Column

「意外と知らない、ITコンサルタントから<br>商社のIT・DX部門への転職事情」イメージ画像

意外と知らない、ITコンサルタントから
商社のIT・DX部門への転職事情

転職をお考えのITコンサルタントの方の中には、商社にご興味をお持ちの方も多くいらっしゃるかと思います。

一方で、商社のビジネス系職種の募集に関しては情報も多く出回っておりイメージも持ちやすい反面、DXやIT部門については実態がよくわからない、、、というのが本音ではないでしょうか。

そこで今回は、私がITコンサルタントの方の商社へのご転職を複数ご支援してきた経験から、商社のIT・DX部門の特徴や求められる人物像、選考ポイントについてお伝えします。

商社のIT・DX部門の特徴

まず初めに、商社のIT・DX部門がどういう位置づけなのか、実際にどのようなプロジェクトがあるのか?また、ITコンサルタントの方にとっての魅力について見ていきます。

【商社のIT・DX部門とは】

商社のIT・DX部門は、対外的なDX(攻め)とコーポレートIT(守り)で部門が分かれている傾向があります。攻めのDXにおける募集ポジションでは、国内外のDXやIT領域における投資やM&A・PMI、事業戦略などのミッションを求められることが多く、ターゲットとしてはITやデジタル領域の戦略コンサルタントの方などが該当します。また、守りのコーポレートIT部門では、商社本社や国内外のグループ各社のDX推進等のプロジェクトリードを期待されており、こちらは総合系コンサルティングファームでPM経験の豊富なマネージャークラスの方などがフィットします。

商社ごとに組織構成は異なりますが、IT部門としては日本本体と海外駐在員に加えてグループ傘下のSI企業(※システム開発自体はこのSI企業が担当します)というグローバルの強力な人員体制のもと、様々なプロジェクトが進行しています。

【商社のITプロジェクト例】※主にコーポレートIT部門における事例

・SAP等の基幹システム刷新プロジェクト
・生成AIやOffice365等を活用したRPA関連プロジェクト
・インフラ、セキュリティ系のプロジェクト
・DX戦略プロジェクト
・ITガバナンス関連プロジェクト、、、etc.

【ITコンサルタントの方が商社に転職する魅力】

グローバルかつスケールも大きくリソースやアセットも豊富な事業環境で、コンサルタントとして培ったご経験スキルを存分に活かし、ITやDXプロジェクトを主体的に推進できる点が、特にグローバル志向の方には最大の魅力として挙げられます。

また、コンサルティングファームのマネージャークラスの方が事業会社に転職する場合、年収水準の維持が難しいケースも一定ある中で、商社の場合は業績賞与も含めると大幅な年収アップが見込める可能性も充分あり、外資系企業を除くとかなり希少な機会と言えます。

参考:商社への転職事例
(1)総合系コンサルティングファームのマネージャーから、総合商社のDXプロジェクトマネージャーへ
https://www.kandc.com/digital/performance/case/case43/
(2)大手外資系コンサルティングファームのITコンサルタントから、大手総合商社のDX/IT企画推進部門のマネージャーへ
https://www.kandc.com/digital/performance/case/case25/

商社のIT部門で求めているのはどんな人財か

続いて、商社のキャリア採用で募集しているIT人財とはどのような方なのか、いくつかの観点で傾向をお伝えします。

※商社ごとに多少異なるということと、募集時期によってもニーズは変化しますので、あくまでも参考情報としてご覧ください。

◆大規模プロジェクトのマネジメントスキル・経験

商社のIT部門は、本社に加えてグローバルで多数のグループ会社との連携も含まれるため、プロジェクトも大規模なものが多いです。そのため、商社に応募されるITコンサルタントの方に求められる第一要件として、ステークホルダーの多い大規模なプロジェクトのマネジメントスキルが挙げられます。コーディング経験は必須ではないため、ご自身で手を動かした経験が無くてもOKです。

