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DX転職コラム
年収ダウンは当たり前?ポストコンサル・ポストSIとして事業会社へ転職する際の年収
ITコンサルタントやSE(システムエンジニア)などのデジタルプロフェッショナルの方々とお会いする中で、ポストコンサル、ポストSIとして事業会社への転職を検討されていらっしゃる方の相談を受けることも多いです。そこでテーマになる話題のひとつが転職後の年収です。今回は、プロフェッショナルサービスから事業会社への転職と年収に関してお伝えしたいと思います。
プロフェッショナルサービス企業と事業会社の給与水準の違い
まず、コンサルティングファームやSI企業などのプロフェッショナルサービス企業と事業会社の給与水準には開きがあります。それはなぜかと言うと、ビジネスモデル・利益構造の違いが大きな理由となります。プロフェッショナルサービスは人月ビジネスですので、利益率とあわせて人件費への利益配分が大半の事業会社より多くなるため、給与水準も高くなります。
外資系企業や総合商社、不動産デベロッパー、金融系、製薬・医療系などの給与水準が高い業界や、給与水準が高い個別の企業を除き、大前提として一定の年収ダウンとなる可能性があることを念頭に置いていただくのが良いと思います。
年収アップの可能性も? 事業会社におけるデジタルプロフェッショナルの給与は上昇傾向!
一方で、ITコンサルタントやSE(システムエンジニア)などのデジタルプロフェッショナル領域の給与は上昇傾向にあります。プロフェッショナルサービスはもちろんですが、特に事業会社でこの傾向はここのところ顕著になっています。
新しいテクノロジーを活用した新規事業の創出、業種の垣根を超えたクロスインダストリーによる新しいビジネスモデルの創造・協業など、デジタルテクノロジーを駆使した新たな価値創造を推進するCreation領域、いわゆる攻めのDXへのニーズも高まっており、引き続きニーズが高い業務変革・効率化をリードするOperation領域と共に、ポジションにより給与レンジも上がっています。
給与が上がっている企業が増えているものの、全ての事業会社がそうである訳ではありません。では、どのような企業・ポジションで給与レンジが上がっているのか、年収キープもしくはアップで転職できる可能性が高いのか。大まかに、次の3つになるかと思います。
①給与水準の高い企業・業界
外資系企業や総合商社、不動産デベロッパー、金融系、製薬・医療系などの給与水準の高い業界・企業は年収アップで転職できる可能性は十分にあります。ベースの給与水準が高いうえに、DX強化に向けてデジタルプロフェッショナルの採用を強化しているため以前に比べて給与が上がっている企業も少なくありません。
直近の年収アップ事例
○PM 30代前半(男性)
「大手SI企業(PM)」から「大手不動産デベロッパー」への転職 → 年収300万円超UP
○セキュリティエンジニア 40代前半(男性)
「コンサルティングファーム」から「メガバンク」への転職 → 年収100万円UP
○DX・IT担当役員候補 40代後半(男性)
「コンサルティングファーム(シニアマネージャー)」から「金融系企業」への転職 → 200万円UP
こちらはあくまで一例ですが、経験とニーズがフィットすればプロフェッショナルサービスから事業会社への年収アップ転職も十分可能です。
こちらはご参考までに。
②本気でDXに取り組んでいる企業
多くの企業がDXの必要性・重要性を感じてはいますが、何をやればよいかをわかっていない、しっかりと考えることができていない、といった企業がまだ多いように感じます。
そのような中、本気でDXに取り組んでいる企業も増えています。
○DX強化のために別組織・別会社を創設
○DXポジションを対象に独自・個別の人事制度を制定
ここ数年で、上記のような取り組みを進め、Competitiveな報酬を提示できるようにすることにより優秀な人材を積極的に採用する企業が多くなっています。
以前から年収の高い方に対して契約社員採用とすることによって個別の給与提示をすることはありましたが、現在は正社員として採用できる体制を構築するようになっています。
弊社デジタルプロフェッショナルサイトの「DX事例レポート」にも掲載しているカインズやニトリデジタルベースもそのひとつです。流通小売系や製造業などをはじめ、今後の成長戦略でDXの重要性を強く認識しているものの、既存の人事制度だと給与水準がそこまで高くない企業を中心にこのような動きが出ています。
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③専門性の高いポジション
ポジションという視点では、データサイエンティストやセキュリティなど専門性の高い特定のポジションに対して高い年収を提示する傾向があります。ビジネスの成長にデータ利活用が欠かせなくなった現在、業界を問わず優秀なデータサイエンティストのニーズは引き続き強いです。
また、ガバナンス強化の重要性が高まる中、セキュリティポジションの年収レンジも上がっています。
データサイエンティストやセキュリティは一例ですが、マーケットのトレンドや各企業のニーズによって、デジタルプロフェッショナルポジションの中でもより年収レンジが上がっているポジションも存在します。
今回はプロフェッショナルサービスから事業会社への転職と年収についてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか?
あるコンサルティングファームのパートナーが、「これまでは条件面で負けることはなかったが、最近は事業会社も条件面で競合するようになってきた」と言っていましたが、上述しましたように事業会社のデジタルプロフェッショナル領域の給与水準も上がっています。
具体的にはどのような企業・ポジションがあるのか、自分の志向や経験などに合ったものはあるのか、などをはじめ、キャリアや転職についてお考えの方は、是非こちらからどうぞ。
https://www.kandc.com/digital/entry/
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(担当コンサルタント:半藤剛)