SMBに向けてネットショップを簡単に作成できるサービスを展開。
及川
まずは御社が手がける事業やサービスについて簡単にご紹介いただけますか。
神宮司
BASEは2012年に創業し、現在は3社によるグループを構成して約170名の社員を抱えています。
メインのプロダクトは社名にも掲げる「BASE」であり、これは誰でも簡単にネットショップが作れるサービス。対象としているコアユーザーは、SMB(Small and Medium Business)と呼ばれる小規模のビジネスを営む個人や企業の方々です。
及川
神宮司さんのご経歴についても教えていただけますか。
神宮司
私はかつて代表の鶴岡(裕太氏)とシェアハウスで一緒に生活していました。当時はまだ鶴岡がBASEを起ち上げる前でしたが、二人ともインターネットプロダクトが好きで、海外のスタートアップのサービスに触れながらあれこれ議論する日々を過ごしていました。
そしてしばらくして鶴岡がBASEを創業し、私はメガベンチャーに入社。ソーシャルゲームの運用などに携わりながら、個人的にプロダクトの開発に取り組んでいたのですが、それが空中分解してしまって今後の身の振り方を考えていたところでした。
そんな中、鶴岡に「何でもやるのでなにか自分にできる仕事はないですか?」と連絡したところ、カスタマーサポートの仕事があるとのことで、BASEが設立されて1年後の2013年に入社しました。
及川
BASEに入社後は、どんな業務に携わってこられたのでしょうか。
神宮司
当初はカスタマーサポートを担っていましたが、多少コードが書けたこともあって、社内からの依頼を受けてキャンペーンページの制作などにも関わるようになりました。当時はまだ社員数が10名にも満たず、とにかく人手が足りなかったんですね。
そのうち、サイトの機能やUIを考えて実装するフロントエンドエンジニアとしての役割がメインとなり、徐々にプロダクトの開発にも携わるようになって、2016年からショッピングアプリ「BASE」のプロダクトマネージャー(PdM)、2018年4月からはネットショップ作成サービスを含めたEコマースプラットフォーム「BASE」全体のPdMに、現在はVP of Productという役割を務めています。
2016年頃はPdMが私一人という状況でしたが、次第にプロダクトマネジメントを担うメンバーが増えてきたので、いまはプロダクト全体の戦略設計や組織づくりを担っています。
及川
神宮司さんがPdMに就く前は、どのような体制でプロダクトを開発されていたのでしょうか。
神宮司
それまでは鶴岡がすべてプロダクトの企画からリリース、運用までを手がけていました。彼からPdMのポジションをゆるやかに移譲され、私がプロダクト開発全体を率いるようになったのは3~4年前からです。
及川
スタートアップの場合、まず創業者がPdMになってサービスを世の中に送り出し、組織が大きくなるにつれて社内にPdMというポジションが確立されていくケースが多いと思います。
PdMとしてキャリアアップを考える方のなかには、創業まもないスタートアップに参画し、創業者からPdMのポジションを引き継いで存分に力をふるってみたいという人もいらっしゃいます。
神宮司さんはまさにそうした境遇だったわけですが、鶴岡さんからPdMの役割を移譲されるにあたって苦労されたことはありますか。
神宮司
私自身は、幸いにも鶴岡と同じような価値観を持っていたのでそれほど苦労することはありませんでしたが、おそらく一般論で言うと、CEOとPdMの発言内容が異なるとメンバーが当惑するので、お互いの意思をすり合わせておくことが大切だと思います。
そしてメンバーに伝える際にも、CEOが言うことを鵜呑みにするのではなく、自分できちんと咀嚼して腹落ちした上で発言することが重要であり、その言語化能力は磨いておいたほうがいいと思いますね。