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自分はどちらが向いている?プロジェクトマネージャーとプロダクトマネージャーの違い

以前書いた以下のコラムがご好評いただいているようです。
DX転職コラム:最近よく聞く職種、「プロダクトマネージャー」になるには

ITコンサルやSIerの皆さんにとって、事業会社のDX組織や他のプロフェッショナルサービスを提供する会社に加え、新たな選択肢になり得る職種ということで注目を浴びています。

上記のコラムではプロジェクトマネジメント力はプロダクトマネジメントに活きる、スキルの親和性のひとつであると述べましたが、この2つが似て非なるものであることは明確に理解しておきたいところです。

今回は改めて、この点を解説したいと思います。

プロジェクトマネージャーの業務

プロジェクトマネージャーは品質と費用と納期の3つの要素を管理してプロジェクトを完遂させることがミッションです。品質(quality)・費用(cost)・納期(delivery)の英単語の頭文字を取って、QCDと略されることもあります。

「なぜ・誰に向けて・何をつくるのか」などが定まった状態でプロジェクトが組成されており、プロジェクトマネージャーは「どのようにつくるか」に責任をもちます。決められた品質を満たし、決められた予算の範囲で、納期通りにプロジェクトを完遂することがプロジェクトの成功であり、その前提となる「なぜ・誰に向けて・何をつくるのか」は担当範囲外となることが一般的です。

※プロダクトマネージャーが認知される以前はプロジェクトマネージャーが実質的なプロダクトマネージャーとして「なぜ・誰に向けて・何をつくるのか」にも責任をもっているというケースもありました。

プロダクトマネージャーの業務

一方で、プロダクトマネージャーはプロダクトの成功に向けてあらゆることが管掌範囲となっています。プロダクトの成功とは何かというと、ユーザーへの提供価値と収益性のバランスを取りながら、プロダクトのビジョンが実現している状態のことです。ユーザーの声を聞き、データを見ながら、プロダクトが成長するためにはどうすればいいのかという課題の探索と設定をしていくところから始まります。

たとえ予算内で納期通りに品質基準を満たしたプロダクトをつくれたとしても、ユーザーへの価値が弱かったり、事業収益性を向上できていなかったり、ビジョンが実現できていなかったならば成功とは決していえません。
またプロダクトマネジメントの現場では、成功に近づいているかを把握するためにいくつものKPIを設定します。具体的には次のようなものです。

■ユーザー登録数を○○%増加させる
■解約率を○○%下げる
■閲覧数を○○%上げる
このようなプロダクトに関するKPIを達成することをゴールに置いているのもプロダクトマネージャーの特徴です。

プロジェクトはプロダクトを成功させるためにある

プロジェクトマネジメントは、プロダクトマネージャーの責任範囲に含まれる業務です。
プロダクトを改善するための課題に対して、プロジェクトを発足し開発を進めていきます。
プロダクトマネジメントにおいてはプロジェクトはプロダクトを成功させるためにあるといえます。

たとえば、いまのプロダクト課題が「新規ユーザーをさらに獲得すること」だったとします。この課題の解決策の1つとして「新規ユーザー登録画面のUI改善による、新規登録時の途中離脱防止」という案に対して、途中離脱率をKPIとして設定し進めるとしましょう。
プロダクトマネージャーはこの案を実現するためにUIを改善するプロジェクトを立ち上げ、エンジニアやデザイナーと連携しながら画面設計やバックエンドなどの修正方針を議論します。チームの工数や他に進んでいるプロジェクトも考慮したうえで納期を決め、プロジェクトをスタートさせます。

プロダクトとプロジェクトのライフサイクルの違い

プロダクトライフサイクルとはプロダクトの一生を導入期、成長期、成熟期、衰退期に分ける考え方です。最初から「何年後には衰退期になる」などと計画して進めるプロダクトはありません。その時期になったときに、初めて自分たちのプロダクトがどの期にいるかを判断できます。プロジェクトはプロダクトのそれぞれの期において、必要な施策を展開するためのものです。

先に説明したように、ある開発をある時期までに行うというのがプロジェクトの典型例の一つです。プロジェクトは立ち上げ、計画、実行、終結という過程を経ますが、プロダクトとは異なり、開始と終了が決められています。
このように、プロジェクトがプロダクトの一生であるプロダクトライフサイクルの中で何度も何度も、時として並行して複数のものが、実行されていくのがプロダクトとプロジェクトの関係となります。

 なお、プロジェクトマネジメントとプロダクトマネジメントは、決して上下関係にあるものではありません。プロダクトの成長のためにはプロジェクトマネジメントが円滑に進んでいることが必須です。
 また、優秀なプロダクトマネージャーは例外なく、優秀なプロジェクトマネージャーでもあります。この2つは異なる職種でありながら、密接に関わり合う関係でもあるのです。

自分にはどちらが合っているのか、ひとつの判断の仕方

2つの職種の業務内容や関係性をお話してきましたが、自分に向いているのかどうかはどのように判断すればよいのでしょうか。

色々ありますが、ひとつの切り口としては「ひとつのミッションに没頭するか/こまめに切り替えるか」がカギになりそうです。

プロダクトマネージャーはミッションをプロダクトの成功に置いています。成功の定義は先述した通りですが、実はプロダクトが完全に成功した!という状態は訪れません。「もうこれで成功した、完成した」とプロダクトマネージャーが言っているとしたら、その人はプロダクトマネージャー失格です。プロダクトマネージャーは常にプロダクトが成長するための課題を見つけ、それを解き続ける人だからです。なので厳密には、プロダクトマネージャーの仕事には終わりがないのです。

また、課題を設定してそれを解いた、その結果はどうだろうか、ユーザーは喜んでくれるか、収益への影響はどうか。その結果が出るまで長ければ数年かかることもあります。一つひとつの施策の結果が出ることを祈りつつ、また別の課題に手を付け続ける必要があります。

・ひとつに没頭して取り組むのが好き
・結果がすぐにでなくても諦めない粘り強さがある。
そんな人にプロダクトマネージャーがおすすめです。

一方、プロジェクトマネージャーには明確な納期があり、その中のQCDの担保がミッションとなります。ます。もちろん納期はプロジェクトによってバラバラで、開発の規模が大きければ大きいほど納期は先に、スパンは長くなります。しかしそれでもスピード感が求められる自社サービスの開発であれば、長くても1年程度で終わることがほとんどです。終わればまた別のプロジェクトへ。
プロダクトマネージャーと比べて短いスパンで終わりが来ます。一旦リセットして、また新しいミッションに向かうことになるのです。

・ゴールやテーマが少しずつ変わる方が飽きずにできる
・仕事の終わりと始まりが明確にあるのが好き。
こんな方はプロジェクトマネージャーに向いていそうです。

いかがでしょうか?

・プロジェクトマネージャーの経験を活かし、プロダクトマネージャーに挑戦したい
・プロダクトマネージャーとプロダクトマネージャーのどちらが自分に合っているか
などのご相談を心より、お待ちしております。

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(担当コンサルタント:松永 拓也

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