Column
DX転職コラム
「大手企業」「中小企業」などの会社の規模やネームバリューはキャリア・転職において重要?
ITコンサルタントやシステムエンジニア(SE)などのデジタルプロフェッショナル分野の採用市場は、依然として活況さを増しています。プロフェッショナルサービス・事業会社共に多くの企業・ポジションで採用ニーズは高く、色々なキャリア・転職の選択肢がある中で、こんな質問や相談を受けることがよくあります。
「大手企業からベンチャー企業に転職すると、もう大手企業には戻れないのではないか?」
「現職よりも従業員が少ない中小企業や知名度の低い企業に転職すると、キャリアダウンとならないか?」
「先の転職・キャリアの選択肢を考えると、企業規模やブランドは重要ですよね?」
たしかに、大手企業や中長企業といった企業規模や会社のブランド・ネームバリューが第一印象に影響を与えることは多少なりともありますね。
会社の規模やブランドが気になる方も、少なくないのではないかと思います。
今回は、ITコンサルタントやシステムエンジニア(SE)といったデジタルプロフェッショナル人材にとってのキャリアにおいて転職先の企業規模やブランドがどう影響するのか、事業会社/プロフェッショナルサービスの両方のケースで考えてみたいと思います。
①事業会社の場合
例えば、大規模なプロジェクトをリードできるようになりたい、大きな事業に携わりたい、といった想いが強いのであれば、大手企業で経験を積むことが希望を実現する可能性を高めることにつながると思います。
多くの関係者・ステークホルダーを取りまとめた事業・業務の推進をはじめ、予算規模や事業規模・インパクトの大きさなどを重視するなら、大手企業のほうが経験できるチャンスが多いですね。
一方で、早期に経営層や意思決定者の近くで経営・ビジネスの課題解決に貢献したい、早くに裁量・権限を多く持ち、自ら意思決定できるポジションでビジネスを創る・まわす経験をしたいといった思いが強ければ、ベンチャー企業をはじめ、打席に早く・多く立つチャンスを掴んで経験・実績を積むことが、目指すキャリアを実現するための近道となる可能性が高いと考えます。
②プロフェッショナルサービスの場合
事業会社だけでなく、プロフェッショナルサービスも同様です。
大規模プロジェクトの経験、体系立てたマネジメント・開発手法などを身に着けたいのであれば、大手ファームをはじめノウハウ・ナレッジが蓄積された一定規模以上の組織で経験を積むのが良いでしょう。
一方で、早期にクライアントの経営層やプロジェクトオーナーなどの意思決定者をカウンターパートとし、早く直接的に上流フェーズから経営・事業の課題解決の支援がしたいといった方は、大手ファームよりもブティック系コンサルファームで経験を積むことが良い場合も少なくありません。
このような企業・組織は多くのことをやらなければならない=やれる環境ですので、頑張りや実績によって打席により早く・多く立つチャンスを掴むことができる可能性も高いのです。
重要なのは「何ができるのか」「何を得ることができるのか」
このように、大手企業や中長企業といった企業規模や会社のブランド、ネームバリューだけで転職やキャリアの可能性が決まることはありません。
当然のことではありますが、次のキャリアや転職において最も重要なのは「何ができるのか」、その裏付けとして「どんな実績を積んできたのか」になります。
裏を返せば、会社規模・ブランドよりも「この先どのようなキャリアを目指すのか」「そのために今どのような経験・スキルを身に着ける必要があるのか」をベースに、「実現に向けた経験・実績を積めるかどうか」を重視して企業・組織を選択することが大事だと考えます。
大は小を兼ねない
「意思決定に時間がかかってなかなか物事が前に進まない」
「総論賛成各論反対で何も決まらない・動かない」
「上司・会社がリスクを取れずに途中で止まってしまう」
これらは、大手企業にいらっしゃる方から良く聞く話です。
なかなか見える成果・実績までにつながらず、キャリアにレコードが作れないと不安を感じて相談にいらっしゃる方が多いです。
また、明確な実績を作ることができないため、ベンチャー企業への転職に苦戦する方も少なくありません。
デジタルを活用したイノベーションが成長のために不可避となった現状で、上記のような理由もあり、大手企業が単独で新しいビジネスを創出することが困難となってきています。
そのような中、ベンチャー企業とのアライアンスやクロスインダストリーによる新しいビジネスやスキームの創出が当たり前となりました。
それにより、ベンチャー企業での実績や経験・ノウハウを評価し、スカウトに動く大手企業も増えてきました。
日本のDX化を遅らせている要因のひとつとも言われていますが、特にデジタル技術を活用した新たな価値やビジネスモデルの創出などのCreation領域の場合に、実行フェーズになるとコストが高すぎて途中でプロジェクトが止まってしまうことが少なくありません。
大手ファームでは単価・予算的に難しいものの、小さいコストでサービスインし、その後にコストをかけることにより新規事業の立ち上げ~スケールへと確実に導く支援で成果を出しているブティック系コンサルファームが成長しており、エンタープライズからの評価が高く引き合いも増えています。
そして、キャリアパスとしても、ブティック系コンサルファームから大手企業へ転職する方が、特にデジタルプロフェッショナル領域では増えています。
また、大手ファームもこれまで以上にTransformation重視へシフトしていますので、ブティック系コンサルファームでの経験を即戦力として評価しており、積極的に採用しています。
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実績・スキルがキャリアの方向性を決める
このように、特にITコンサルタントやシステムエンジニア(SE)などのデジタルプロフェッショナル領域では事業会社・プロフェッショナルサービスともに、企業規模やブランドではなく実績・スキルでキャリアの方向性が決まってきます。
大手・ベンチャーなど会社の規模だけでなく、個別の企業やポジションでどんな経験ができるのか、どんな実績やスキルを身に着けることができるのか、などが変わってきます。
「どんな企業やポジションが自分にとって良いのだろう?」
「今後のキャリアを考えると、どのようなキャリアパスが良いのだろう?」
などなど、キャリアや転職についてお考えの方は、是非こちらからエントリーください。
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(担当コンサルタント:半藤剛)