◆グローバル環境でのビジネス経験・英語力

商社のIT部門で求められる英語力は、企業によっても違いがあります。スピーキングがあまり強くなくてもご経験・スキル次第でチャレンジ可能な企業もありますが、入社後のキャリアパス(昇格条件や海外駐在の機会など)に一定影響してきますので、ビジネスレベルの英語力を磨いておくことがお勧めです。TOEICスコアは大体730点以上が目安となりますが、スコアよりも実務で使えるレベルかどうかが重要です。また、海外でのビジネス経験や、多様な国籍のメンバとのプロジェクト経験をお持ちであれば更にポジティブ要素と言えます。

◆スペシャリストではなく、IT領域を幅広く担当いただけるようなジェネラリスト

IT領域の中でも特定の分野(例えばセキュリティや、SAPの特定のモジュール等)で専門的にキャリアを長く積んできた方よりも、ITコンサルタントとして幅広くプロジェクトマネジメント経験を積んできた方のほうが商社にはフィットする傾向があります。これは、入社後もIT部門の中でローテーションしながら様々な領域のプロジェクトを担当することになるケースが多く、「自分は●●の専門家なので今後もこれしかやりたくない」という志向の方だと合わない可能性が高いためです。

商社の選考におけるポイントとは?

最後に、ITコンサルタントの方が商社の選考を進める上でのポイントについてもお話できればと思います。(このコラムで書き切れない情報もありますので、応募を検討される方はぜひ私達デジタルプロフェッショナルチームにご相談ください!)

① 選考結果が出るまでに時間を要するケースが多い

最近の転職市場の競争激化を鑑み選考スピードを速めている企業もありますが、商社の全体的な傾向としては他の事業会社と較べると書類選考や面接の結果が出るまでに時間がかかることが多いです。(例えば、面接実施後に2週間ほど経過して合格の連絡が来る場合もあります)そのため、転職活動のスケジュールは上記の前提を考慮に入れて余裕を持ったプランを立てることをお勧めします。

② 基本的にはすべての面接が対面形式で行われる

商社の選考では、書類選考通過後に面接が3回ほど実施されますが、殆どの場合すべてオフィスに訪問する形で対面にて行います。※オンラインで実施されるケースもありますが、基本的には対面形式で想定しており、現職のプロジェクトが多忙なITコンサルタントの方は日程の確保が困難なこともあります。①の要素とあわせて転職活動開始段階で進め方を検討しておくと良いかと思います。

③ 応募時点から明確な役割が決まっているわけではなく、選考を通じてアサインが決定

商社の場合、求人票自体はIT部門全体でオープンポジションに近い形で募集を出していることが多く、選考を通じてその方のお強みやご経験・ご志向を踏まえてお任せする役割を決めていく流れが一般的です。選考の中で企業の現状ニーズや組織体制、IT部門の方向性などの理解を深めながら、ご自身が入社後どんなことを実現したいか、あるいはどんな点を活かして貢献できそうかしっかり語れるように準備いただければと思います。

④ 実はキャラクターやカルチャーフィットも重要

これは何か準備ができる類いのものではありませんが、商社の選考の特徴を挙げる上で外せないのはカルチャーフィットです。総合商社の中でも各社特色があり、なかなか言語化は難しいのですが、これまで商社へのご転職をご支援してきた中で共通して感じるのは、快活なお人柄とコミュニケーション力の高さでした。我々との面談で商社に合いそうだなと直観的に感じる方は、実際に面接でもお話が盛り上がり内定を獲得されています。もちろんご経験やスキル要件を満たしていることが前提になりますが、商社の選考ではその方のキャラクターも重視されていると言えます。

今回は、商社のIT・DX部門の特徴や求められる人物像、選考ポイントについてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか?

商社にご興味のある方はもちろんのこと、他の選択肢も含めて幅広くキャリアの可能性を知りたいとのご相談もお待ちしております!

https://www.kandc.com/digital/entry/

(担当コンサルタント:神田 昭子

DX・IT領域のプロがサポート 転職・キャリア相談

CLOSE