Column
DX転職コラム
大手コンサルティングファーム経験者がブティックファームを選ぶ理由
大手コンサルティングファームにいらっしゃる方々から、ネクストキャリアの相談をいただく機会がよくあります。
「このままの環境でずっとやっていくイメージが持てない」「上司を見ていて、そうなりたいと思えない」などなど。
お話を伺うと、「コンサルタントの仕事自体は好き」という方が少なくありません。ただ、特に大手ファームの方は現職がコンサルティング業界そのものであり、他のファームも同じではないかと思っている方、「現職で限界=コンサルタントとして限界」と感じている方が多いように思います。
そのような方の多くは、漠然と「コンサルタントの次は事業会社だ」と思っていらっしゃいます。
ただ、「事業会社でやりたいこともまだふわっとしている」「事業会社に行くと年収が下がってしまう」などといった点から、次のキャリアが定まらずモヤモヤしている方も多いです。
そのような方にお薦めしたい選択肢のひとつが、ブティックファームです。
ブティックファームとは、小規模なコンサルティングファームのことです。大手コンサルファームから独立したコンサルタントを創業者とするファームを指すことが多く、中には大手ITベンダーや総合商社などが設立したファームもあり、戦略コンサルやビジネスコンサル、DX・ITコンサルなど、領域は多岐にわたります。その他にも、M&Aやファイナンスなどの業務特化、製造業やヘルスケア、金融などの業界特化など、特定の専門分野に特化したファームも含みます。少数精鋭の組織で、小回りを効かせた柔軟性、機動力や専門性の高さなどを武器に、大手ファームと同等もしくはそれ以上のサービスを提供することを強みとしています。
Regrit Partners、ライズ・コンサルティング、グロービング、Xspear Consulting、などなど。これらの企業は一部ですが、ここ数年で急速に成長・拡大するブティックファームが増えています。
売上、社員数共に伸びており、与信が厳しいメガバンクをはじめとした大手企業、官公庁などのプロジェクトも受注するなど、ビジネス領域を広げて事業も拡大しています。
大手ファームが若手クラスの採用を控えている中、若手ポテンシャル層も積極的に採用しています(大手ファームは一定数の新卒を採用しているということもありますが)。
また、大手ファームも喉から手が出るほど欲しがっているコンサルタント経験者、特にマネージャー以上の採用も積極的に進めており、大手ファームからの転職者も増えています。
大手ファームと遜色のない高水準の年収レンジ、裁量・権限の大きさ、自由度の高さ、などを魅力に感じ、優秀な人材が転職しています。
今回は一例ですが、大手ファームからブティックファームへと転職された2つの事例をご紹介します。
【ケース1】 大手外資系コンサルティングファーム シニアマネージャー
「自分のやりたいコンサルティング」ができるブティックファームへ
大手外資系コンサルティングファームでシニアマネージャーだったAさん。CIOサポートをはじめ、IT戦略立案・IT組織改革など上流をメインとしたコンサルティングサービス・チームをリードしています。売上予算も達成し、ご活躍です。ただ、グローバルの意向もあり予算のターゲットは毎年上がり、達成+ディレクターへ昇進するためには、特定のパッケージ・ソリューションにつなげる大型のSI案件を受注することが求められてくるようになりました。
やりたいのはCIOの支援。先を見て戦略を描き、実現するために組織やガバナンスを強くしてあるべき姿に導く。ただ、自社から求められる期待・役割を考えると、やりたいことに集中できない。クライアントにとって必要・重要でなくても金額が稼げる大型のSI案件をとらなくてはならない。もっとクライアントに向き合いたい。そんな思いからブティックファームのB社に転職されました。
転職後は、これまで培ったCIOとのリレーションを活用してビジネスを創出しています。B社はCIOサポートが強いという訳ではありませんでしたが、Aさんの活躍もあり、今ではサービスラインのひとつとしてしっかり立ち上がっています。
GHQへのロイヤルティや利益率の縛りもなく、同じ予算でもクライアントに対して貢献できることが増えました。また、無理して売上を伸ばさなくても社内でしっかりと評価され、早々にディレクターへ昇進。B社でも組織を率いてポジションを確立することができ、楽しくご活躍されています。
Aさんのようなケースの他にも、新しいサービスを立ち上げることができる、コンサルティング以外の新規事業を立ち上げることができる、自社の経営・事業運営に携わることができる、といったブティックファームもあります。
これらは、経営の戦略・方針を自分たちで決めることができ、柔軟な意思決定ができるブティックファームならではの特徴のひとつだと思います。
【ケース2】 大手外資系コンサルティングファーム マネージャー
「上が詰まってなく、正当な評価で早く昇進できる」ブティックファームへ
大手外資系コンサルティングファームでマネージャーだったCさん。中途入社で、マネージャーとして入社しました。その前は日系ITコンサルティング企業でマネージャーだったこともあり、入社後早々に活躍していました。クライアントからの評価・信頼も高く、リピートでプロジェクトも獲得しています。
上司からも評価しているとコメントをもらっていて、次のタイミングでプロモーションという話も何度か出ていますが、ペンディングとなることが続いていました。上司に確認しても、よくわからない理由で納得がいかず。上が詰まっていて順番待ちのような状況となっているのとあわせて、クライアントやビジネスではなくどれだけ上司に貢献したかで判断される属人的な評価・マネジメントに限界を感じてブティックファームのD社に転職されました。
これまでの実績やスキル・Capabilityから、D社にはシニアマネージャーとして採用されました。入社後も成果を出し、早々にディレクターへと昇進しています。成果次第で正当に評価される環境で、役割を広げ成長している実感を持ち、活き活きと活躍されています。
D社のように、実力・成果次第で早期にプロモーションできるのはブティックファームの特徴です。全てのブティックファームがそうではないものの、勢いのある企業は急速に成長・拡大しているため、上が詰まっている・ポジションが無い、といった不満を解消できる環境だと思います。
また、ディレクター以上のポジションで入社すると3ヶ月・半年など早期に売上を上げることを求められるファームもありますが、一方で1年~2年と一定期間の猶予を与え、現状のプロジェクトやクライアントなど、自社にあるリソースも活用し、足元を固めながら立ち上がっていけるファームもあります。
このように、ブティックファームはネクストキャリアとして魅力的な選択肢のひとつです。
一方で、ブティックファームといっても、各社ごとにそれぞれ特徴があります。
クライアントの属性、強みの領域、プロジェクトの取り方・入り方、アサインの仕組み、などは留意点として確認が必要です。ワンプールの体制をとっているファームが多いので、その中で「専門性を高めることができるか」「業種・テーマを広げることができるか」など、自分の志向にあった経験を積んでいけるかどうかをイメージできるようにしていただくのが良いでしょう。
経営陣の考え方、今後の戦略・方針なども重要なポイントです。
組織が小さいので経営との距離が近い分、経営の影響をより受けやすいです。
また、上述の事例にもありますが、組織運営・マネジメント体制も会社によって変わります。
これらの点も理解したうえで、検討いただくのがよろしいかと思います。
各社の特徴を理解したうえで、次のキャリアとして何を実現したいか、今後のキャリアに向けて何を得たいか、が重要であり、それによってどのファームを選ぶべきかを考える必要があります。
自分にとって、どのようなファームが良いのか。
気になる方、興味・関心をお持ちの方は、是非私たちデジタルプロフェッショナルチームにお気軽にご相談ください!
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(担当コンサルタント:半藤 剛)