとしてDXに力を入れている、というケースもあります。

【見分けるポイント2】DX部門の制度(年収や勤務制度)

特に非IT企業におけるシステム系の職種は色々な意味で冷遇されがち、というイメージがあるかもしれません。そんな中である意味でDX人材を「えこひいき」しているかどうかもポイントです。

〇本気DXの場合
このままだと優秀なデジプロが採用できない…DX部門は年収レンジを個別に設定し、社内のスーツ着用規定も撤廃しよう!本社はちょっと遠いけど、DX部門だけは都内にオフィスを作ってもいいかもしれない。

▲残念DXの場合
(面接でレジュメを見ながら)33歳でITコンサル企業のマネージャー、1,200万円か…うちだと33歳だと主任クラスで、800万円までの提示なるけど大丈夫かですか?あ、もちろん福利厚生は充実しているので、実質年収はもう少し高くなりますよ。

これも前項の「ポイント1」に近いかもしれませんが、これまでの枠組みの中に当てはめることしかできずに大きな変革など出来るはずもありません。

上記の例で挙げたような年収などは特に難しい部分かもしれませんが、例えばワークスタイル、服装の規定など、「頑張れば変えられるもの」を優秀なデジプロ人材採用のために変えていこうとしているか。
我々としても、これが出来ている会社には本当に優秀な方が集まっているという実感があります。

【見分けるポイント3】内製部隊を作ろうとしている

大きな変革をしていくにあたって、自社で開発組織を抱えているか、抱えようとしているかはとても大切です。採用職種を見てみましょう。

〇本気DXの場合
プロジェクトマネージャー、DX企画などに加え、アプリエンジニアやUXデザイナー、プロダクトマネージャー、SREエンジニアなど技術者も同時に採用している

▲残念DXの場合
採用するのはDX企画とプロダクトマネージャーのみ。実際の開発部隊は外注に任せるので、ベンダーコントロール経験を特に求めている

外注するのは悪いことではないですし、いきなりすべて内製していくことは現実的ではありません。もちろんそれを理解はされたうえで、一部だけでも自社でスピーディーに開発すること、顧客の反応を見ながら社内でPDCAを回していくことなどの大切さを組織として感じているかどうか。これが採用ポジション一覧に現れるところです。

最後に

と、ここまで好き勝手申し上げました。
上記で挙げた特徴がすべてそのまま当てはまるものではもちろんありません。あくまで傾向のお話であり、本気DXの特徴があるから良い、残念DXの特徴が当てはまるから悪いと一概に言えるものではないことを追加でお伝えさせていただきます。

ここまで色々な企業をご支援させていただく中で、本当に魅力的なトップが、社内に働きかけながら環境を整え、内製組織も作りながら泥臭く前に進めてきた事例を見てきました。

DXインタビュー|第一人者が考えるDX領域でのキャリアの作り方 >

そんな企業やトップの方を応援したいと心から思いますし、デジプロの皆さんもそういった企業で輝き、リーダーになっていただきたいと強く願っております。

キャリアについてお考えの方、ご相談のある方はこちらからエントリーください。

https://www.kandc.com/digital/entry/

(担当コンサルタント:松永拓也

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