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DX転職コラム
元同期に聞いてみた・大手SIerからスタートアップ企業の開発責任者へのキャリア・転職【前編】
以前、ポストSIer・ポストITコンサルのキャリア〜SIerのS
この中にポストSIerの7つのキャリアの選択肢を記載しましたが、そのうちの1つであるスタートアップ企業(CTO、VPoE、エンジニア、プロダクトマネージャー、カスタマーサクセスなど)へのキャリアに関して、まだまだ世の中でどのようなキャリア事例があるのか知られていない印象があります。
実際に、キャリア面談の場で私もよく候補者の方からこのようなご相談を受けることがあります。
「今後管理職になるとどんどん手を動かさなくなってしまう」
「20代のうちはもっとエンジニアとして成長できる環境に行きたい」
「レガシィなシステムの担当を続けており、将来今の会社でしか通用しなくなってしまうんじゃないか不安」
このような声を受けて、今回は私の野村総合研究所(NRI)時代の元同期で、現在は急成長中の営業支援SaaSスタートアップMagic Momentで執行役員開発責任者を務める高橋宏圭さんに、SIerからスタートアップ企業へのキャリア・転職についてインタビューいたしました。
※Magic Momentについて詳しくはこちら
【前編】である今回は、高橋さんのこれまでのキャリアについて、【後編】ではSIerとスタートアップ企業における開発の違いやポストSIerのキャリアについて語っていただきます。
ーこれまでのキャリアについて、まずは野村総合研究所(NRI)でどのような仕事をしていたか教えてください。
NRIの中では珍しいのですが、異なる事業本部を5つ跨いだ異動を経験しています。
私は当時AWSが出てきたばかりの頃、AWSのR&Dや技術検証をする基盤系エンジニアとしてのキャリアからスタートしました。
入社2年目からは性能要求が厳しい大規模保守案件の技術的な支援要員として、DBの性能担保のためJavaライブラリを維持管理するチームにアサインされました。私達が作ったライブラリを使用することでアプリチームは簡単に開発ができ、かつ性能も高い、ということがチームのねらいです。私のエンジニアとしての技術は全てそこで培われたと言っても過言ではありません。インフラ知識、性能検証、品質担保、計画策定などを3年間で叩き込まれました。
とは言え、やってることはJavaのライブラリ開発で現職ではアプリ開発の経験が無かったため、NRI有志でハッカソンに参加し、自ら学ぶ機会を作っていました。この時にいくつかの賞を受賞したことで役員の目に止まり、役員直轄の社内スタートアップ組織であるArumonができました。
次に私のエンジニアキャリアで面白かった仕事として、ヘルステックの自社サービスを新規構築するというプロジェクトに、フルスタックエンジニアとしてアサインされました。一人目エンジニアとして参画してアーキテクト・要件定義・開発すべてを主導し、時には営業に同行することもありました。
上司が自由にやっていいと言ってくれたおかげで、その当時まだノウハウの乏しかったサーバレスアーキテクチャを採用する技術的なチャレンジもでき、ピークユーザ3000人ほどのサービスだったのですが、ほとんど障害0で運用し続けることができました。
その後会社からは元のSIプロジェクトに入れるだけではもったいないという計らいもしていただけて、流通業向けにDX部隊で技術営業、PoC、顧客向けにデザイン思考ワークショップをやったり、最終的には業界を変えて金融機関向けの仕事も行いました。
ただ、これだけの組織を渡り歩いてきても、私がやりたかった自分たちでサービスを作ってグロースするということはどこでもできなかったので、自分がやりたい方向性の仕事は今の会社には無いんだなと分かったんです。
自分自身もシニアとして名乗れるキャリアになったと思えたし、35歳という年齢でもあったので、自社サービスを持っててぐんぐん成長している企業を目指して転職活動を行いました。
ーなぜ野村総合研究所(NRI)からMagic Momentへ転職したんですか?
先ほどお伝えしたArumonの活動を当時一緒にやっていた盛くんが既にMagic Momentへ転職しており、彼に転職の相談をしたところ、受けてみて欲しいと誘われたんです。
その他にも10社ほどお話を聴いて、最終的にはMagic Momentともう1社大手自動車メーカーのベンチャー組織から内定をいただいていました。
福利厚生や待遇面などは正直自動車メーカーの方が良かったのですが、ベンチャーとは言え大企業の風土は引き継がれている印象があり、キャリアチェンジするなら思い切って純粋なスタートアップがいいな、と思ったんです。
一方でMagic Momentには「GO TRUE WAY」というCore Valueがあり、本当に顧客に価値のあることを突き詰めて、それに基づいて行動する、という価値観にすごく共感しました。
業種・業態や待遇も大事ですが、何より会社のカルチャーや考え方がいいなと思える会社に行きたいと思っていたので、これが一番の決め手でした。
ーMagic Momentに入ってからどんな業務をやっているんですか?
入社時はフルスタックエンジニアとして、何でもやりますという役割から入りました。
1テーマについて、フロント~バックエンドまで実装し、テストしてリリースするというサイクルを回していました。
それを3,4ヶ月やっていたところ、エンジニアリングマネージャーになり、さらにそこから1ヶ月半ぐらいでVPの内示が出されました。今はマネジメントがメインになっています。
ーすごいスピードですね。
すごいスピードでした。
創業期を経たプロダクトは成熟していないところがいっぱいあって、チーム体制もプロダクトの中身もそうです。私が特に気になったのはリリース運用の仕組みでした。当時リリース作業の効率も悪く、トラブルが起きるリスクの高い状態に陥っていました。私は当時1メンバーという立場でしたが、開発メンバーにブランチ戦略などリリース運用の仕組みを全て提案して、受け入れてもらいました。
今思うとそういうことをやっていたので、マネージャーだったりVPという役割をいただけたのかなという気もします。ただ、上に上がりたい訳では全然なく、単純に自分もそういう状態は嫌だったし、顧客に価値を届けられていないというのが嫌だったんです。問題をどんどん解消するために立場を気にせず動く、ということを受け入れてくれるMagic Momentのテックチームがあったからこそ今があると思っています。
ーそういう場面でも「GO TRUE WAY」が浸透しているからこそ変化を受け入れることができたんですね。
次回、後編ではいよいよSIerとスタートアップの違いに迫ります。
ご期待ください!
※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。
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(担当コンサルタント:和田智行)